本読みなら立ちどころに想起される部室の描写にまず五感を掴まれる。作者お得意の「リアルと虚構のギリギリ境目をついてくる」ヒロインの危うげな魅力。軽妙で澄んだ台詞回しは、舌の上で想像以上の深い滋味を感じさせる濃厚なコンソメのよう。口どけがいいのに、いつまでも後を引く読後感は、まるで上質なチョコレートのような作品です。レビューの意味が分からない?だったらまずは、眺めてばかりいないで、召し上がってみてはいかがでしょう。