あの青

星るるめ

深青

まどろみの午後には


薄明光線がやけに厳かに


見慣れた海へと降り注いで


ああ 大人を模った今も


思い出の中の青は


こんなにも鮮やかで


事実よりずっと美しいなんて


あの青を上手に薄めたような


涼しげなアイスになって


食われて溶けていつか


似ている色の星になれたらいい


そんなばかげた思考を


未だ手放せないまま


指先まで眩しいあの人の笑顔から


微かに滴った悲しみの


その色を僕は今も追ってさ


やつらの言葉なんかに縛られず


真偽なども探らせずに


「ファンタジーだよ」って言って


今はなき深青の世界を


ただ楽しみたいだけだよ

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