「あの世」の行政機関の話
「あの世」の行政機関として最も有名なのは、閻魔大王を中心とする十王と呼ばれる幹部職員たちです。彼らは、死後の世界で亡者(死者)の生前の行いを厳正に裁く役割を担っています。
亡者は死後、49日間の間に7日ごとに7人の裁判官による審判を受けます。さらに、100日目、一周忌、三回忌には追加の3人の裁判官が加わり、合計10人の裁判官が亡者の魂と向き合います。
亡者は死後、49日間の間に裁判を担当する幹部職員により7日ごとに7人、さらに、100日目、一周忌、三回忌で追加の3人の合計10人の幹部職員が裁きを担当してい
ます。せっかくなので、十王の紹介もかねて審判の内容をご説明しますね。
初七日( 7日目)最初の審判を行います。
秦広王(しんこうおう)が、生前の殺生などを調べます。
二七日( 14日目)初江王(しょこうおう)が、言動の真偽や盗みなどを調べます。
三七日( 21日目)宋帝王(そうていおう)が、財産や他者への行為、邪淫とうを
調べます。
四七日( 28日目)五官王(ごかんおう) が、五感を通じた行為、嘘などを審査
します。
五七日( 35日目)閻魔王(えんまおう) が、中心となる裁判です。
浄玻璃鏡(じょうはりのかがみおう)で善悪を映し出します。
この鏡の前に立つと、生前の行為がすべてありのままに映し出さ
れるので、どんな嘘やごまかしも通用しません。善行も悪行も、
心の中で思ったことまでもが明らかになってしまいます。
六七日( 42日目)変成王(へんじょうおう)が、判断の見直し・再評価を
行います。
七七日( 49日目)泰山王(たいざんおう) が、転生先の最終決定を行います。
百か日(100日目 )平等王(びょうどうおう)が、長期的評価・救済の再審を
行います。
一周忌 都市王(としおう)が、さらなる再審・成仏の見届けを
行います。
三回忌 最後の審判を行います。
五道転輪王(ごどうてんりんおう)が、最終的な審判・六道輪廻
の決定を行います。これは、閻魔大王が「六道輪廻」や「極楽行
き」を最初に決め、その後、五道転輪王が最終的な裁定を下すと
いう流れです。
閻魔大王はその中でも特に重要な裁判官であり、亡者が行くのが極楽か、六道(天道・人道・修羅道・餓鬼道・畜生道・地獄道)のいずれかに転生するのかを決定しています。
「あの世」の行政機関の責任者十名は、「この世」から来る亡者全てに対応しなければいけないので、それは、とても大変忙しいのです。
ですので、「あの世」は、審判中の亡者が「うようよ」しているわけなのです。
「あの世」の行政機関としては、あまりに増えた亡者に対し、審判が終わるまでは「あの世」の公的な仕事を手伝うことを依頼される者もいるのです。
私もその一人で、審判中はお手伝いをしました。
山積みの死亡書類の整理をし、せっせと49日中の審判書類作成のお手伝いをしました。
結構、忙しく働かされたていましたね。「あの世」でも仕事をさせるのですねぇ。
まあ、待っていても暇ですから。
今回は、そのお手伝いではなく、行政機関から「霊界タクシー」へ正式に依頼のあったお話をしますね。
その日の午後、久美子は所長に呼ばれて営業所の事務室のイスに座っていました。
事務室には、事務のおばちゃんと配車係を兼務する所長の2名がいました。
おばちゃんは、今日は仕事が暇なのか欠伸をしながら頭を搔いています。
(本物の頭じゃなくても痒いのね。)
「ちょっと待ってね。」、所長は、何事かうなりながら、光る板状のものを額に近づけて、左手で何枚かの紙をなぞっています。
(「あの世」の書類を、「この世」用に紙に念写したのね。お疲れ様です、所長…。)
「お待ちどうさま。」
そう言って、出来上がった書類をバサバサさせながら私に差し出しました。
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