『本音』

宮本 賢治

第1話『本音』

車の中で待つ。

近くの公園の駐車場で待ち合わせ。

実家暮らしだから、ちょっと気を使う。

彼女からのLINE

『しばし待たれよ』

はい、はい。

あと5分はかかるな。

キッチリ5分後。

姿が見える。

ちょっと上機嫌のワンピースの女の子。

こっちに向かって歩いてくる。

白い車に気づいた。

スッゴい笑顔。

ニコニコしながら、近づいてくる。

車内から手を振ると、あっちもかわいく手を振ってくれる。

ピュ〜!

風のイタズラ。

突風に前髪がクラッシュする。

彼女が停止して、白目を剥いてる。

意に反した状況でするクセ。

世界一ブッサイクな顔。

助手席を開けて、おデコ全開の彼女が乗り込む。

お待たせ〜♪

ニッコリ微笑んで、バイザーを下ろす。

裏面の彼女専用ミラーを開き、前髪を直す。

ちょっと、待ってね。

どう?

首を傾げてキメ顔。

うん、かわいいよ。

サラサラの長い髪の毛を流すように頭を撫でる。

ご満悦な彼女。

けど、本音を言うと、あっちから歩いてくるとき、こっちに気づいたときにくれる笑顔が1番好き。

あの顔が世界一かわいいよ。

彼女がシートベルトをしめて、しめたぞアピール。

ベルトで強調されたパイスラッシュをチラ見して、アクセルをゆっくりと踏んだ。


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『本音』 宮本 賢治 @4030965

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