ゴブリンダンジョンの冒険者

わたがし名人

第1話 ゴブリンダンジョンの冒険者



 ダンジョンが現れてから50年、今では気軽に通える身近な存在となっていた。


 全国に数あるダンジョンだが、不人気ダンジョンも当然ある。


 そんなダンジョンの1つ、ゴブリンダンジョンに通う冒険者の話。



 風間コタローが通う学校から2駅、その最寄り駅から数分の場所にゴブリンダンジョンがある。


 元の建物はスポーツジムで、ダンジョンができた部屋以外はそのまま流用されている。


 受付を済ませ更衣室で着替えるとダンジョン部屋へ向かう。



 ダンジョンの中は森が広がっている。


 緑豊かで一見すると素材採取が捗りそうに見えるが換金できるような素材は全くなく、出現するモンスターはゴブリン種のみ。


 ゴブリン。


 気持ち悪い小賢しい相手するのが厄介。


 倒しても安い魔石しか落とさない。


 嫌いなモンスターランキングの常連。


 稼げない、ゴブリン種しか出ない、いつもガラガラ。


 それがこのゴブリンダンジョンだった。




 コタローは登りやすそうな程よい木を見つけると軽やかに登り木々を忍者のように移動する。


 本当に忍者だったら良かったのだがコタローのダンジョン職は暗殺者。


 まぁ似たようなものなのでこれはこれで良しとしている。


 まずはダンジョン探索のセオリー通り転移陣を探す。


 森の中を駆けること20分程、転移陣を見つける。


 その場所をマーキングしていよいよ周囲の探索を始める。



 このダンジョンは薬草や木の実などの利用できる素材がないため地上にいる必要はない。


 木の上を移動しながらゴブリンを探す。



 しばらくして3匹のゴブリンを発見。


 食べ物を探しているのか辺りをキョロキョロしながら歩いているが、頭上にいるコタローには気づいていない。


 気配を消しゴブリンの近くの木まで移動する。


 音を立てずにゴブリンの背後に降り立ち首筋をナイフで一刺し。まずは1匹。


 間髪入れずに2匹目、3匹目とあっという間に仕留める。


 流れるように手際よく行うその姿はまさに暗殺者そのもの。


 倒したゴブリンは小さな魔石へと姿を変えていた。


 それを拾い上げると再び木の上に戻り、探索を再開する。


 同じようにゴブリンを狩ること1時間、倒した数は20匹程。


 まだ余裕はあるが、無理せず切り上げる。


 転移陣に戻りダンジョンから帰還すると受付に魔石を渡し査定待ちの間にシャワーと着替えを済ます。


 受付に戻り報酬を貰うと帰宅する。


 こうして風間コタローの冒険者としての1日が終わる。


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