第25章「校内ライブ、そしてラップは届くか?」

📍町田市立総合高校・文化発表会(校内ステージ)


体育館に設置された簡易ステージ。

椅子がずらりと並び、ざわめきが空間を満たす。


体育会系の漫才コンビ。帰宅部の演劇チーム。吹奏楽部。

次々と続く中、ステージ係がアナウンスを始めた。


「次は……ラップユニット、Silent Riot!」


ざわっ……と観客席が微かにざわめいた。

制服姿の3人がステージに歩み出る。


🎧開演直前・舞台袖


「……うわぁ、手汗やばい……」ことねが自分の手を見て言う。


「笑われたらどうしよう」と彩葉。


「音で黙らせればいい。いつも通り」芽依の声は、少し低くて落ち着いていた。


ことねが深呼吸して、マイクを構える。


🎶楽曲:「SCHOOL BEAT -教室じゃ語れなかったこと-」

ジャンル:ブーンバップ×アコースティックギターの生音


🎤ことね Verse:


『静かな教室 窓の外

 言えなかった声 ノートに書いた』


『“普通”に馴染むのが怖くて

 でも馴染めない自分はもっと嫌で』


『だけど今 このマイクがある

 だから“わたし”を 歌ってみるよ』


🎤彩葉 Verse:


『元気そうって 言われるたびに

 ちょっとずつ 嘘が増えてった』


『笑ってれば 楽だったけど

 本当の声は ずっと閉じたまま』


『でも 今なら 言える気がした

 このビートが 背中を押した』


🎧芽依:スクラッチ×音だけのVerse(音の演出)


→ 無言で感情を刻む。

→ コーラスに「教室じゃ語れなかったこと」がサンプルで繰り返される。


🎤エンディング:3人ユニゾンラップ(初)


『ここが わたしたちの“教室”

 音があれば ちゃんと“存在”できる』


『伝えたくて 怖くて

 でもそれでも――歌いたかった』


📍観客の反応:一瞬の沈黙。

けれどその後、静かに拍手が起こる。


「……なんか泣きそうになった」

「めっちゃよかった……」

「え、てかSilent Riotってガチなんじゃない?」


→ 確実に“届いた”ことを、3人は肌で感じた。


📍終演後・屋上


ことねは、少し涙を浮かべて笑っていた。


「……怖かった。でも、音があれば、わたし、言えるんだって思った」


彩葉が背中を叩き、芽依が自販機で買った水を差し出す。


「次、あの舞台だよね」芽依が言う。


「うん。Backyard Beat、本戦ステージ」



遠くからステージを見に来ていた東雲りなが、スマホに呟く。


「この子たち、音に“魂”乗せてたね……模型と同じだ」


柊木まこと:「推せる」


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