第14章「痛みを歌に ― BeatFile町田、初出演!」

📍町田ローカルネット番組『BeatFile町田』収録スタジオ

(駅前のCATV局の小さなスタジオ。ゲストユニットが月替わりで登場)


🎬オープニングMC:「今月の注目高校生ラップユニットは――Silent Riot!」


(拍手と共にことね・彩葉・芽依が出演。制服姿のまま緊張気味)


ことね(心の声):


……うぅ。カメラって、ラップバトルより緊張する……


🎤インタビューセッション

MC:「まず、Silent Riotって名前の意味、教えてもらえる?」


ことね:「……“静かだけど、強い音”……。最初は、喋れなかった私が、

 言葉で自分を変えたくて……つけました」


MC:「おぉ……重い。けど、刺さるなぁ……!」


芽依:「私たち、もともと友達って感じじゃなくて。

 音をやってくうちに“チーム”になった感じです」


彩葉:「私たち、なんていうか、全然バラバラなんですけど……でも、ことねの声が芯なんですよ」


ことね:「……や、やめてよ……」


🎶パフォーマンスパート:新曲ショートVer.

🎵「glass voice」


『透明な声で 叫ぶの

 痛みは まだここにある

 でも、それでも わたしは ここにいる』


『見えないままでも いい

 音になれるなら』


→ ことねの詩が、静かに観客の胸を刺す。


📍駿河屋前、ガンプラを片手にサイゼリヤ帰りの東雲りなと鮎原やよいが、

たまたまBeatFileのテレビを見て立ち止まる。


やよい:「……あの子、なんか……不器用だけど、わかるわ」


りな:「……なんかさ、“模型やってるとき”に似てる。

 うまく言えないけど、“見せたくないもの”を作ってるときの感覚に」


やよい:「ラップなのに、模型っぽいって思うの、私たちだけかな?」



📍忠生公園、ベンチに座る響がスマホで番組を見ている。


響(心の声):


――またこの子。今度は、もっと“深い音”になってる……

ビジョンに、花のつぼみ。まだ、咲ききってない。



スタッフ:「あの……関係者の方ですか?」


猫丸:「いや、ただの通りすがりさ。でも“声が可視化される瞬間”ってのは、貴重なんでね」


スタッフ:「???」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る