第18話 虐待 



 不思議な事もあるものだ。何故悠馬に事件の全容が現れるのか?


 更には悠馬自身が犯人Aで猟奇的殺人事件の首謀者かもしれないというのだが?


 そして何と…利信の子孫だという女子高生北野友里花は、実は…利信と夕花の息子信幸の子孫Ⅹを必死になって追っていると、言うか?天の声に呼び起されて体が無意識に信幸の子孫を求めるのだった。そして…田村陽子さんに辿り着いた。



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 ここで山々コンビはある重要な情報を入手した。 


「実は…悠馬君は優秀でパーフェクトボーイと呼ばれているが、父学から精神的虐待を受けていたという事が判明しました。父は京大卒の弁護士。そして…代々続く『弁護士事務所水木弁護士事務所』を悠馬君に継いで欲しいとかねがね考えていた。悠馬君自体も世間一般的には優秀だったが、代々京大卒の弁護士だった水木家だったので、悠馬君は京都大学法学部には2年連続で落ちて、更には京大文学部人間学科にも合格できなくて、慶應義塾大学経済学部に入学した。それを不満に思う父学。お前は我が家の恥。勉強する価値ナシ!出来損ない💢💢💢妹美咲とは天と地だ。この出来損ないが!💢💢💢その美咲ちゃんは高校は、東京でも1~2の偏差値を誇る高校の特進クラスに進んだエリートらしいです。だから…悠馬君は常日頃から父と妹美咲ちゃんを憎んでいたらしいです。そんな理由から祖父母と言っても父方の方ではなく、母親の祖父母宅にしか行かない悠馬だったというのです」


 ※昔は京都大学法学部が偏差値は高かったが、令和6年司法試験の法科大学院ごとの合格者数ランキングは慶應義塾大学法科大学院が第1位で、その後を早稲田大学法科大学院、東京大学法科大学院、京都大学法科大学院となっている。


「妹さんが滅茶苦茶優秀だったということか?それをモロに言われたらいじけるわなあ」


「そうらしいですよ。妹を跡継ぎにと考えていたようです。『お前みたいな出来損ないは要らない!』と言われて落ち込んでいたと聞きました。」


「そういった中で、2017年12月頃に自殺系サイトに目をつけた犯人Aは、多重債務(すでにある借金の返済に充てるために、他の金融業者から借り入れる行為を繰り返し、利息の支払いもかさんで借金が雪だるま式に増え続ける) や、いじめなどを苦にした自殺志願者を「集団自殺しませんか」と言葉巧みに騙し、「無理心中目的の説得ずくの快楽殺人」という手口に及んだ。そこに応募してきたのが若干12歳の悠馬君だったってことか?」


「どうも……そうらしいです。まだハッキリしたことは分かりませんが、あの悠馬君は見た通りのイケメンでモテモテだったらしいです」


「そこで…田村陽子さんをおびき出すために悠馬君を使って殺害したって事か?一体どういう事だよ?表向きは埋蔵金事件を装った異常者の快楽殺人と見せかけて、いらない人間を消していったって事?」


「そこのところはまだハッキリしません!」


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「日本古来の宗教である神道(日本の宗教)は、死んだあとも魂が永遠に残ると教えられている。神道には幽冥界(ゆうめいかい: あの世)という領域があるが、そこからこの世に未練のある幽霊が戻ってきて、生きている間に自分を苦しめた人間に取り憑き、復讐するという。


 それでは…諸悪の根源の田村陽子さんと友里花ちゃんの先祖はどのような最期を遂げたのか、改めて見て行こう。


 あの世に渡った2つの怨霊は天災となって、あの日先ずは「日光繊維」を集中攻撃して会社諸共跡形もなく焼け落ちたが、どういう訳か従業員たちは階下に逃げて多くが助かったが、利信だけは恐怖の連続の中、断末魔の死を遂げていた。


「正にいまわのきわの苦しみ。 息を引き取るまぎわの苦しみ」を味わい、英明と夕花を生地獄の苦しみの中生き埋めにした祟りが、ここぞとばかりに利信に襲い掛かった。


 雷が社長室を集中攻撃して、社長の目の前に幾重にも鳴り響く落雷と共に落ち続ける。恐怖で逃げ惑う利信だが、何と手を前に出した瞬間手の甲に雷が直撃して、手が削ぎ落ち生地獄の苦しみだ。見る見る手は溶けて断末魔の雄叫びを挙げて水場を探し回る利信。


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「ギャッギャ――――――――ッ!あああああ……あああああああああああ!ククッ苦しい!いっ痛ーい!ギャ――――――――――――――――ッ!」


 それでも…生き延びたい利信は恐怖で逃げ惑うが、今度は落雷と共に目の前に雷が落ちて顔中焼け焦げ醜くただれ、見る見るうちに溶け始めた。


「アチ アッチッチッチ  あちっちっちギャ――――――――ッ¡った助けてくれ――――――――ッ!」


 余りの苦しみに…水をかぶろうと水場に直行するが、給水場所を雷が直撃して跡形もなく消えてしまった。


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 バッシーン グッシャーン ドッースン バリバリバリ


 八方ふさがりの中で顔や手が焼け焦げ熱くて最後の手段を取ろうと思った。出入口ドアに雷が落ちて出られないので、外窓を開けて焼けただれた顔を雨に当てようと窓を開けて外に出ようとした。すると外窓を開けた瞬間その窓に雷が落ちて周りは火の海となったが、それでも…熱さの余り利信がこらえ切れず顔を外に出した瞬間恐ろしい事に、利信の体を雷が貫通した。


「ギャッギャ――――――――――――――――ッ!」


「ククッ苦しいココッ殺してくれ―ッ!こんな蛇の生殺しのような苦しみの中で生きていたくはない。いっそのこと一思いに殺してくれ!まさしく蛇の生殺しで、半死半生にして、殺しも生かしもしない 、 蛇をさんざん痛めつけながら、完全には殺して しまわず、半死半生の状態にしておかれているようなものだ」


 こうして…死闘の末、絶望と苦しみの中、断末魔の雄叫びと共に力尽き最期を迎えた。

「それでも…やはり…死にとうない。生きたい!」


 蛇の生殺し状態が続いていたが、とうとう息絶えた利信だった。

 悪い行いをすれば自分に返って来るという事を、身をもって経験して死んで行った利信だった。



 一方の美智子の死に様はどのようなものだったのか?


 ある8月の昼過ぎから夕方にかけて異常事態が起こった。 


 天気が急変して、強い雨や突風が巻き起こったかと思うと「雷」が発生し、空が薄紫に急変し稲妻が…怒涛の如く荒れ狂って。ものの24時間で100回の数の落雷が落ちて火事が発生した。


 それにしても怨霊とは恐ろしいものだ。怨霊が憑依することによって、疫病や天変地異など社会に甚大な被害がもたらされると信じられてきたが、正に本当に起こってしまった。


 誠に残念なことだが、利信の死は自業自得だが、妻の美智子は何の関係もないのに儚い一生だった。僅か23歳でこの世を去った。


 

 美智子が今まで感じた事のない真近に迫った雷の轟音と、一度たりとも見た事のない落雷の脅威をまじまじと見せつけられてしまった。


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「おのれ―よくも……おのれ―よくも……虫も殺さぬ顔で、いけしゃあしゃあと私の夫を奪ってくれたなあ。許せぬ💢💢💢私はお前のせいで……お前のせいで……生き埋めにされ、この世の地獄を味わい死んだ。お前さんもその苦しみを味合わせてやる💢💢💢ふっふっふ……もっともっと苦しめ!💢💢💢わっはっはっは」


 そう言うと夕花は怨霊となり美智子に憑依して苦しめた。


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 怨霊のもたらす祟りは、憎しみや恨みの対象となった人や周りの人々に不幸な出来事が立て続けに起きたり、死に至らしめたりするというものだが、新婚生活は利信にとって夢のような毎日だった。若くて美しい新妻の事が愛おしくて愛おしくて、今までの浮気癖もぴたりと止まった。


 だが、そんな幸せな日々にも異変が起こる。それはある夜の事だ。熱々の2人がベッドで愛し合っていると、美しい美智子が幽体離脱したかと思うと、寝室の天井付近に飛びあがり、それは一瞬で殺人鬼と化した夕花に変わり、顔つきも悪魔が宿った化け物のように髪の毛を振り乱し、青白い顔で口からは牙と血を滴らせながら襲って来た。


「よくも……よくも……私をあのような最も残酷な方法で殺してくれたなあ。許せぬ!💢💢💢死ね!」


「ギャッギャ――――――――ッ!タタッ助けてくれ――――――――ッ!」


「私を苦しめてくれたお礼をたっぷりとしてやろいじゃないか、うっふっふっふ!」


 そういうと、のこぎりを手に持ち首元目掛けて迫って来た。


 そして…このような状態は頻繫に起こるようになっていた。それも……必ずと言っていいほど夜になると美智子の体に異変が起こる。利信に殺された夕花の怨霊が、報復を開始する。

 寝ると同時に幽体離脱した怨霊が、美智子の姿を借りて夜の寝室の天井にスーッと飛び出して殺人鬼と化すのだ。


 ある時は包丁で、ある時はのこぎりで、人体を真っ二つにしようと迫って来る。ある時は熱い熱い焼けた火鉢を赤々とキンキンに焼き手に持ち、利信の顔と目を目掛けて天井から襲ってくるのであった。


「ギャッギャ――――――――――――――――ッ!」


「あなた……あなた……しっかりして下さいな!」


 するとその時、あの優しく美しい美智子が、顔をこわばらせて恐ろしい言葉を吐いた。


「お前のせいで……お前のせいで……私はまだまだ……生きたかったのに命を絶たれてしまったではないか!💢💢💢許せぬ!たっぷりとお返しさせてもらうからな。ふっふっふ!」


 そうなのだ。愛する妻美智子に夕花の怨霊が乗り移ってしまったのだ。



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