メイドは魔法少女になりきれない

ヒイラギ

一話

 私のお嬢様、花咲玲菜(レナ)はいわゆる完璧超人だ。

 勉強では定期試験で学園1位、運動も万能。そして経営者としても奇抜な発想や判断力から高校生で二つほど企業を運営している。

 私はそんなお嬢様を尊敬しているし、これからも傍でお嬢様にお仕えしたいと思っている。

 だがそんな私にとある妖精が声をかけてきたのだ。


 私、柊茉來(マコ)の家は古来から花咲家の従者で、私もお嬢様に仕えるためだけにお父様から心構えから始まり、掃除、お嬢様の習性、剣術、格闘術まで様々な教育を叩き込まれた。お嬢様のためを思えばそんな教育は苦じゃなかったし、こんな私でもお嬢様の傍にいられるならなんだってできた。

 少し話は変わるのだが、そんな教育もありサブカルチャーに疎く、お嬢様にも

「おばあちゃんみたいだね」なんて言われ、少しショックを受けたりもした。

 なので魔法少女がどんなことをしているのかも、どんな戦い方をして、なんのために戦うのか、おそらく最近の幼児のほうが知ってそうなことさえ私は知らない。

唯一知っているのは敵を思いっきり殴りつけて吹き飛ばしていたことぐらいで、お嬢様がたまたま見ていて私がそれを覗いた程度の知識なわけだ。


そんななかでいつも通り、買い物を終え、もう少しでお屋敷につくというところで、目の前の妖精、確か名前がフェリア・シレーネ(って言ってた気がする)が私にこんなお願いをしてきた。

「私と一緒に魔法少女になってこの世界を救おうよ☆」

一瞬私は疲れているのかと思った。

だってそうだろう?こんな軽い感じで『世界を救おうよ☆』なんて言っているようなやつを信用するのも馬鹿馬鹿しいし、まずこんな真っ白なクマが翼を生やして飛んでいる時点で私は自分の正気を疑うね。

「いきなり声をかけてきて、『世界を救おうよ☆』って言われても困りますし、

私にはお嬢様という守らないといけない人がいるので、そんなのに使う時間は微塵もないのですが・・・」

「大丈夫大丈夫☆時間に関してはマジカルな力でどうにでもなるからさ☆私はね!

メイドこそ魔法少女になるべきだと思うんだ!!個人的な趣味だけどね☆」

一瞬そうなのかと思った私は本当にサブカルチャー系の知識がなかったことを後悔した。

 するとフェリアはとある指輪を取り出すと、私に手渡してきた。

「これは?」

「これこそ魔法少女に変身できる指輪だよ☆これさえあれば魔法少女に変身して

マジカルな力が使えるよっ☆どう?私と魔法少女になってみない?☆」

「というかなんで私を魔法少女にしたがるんですか?メイドなんてこの国でも腐るほどいると思うのですが・・・」

「それは君が無知・・・・もとい君には魔法少女の才能があると思ったからさ☆」

ぶつぶつと「・・・・・最近の子たちは私たちに対して悪いイメージを持ちすぎなんだよ・・・・☆そんな勧誘しただけで冷えた目で見る必要ないじゃないか・・☆」なんて言っているような気がするが聞かなかったことにしてさっさと断ろうかと思った。こんな時間を腹黒妖精に費やすほど時間はない。

そう思ったその時

お屋敷が爆発したのだ。

「へ?」

「あれが私たちの敵『魔女』だよ!早くこの指輪を使って!!」

「で、でもどうすれば・・・」

「指輪を前に掲げるとコインが出てくる!それを手の甲ではじくとマジカルな力で変身できるから☆」

 状況に便乗して契約させようとする詐欺師妖精は続けて

「それに、あの屋敷で魔女がいるなら君が言っていたお嬢様も襲われてるんじゃない?☆私ならそのお嬢様を助けられる、どうかな?お嬢様を助けるために魔法少女になるのは?☆」

正直嫌な予感がしていた。もしここでこの誘いを断ったら?もしここでお嬢様を助けられなかったら?私は一生後悔するかもしれない・・・お嬢様を失ったら私は居場所も生きる意味も失ってしまう・・お嬢様が私以外の人に殺されるのは・・・・

「・・・・・・・・嫌。フェリアっ!私に指輪を下さい!今お嬢様を救えるなら私はなんだってします!」

「よし来た☆ほら、これを使って!」

投げられた指輪を受け取ると、さっき詐欺妖精が言っていた行動をとる。

たしか・・指輪を前に掲げるとコインが出てきて、弾くとマジカルな力で変身?できるんだよね・・

「・・・もうどうにでもなれ、ですよっ!」

私は前に指輪を掲げ、出てきたコインを弾いた。

気が付くと、着ていた服が弾け飛び、身体が発光しながら回っていた。

 な、なにこれ・・・・っあの詐欺妖精にしか見られてないと思うけど恥ずかしい・・っ!!

髪の色が黒から銀髪に変わり、私服なのにメイドのカチューシャが付き、メイド服の面影のある銀と黒のドレスになっていた。

「こ、これが変身・・・・・は、恥ずかしいですっ!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


せっかくだから次回予告みたいなことをしようか☆

 メイドとして働いていた柊茉來はひょんなことからメイド魔法少女として戦うのだが、魔女が作り出した敵に大苦戦☆苦言をこぼしながら戦うが知識がないせいで魔法が一切使えない☆

 さてさていったいどうなることやら、だね☆

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