先生は、愛をよみがえらせる魔法使い

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 復活の魔法をマスターした異世界人…みたいな学校の先生がいたら、どうですか?学校の先生って、何だろう?

   (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

   ☆

「…進路ですか?私、ファンタジーな異世界にいきたいと思っています!」

 言ったら、クラスメイトたちに笑われ。

 進路ノートにそう書いたのもばれて、笑われ。

 一方で、こんなあいさつで私たちを笑わそうとしたことのあるクラス担任の男は、少しも笑わず。

 「どうも~。今年から君たちの担任になりました、魂の見える、悲しきシューショクヒョーガキおじさんです!」

 …。

 悲しいのは、こっちだ。

 「父親を亡くしてしまった」

 私は、そのことをクラスメイトに必死に隠しているところ。

 ああ、つらい。

 「ファンタジーな異世界にいきたい!」

 私の気持ち…。

 父親への愛…。

 わかりますか?

 「死んでしまった人を復活させる、魔法の力を手に入れたい…」

 私の目からまた、涙があふれてきた。

 クラス担任は、私をなぐさめようと必死だった。

 私は、身体も心もヘトヘト状態。

 ヤングケアラーとして、家庭をやりくりしなければならなかったし。

 そんなときクラス担任が、私に内緒話をしてくれた。

 「…実はオレ、復活の魔法をマスターした異世界人で…しかも」

 驚いた。

 しかも、クラス担任には今、父親も母親もいないという。

 「異世界の秘術をマスターしこちらの世界にくるには、両親を連れてきてはならない」

 そんなルールが、あるの?

 「さあ、唱えよう!君の大切なものを、復活させる!」

 クラス担任の口が、ごにょごにょ動き…。

 私は、ハッとなった。


   (この話の意味)

ハッとなったのも、当然です。

 「君のお父さんは…復活したくないと言っている」

 クラス担任は、私の父親の魂と会ってきたという。

 「君のお父さんの魂は、復活して言ったんだ。私は、このままで良いと。私が復活してそばにいれば、娘は甘えてしまい、強くなれない。ですから私、異世界からずっと娘を見守り続けます!とね…」

 ウソウソ。

 それは、生徒を勇気付けるウソ。

 父親の霊など、簡単に復活するものか。

 「先生…、お父さん…」

 ここで本当に復活したのは、私の勇気だ!

 「もう、泣いている場合じゃないよね!」

 私、涙をふいて前向きになれました。

 学校に、こういう先生がもっといたら良いのにね。

エモいなあ。

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