第16章「音の余韻、言葉の余白」

町田市・カフェ“glowin’ beanz”(Silent Riot行きつけ)


翌日――

昨夜の熱狂が嘘のような、昼下がりのカフェ。

3人は席を囲むけど、まだライブの余韻が抜けきらない。


芽依:「……昨日のさ、感想ツイ、すごい伸びてるよ。動画が切り抜かれて、TikTokでもバズってる」


彩葉:「“無口な子が急に走った”って、タグになってる。ことねのこと、だよ」


ことね:「うわあああああ……そういうの……やだ……恥ずかしい……」

(※といいつつ、スマホの通知が止まらない)


🗨️SNSコメント(抜粋):


「この子のリリック、マジで胸に刺さる…」


「サイレント・ライオットって、あの陰キャの子がフロント?」


「走ってたよ、音が。疾走感えぐかった」


「次のライブ、行きたい」


🌐✨ネット上にSilent Riotの名前が広がり始める。


🎧練習スタジオ・午後

次のライブに向けて動き出した3人。

だが――


芽依:「で、次、何やる? また疾走系?」


彩葉:「うーん、でもそればっかだとワンパターンって思われるかも…?」


ことね:「……わたし、もう一回“怖い”に戻ってもいい?」


二人「「えっ?」」


ことね:「“逃げたい夜”を走った。でも、走っても逃げ切れないこと、ある。

だったら、“怖いまま歌う”のも、やってみたい」


芽依:「……それ、逆にいいかも」


彩葉:「“止まりながら進む”っていう表現も、ことねにしかできないかもね」


→ 3人が新曲制作に取りかかる。

→ 次のテーマは『孤独と共に歩くビート』。


📍町田市立総合高校・放課後


ことねが校門を出ると、

遠くから聞き覚えのあるラップが聞こえてくる。


???「おまえの鼓動が、今日のビートだ。泣けよ、叫べよ、ぶつけろ情熱――」


→ フードを被った少女が、学校裏の空き地で一人フリースタイル中。


ことね:「あれ……あの子……誰?」


→ 彼女の背中には、でかいヘッドフォン。そしてリリックノート。

→ この少女、後のライバルユニット“Raw Prayers”のMC、咲良レイ。

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