第12章「叫びの表拍 ― Backyard Beat、幕開け」
📍町田・市民文化センター屋上
週末の青空。雑居ビルに挟まれたコンクリ張りのステージ。
この日だけ、屋上が“戦場”に変わる。
「第3回 Backyard Beat町田予選――スタートします!」
MCの叫びとともに、観客席に集まるのは制服姿の高校生たち、総勢150人超。
🎤観客の中に、Raindrop Raveの姿も。
アリサ(Raindrop Rave):「出るんだ、あの子たち。また」
ユナ:「リベンジ戦……楽しみね」
🎧 Silent Riotのバックステージ
ことねは手を握りしめて震えていた。
ことね(心の声):
――また“声が出ない”んじゃないかって不安になる。
でも、今回は――逃げたくない。
芽依が無言でトラックの最終チェック。
彩葉がことねの肩をポンと叩く。
「大丈夫。ことねの“叫び”は、ちゃんと届いてるよ。私にはずっと、届いてたから」
ことね:「……うん」
🎶 Silent Riotの新曲「Noise in Bloom」
🆕ジャンル:ミクスチャー系ロック×ヒップホップ
作詞:ことね / 作曲:芽依
テーマ:「痛みから芽吹く希望」
『痛みは消えない でも隠さない
見ないふりしたってここにある
私は、私でいたいだけ
叫ぶよ このNoiseに、Bloomを』
『裏拍の涙 表拍で爆ぜて
このマイクが 私のナイフ
笑われても 震えても
それでも私は ここに立つ』
観客が息をのむ――ことねの声が、はじめて“前を向いて”いた。
DJ芽依のスクラッチが響く中、彩葉が飛び跳ねながら歌う。
『陽だまりの中じゃ咲けない花だって
夜の空で 星になれるってさ!』
→ 会場がクラップで応える。
Silent Riot、ついに“音で観客とつながる”瞬間。
🎤演奏終了――観客の反応
ざわざわ…から、拍手が起こる。
「……すごいじゃん」
「名前、覚えたわ。Silent Riotだっけ?」
アリサ(Raindrop Rave):「……やるね。少し嫉妬しちゃうかも」
「詞に魂がある。特にMCの子、言葉が鋭い。全体としてはまだ粗削りだが、今後が楽しみなユニット」
🎉結果発表(予選通過組)
Silent Riot――予選通過、3位通過!
(1位:Raindrop Rave、2位:・・・)
ことね:「……あ、あたし……」
彩葉:「やったじゃん!声、届いてたよ!」
芽依:「うん。ちゃんと、音になってた」
🕶猫丸
「花は、根っこに棘があるほど強く咲く。
……咲きかけてるな、お前ら」
ことね:「“咲きかけてる”……?」
芽依:「また詩的なこと言ってるし……でも、嫌いじゃない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます