Rank20〜

MoA:Rank20「vsテュール」

ごきげんよう、マイグラント。


前回……“ロッテン・コーカソイド”との戦闘では、改めてあなたの特異性、そして強さを認識しました。


さて、ここからは中位帯との戦闘となります。


最初の相手はTA“チェインド・フェンリル”

識別名“テュール”


彼はガイア製薬精鋭部隊の第三隊長であり、火力特化の四脚機体を操る若きエースです。

世界樹海への侵攻でも第三部隊だけでなく、侵攻部隊全体の指揮を取っていたとされており、非常に視野が広く、確かに継続的な補給の難しい最前線での闘いに向いている人物と言えるでしょう。

とは言え、あなたとは世界樹海で何度か交戦しています。苦戦はすれど、致命傷を負うことはないでしょう。


以上となります。

シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
























 エンドレスロール アースガルズ城塞・上部

 広大な樹海の只中に建てられた城塞、その屋上の一区画で目覚める。眼前に立つのは、迷彩が施された四脚機兵だ。

「山猫か……」

 四脚機兵テュールはこちらを捉えて溜息混じりに呟く。

「なるほど、そういうことか。この、反吐が出るような、終わりのない闘いをお前が終わらせてくれるんだな、山猫」

 テュールは飛び上がり、四脚を投げ出すようにしてホバリングする。

「俺は疲れた。だから、敢えてこう言わせてもらおう――“こいつは俺が倒してしまっても、構わんのだろう?”」

 右腕のデトネイトバズーカを放ち、こちらが飛び上がって回避すると同時にテュールは背部のブースターも使って巡航を開始し、左腕を振り抜いて装着されている歪なコンテナから大量の子弾を撒き散らし、空中で固定する。

「お前のような強者に三度も手の内を見せている以上、通じるとは思わんが」

 子弾が弾けて大量の散弾を吐き出し、こちらは両肩部の追加ブースターごと全噴射して突進し、その推力に任せて散弾を弾き返しながら急接近する。テュールは急な方向転換が出来るほどの速度が無いようで、回避できずに両腕の蒼光ブレードによる斬撃の直撃を受けて大きく姿勢を崩す。

「ッ……!」

 テュールは地面に叩きつけられるようにしながらも脚部で捉えて堪え、すぐに左肩の三連装ビームキャノンを構え、こちらへ放つ。余裕を持って左へ瞬間的ブーストを行って回避し、テュールは続いて右肩の大型ミサイルを発射し、迂回するような独特の軌道を描きながら大量の子弾を撒き散らして広範囲を爆撃する。更に特殊ショットガンで簡易的なバリケードを形成して接近を拒否しつつ、こちらは重ねて放たれたデトネイトバズーカの砲弾ごと生命エネルギー衝撃波で粉砕し、その隙にチャージした左腕の蒼光ブレードを振り抜いて光波を飛ばす。あちらは斜め後方に飛び上がりながらホバリングに移行して回避し、三連ビームを反射的に放ち、こちらはスピード任せに右斜め前方に飛びながら左斜め前方へ瞬時に切り返して、あちらの対応力の埒外から接近しきって両腕の蒼光ブレードを再び同時に当てる。しかしテュールは咄嗟に胴体部からエネルギーシールドを展開して受け止め、相殺して消滅する。こちらが蹴りを重ねて瞬間的ブーストで逃げながら、ブレード発振器の冷却に務める。

「まるで闘い方が違うな……そうか、不測の事態を予測して対処しなければならない通常ミッションと違って、これは闘技のようなものだからか……」

 デトネイトバズーカが再び放たれるが、速度の違いからまるで当たらず、こちらが強気に接近してから再び生命エネルギー衝撃波を直撃させ、すぐさまチャージした蒼光ブレードを同時に当てて吹き飛ばしながら大破させる。

「お前の……飼い主に伝えろ、山猫……

 墓荒らしは、止めておけ、とな……」

 テュールの機体は地面に激突すると同時に大爆発し、間もなくシルヴィアの声が届く。

『TA“チェインド・フェンリル”の撃破を確認。

 お疲れ様でした』

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