第11話

「奇妙な模様が発見された場所は複数あるって話だったわね。ここは複数に分かれて調査しましょう」


 捜索をしようとしたら、エミルがそう提案してきた。


「分かれるのか? 大丈夫か一人で」

「私を誰だと思っているのよ。冒険者ランク7位のエミル・トールよ。どんな魔物が来ても負けはしないわ」


 こいつ7位だったのか。相当高いな。それにしては不用意な行動も目立つけどな。


「まあ、別れた方が効率も良いだろうし、そう言うなら頼んだ」

「任せなさい!」


 不安はあったが、ここは提案通り二手に分かれて調査を行

うことにした。


「それじゃあ行くわね!」


 エミルが全速力で走っていった。すぐに姿が見えなくなる。

 張り切っていたが、やらかさなければいいのだが。



 俺もラジオで聞いた情報を頼りに、各地に建造された奇妙な建物の調査を行った。

 情報にあった場所に到着する。

 情報通りマーブル模様の建物があった。

 ただ、前情報では一軒だけという話だったが、違っていた。町みたいな感じになっていた。

 マーブル模様の城壁で覆われており、個性的な様々な建物が中に建築されている。中央には大きな城がある。全ての建物がマーブル模様で正直気味が悪い。

 アーチ状の門があり、そこが入り口のようだ。

 開城されており入ることは容易だ。

 早速入ろう。


 俺は門をくぐり中に入る。


『ようこそ! シーランドへ!』


 くぐった瞬間、少女声が響き渡った。


 何だ? シーランド? 


 誰が言ったのか探してみるが、近くにはいない。

 近くには奇妙な着ぐるみたちが楽しそうに踊りながら闊歩している。

 襲ってくる気配はない。ただ踊っているのみ。奇妙な光景だ。

 外から見たら町だと思ったが、遊園地にも見える。

 気持ち悪いディズ〇ーランドと言う感じだ。


『くすくす、あなたが初めてのお客さんだよ! あんまり強くなさそうだけど、楽しく遊べるかな?』


 笑いながらそう言ってきた。かなり生意気そうである。


「おい。早く出て来い。今出てきたら、痛い目には遭わさずに済ませてやる」

『シーラに会いたいの? なら、アトラクションをクリアしてスタンプを集めて来てね』

「いいから出て来い」

『駄目だよ。ルールだから!』


 出てくる気はなさそうだ。片っ端から探してもいいが……

 俺の目的は湖を元に戻させること。怒らせてしまったら、いう事を聞かせるのに時間がかかる可能性がある。邪悪な魔物ではない可能性もある。


『お兄ちゃん弱そうだからクリアできないかもだけど。怪我したら治してあげる』


 言葉遣いはいちいち生意気な感じだな。ただ殺す気はないようだ。

 多少生意気でも別にイラついたりはしない。

 あと、アトラクションといっても、ただ乗るだけでいいわけじゃなさそうだな。乗った後、何かしないといけないようだ。


「お前の名前はシーラって言うのか?」


 挑発は無視して、俺は会話を試みる。


『そうだよ』

「何でこんな建物を作って回ってるんだ」

『人間たちと遊ぶためだよ。魔界は退屈だったの。人間界でも人間たち来ないなぁって思ってたけど、来てくれて嬉しいな!』

「そりゃこんな気味の悪い建物に入るやつは中々いないだろ」

『えー! 気味悪いって酷い! 可愛いでしょ!』


 不満げな様子だ。どうやら作った本人の美的感覚では可愛い建物のようだ。

 こいつ、人間を殺戮したりするために魔界に来たわけではなさそうだな。


「分かった。お前の言う通り、アトラクションとやらを楽しんでやる。終わったら約束通り、俺に会ってもらうぞ」

『うん、約束するよ!』


 元気よく返事が来た。

 シーラと言う魔物に付き合ってやると決め、近くにあった建物に入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る