第6章「Silent Riot、始動す。」

「おはよう、ことねー!」


朝から全開テンションのいろはが教室に飛び込む。

ことねは、机に突っ伏したままぼそりとつぶやく。


「……裏拍に殺される……」


「ええぇぇ!? 朝イチからそれ!? てか夢に出てきた? ドンカッ、カドン、ドンカッって?」


「出た……っていうか、猫丸さんがなぜか夢に出てきて、

“真のリズムは魂と魂の裏側で鳴る”って言ってた……」


「うわあ、それ絶対ムー読んだ後寝たせいだよ!」


その日の放課後、Silent Riotは校舎裏の旧屋上部室棟で初の正式リハを行うことに。

猫丸曰く、「そこがいちばん“鳴る”」らしい。←何が?


「よし、曲は“Plastic Love Beats”。今回はラストサビからの通しでいこう!」


**MCメイ(芽依)**が腕を組み、DJいろはがトラックを回す。


スピーカーからグルーヴが溢れる――


しかし。


「うっ……!」


ことねがまた裏拍でつまづいた!


「こっ……この“タメ”が掴めないんだよおおお!!裏拍の神様どこおおお!!!」


\\ズコーーーッ//(←芽依が完全に古典的にずっこけた)


そのとき、どこからともなく声がした。


「その声を、世界に叩きつけろ」


三人が振り向くと、そこに立っていたのは――


🕶 “SHIN-GO(シンゴ)”と呼ばれる伝説の女性ラッパー

(ラップ界の“女神”と称されるが年齢不詳)


「お、おまえは……あの“SHIN-GO”!?え、本物!?マジ!?」


芽依が興奮で崩れ落ちる。


「……ことね、だっけ。裏拍が掴めないのは、頭でリズムを捉えようとしてるからよ。

あんたの声は“感情”から来てる。感情で跳ねろ」


SHIN-GOの指導が始まる。


🎤その夜、町田サイゼにて。

ことね、いろは、芽依、そしてなぜか東雲りなと柊木まことも同席していた。


「展示会、マジありがとうな!」

「いえ、こっちこそMV使ってもらえるなんて光栄で〜す♡」

柊木がペコリと頭を下げる。


「ことねちゃんって、あれでしょ?ほら、猫丸のおじさんの推しでしょ?」


「……推しってなに……わたし、フィギュアかなんかじゃないし……」ことね、苦笑い。


「東雲さんって、あのガンプラのすごい人ですよね!私Silent Riotのいろはっていいます!」

いろはが満面の笑顔。


「へぇ〜! 高校生でラップユニット!? 町田……熱いわね!!」


展示会とMVと模型と音楽が、妙な化学反応でリンクし始めていた。


🐈そのころガニヤラ池では…

「Silent Riotに神ラッパー。んで、ガンプラ展示会で金メッキ娘と元ギャル」


猫丸がいつものようにつぶやく。


「さて、次は……“震え”が、あっちにも広がるな」


ガニヤラ池の水面が、かすかに波打った。

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