3度目の人生は未来世界で! 仲間に裏切られ、記憶を失った元勇者の男女比1対50の未来学園甘々生活。【 カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト中間突破】
石のやっさん
第1話 ここは何処だ? そして僕は……
『メリル何故、僕を殺そうとするんだ? 僕は魔王を倒してこの世界を……』
『だからよ? 今迄は魔王を倒して貰わないと困るから、貴方を愛していた振りをしていたのよ! 私が愛しているのはセクトールだけよ! 魔王を倒した今、貴方は必要ないわ』
金髪の美しい少女が冷酷な笑みを浮かべ僕を糾弾してきた。
『そうそう、しかも君を殺せるチャンスは今しかない。 魔王と戦い消耗した今なら、僕ら二人で君を殺せる』
茶髪のイケメンの少年が目を吊り上げ殺意を向けてくる。
「セクトール親友じゃ無かったのか……お前も俺を裏切るのか……」
こんな奴らの居る世界を守るために俺は、日本から来て戦い続けていたのか?
恋人面して親友面して……最後には……俺を……裏切るだけじゃなく殺すのか。
利用するだけ利用して殺す……異世界なんてクソッ喰らえだ!
「ファイヤーストーム」
「ホーリーサークル」
炎と光に包まれ僕は…….命を落とした。
◆◆◆
嫌な夢を見た。
背筋がヒヤッとした。
誰かに殺される夢を見ていたのか?
夢ならいいや。
それより、ここは何処だ?
暗くて何も見えない。
一体ここは何処だ?
僕が目覚めると、そこは真っ暗だった。
ベッドで寝ているようだが、真っ暗で何も見えない。
手探りで周りを歩きながら探してみると壁にスイッチがあった。
スイッチを入れると明かりがついたが……
コンクリートに囲まれた部屋。
あるのは、見た事もないようなベッド。
ベッドというよりカプセルだ。
まるでSF映画の中に……クッ、頭が痛い。
色々なボタンがついていて、小さな液晶画面には『放射能数値適正』『コールドスリープ解除』『生命維持装置解除可能』そう書かれていた。
とりあえずカプセルの蓋を押し開けてみると明かりがついた。
さっぱり意味が分からない。
おかしな事に、この部屋には、窓も無ければ、テレビなどの家電、テーブルなどの家具もない。
生活必需品という物が何も無い。
何処にも生活感が無い。
周りを見渡すと、金属で出来た梯子があり、その先には潜水艦の入り口の様なハッチがあった。
ここに居ても仕方ないな。
僕は、そのまま梯子をあがり、ハッチをあけようとしたが開かなかった。
こんな所に僕は閉じ込められているのか?
どうにかして出ないと……そう考えて見まわしたら『緊急用』そう書いてあるレバーがあった。
それを引っ張ると横の壁が大きな音を立てて崩れた。
その先に見えたのは、下水道?
下水道に繋がっていた。
しかし、暗くて何も見えないな。
だけど、こんな所にいるよりましだ。
幸い、近くに懐中電灯が置いてあったのでそれを手に取り下水道に入った。
暗闇の中、懐中電灯の灯りを頼りに、下水道を歩いて行くと、上から光が差し込んでくる場所があった。
ようやく、外に出られる。
梯子を上り格子状の蓋を押し上げ外に出ると。
「危なーーい!」
キキキキキーーッ! ドカッ!
「うわぁぁぁぁーーー」
僕はいきなり車に跳ねられた。
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