第20章「光のリレー」

数日後・町田総合高校・校舎裏


ことねは一人でラップの練習をしていた。

言葉に、まだ慣れない感情をのせるのに、少し戸惑っていた。


そこに、咲良レイが現れた。

制服のまま、ふと立ち止まって言った。


「……ちょっとだけ、聴いてもいい?」


ことねは驚きながらも、うなずいた。


🎤ことね(Verse)


『ほんとは怖い ほんとは泣きたい

 でも ほんとは歌いたい』


『逃げたくて うずくまった日々が

 今じゃ“音”に なっていった』


『だれかが あたしを見つけたから

 今度は あたしが見つける番』


→ レイがふっと笑う。「……そっか。いいじゃん、それ」


「わたしもさ、今度、“誰か”に届ける曲、作ってみる」


→ ことねとレイ、静かにうなずき合う。



根津猫丸がメモ帳にこう書いていた。


「音は誰かに届くことで、“ことば”になる」

「痛みとぬくもり、そのどっちも――魂の証拠だ」

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