桃○郎
模造紙
第1話
昔々あるところにおじいさんとおばあさんに養われていた、
桃九郎という男がおりました。
彼は自称アイキュウ120の天才らしいですが、
日ノ本で一番名門の鬼ヶ島大学に入学試験を何度も出し、
どんぶらこ、どんぶらこと何年も浪人しておりました。
ある晴れた日におじいさんが深刻な顔をしながら、
桃九郎を隙間風が吹いている居間に呼びました。
おじいさん「桃九郎、そろそろワシらは限界じゃ。
いままで何とかだましだまし生活していたが、
お前も真実を知るときがきたのじゃ。
いいか、よく聞くがよい。
この家は60歳すぎて夢の年金生活どころか、裏山の木は全て木材として
売り払い禿げ山。
ばあさんは川に洗濯をしに行くと見せかけて、村の若者にお金を払って
母さん活動。
ワシは村での違法賭博の元締めであることを代官にばれてしまって、こ
れからお勤めにいかねばならん。」
そういっておじいさんは玄関のほうをクイッと親指で指し示すと、黒いきっちりとした服装に身を包んだ集団が扉の無い玄関から家の中を覗き込んでいた。
おじいさん「だが、ワシにはわかる。
桃九郎、お前にはとてつもない才能が眠っている。
その才能が開花すればワシを超える逸材になるだろう。
桃九郎よ、大志を抱け。
今日このときがお前の旅立ちの日なんじゃ。」
そういうとおじいさんは、黒いきっちりとした服装の集団に縄でしばられ連れて行かれたのであった。
それを見た桃九郎は大志を抱いた。
必ずおじいさん(おまけで、おばあさん)を超える逸材になると。
そう考えた桃九郎は扉の無い玄関を出て、村一番の品物を取り扱う質屋に走った。
桃九郎「おやじ!うちの家の品物を全部買い取ってくれ!」
やはり、世の中行動を起こすには先ず金である。
桃九郎はおじいさんが一生懸命夜なべして作った偽造の小切手も、
おばあさんの年不相応な派手な下着すらも質屋でお金に換えた。
ある程度まとまった金を手にした桃九郎は、3年前に一家移住してきた思い出の村を出たのであった。
桃九郎「アイキュウ120の私が活躍するには、優秀な部下が必要だ」
そういって桃九郎は、道ばたにあったお供え物を手に取り、スカウト活動を始めた。
桃九郎「いぬ!これ(道ばたの饅頭)をやるから、部下になれ!」
いぬ(と呼ばれた、行き倒れの男)「かしこまり」
桃九郎「さる!(部下に)ならないか!」
さる(と呼ばれた、いい男)「ならない!」
桃九郎「きじ!きみのクリック力は我が社には必要だ。月給○万円+好条件でどうだ!」
きじ(と呼ばれた、伝説の転売屋)「良いだろう、私の力を貸してやろう」
そうして、桃九郎は驚くほどトントン拍子に会社を立ち上げた。
桃九郎「我が社はこの時代を数歩先に進ませるための礎となる技術で、世の中を幸
福にしてやろうではないか。先ずは転売だ!全員死ぬ気で仕事するぞ!」
そうして、桃九郎の転売事業は恐るべき早さで成長していった。
なにせ、有名な鬼ヶ島芸者の公演券が販売されたと同時に売り切れが続出。
その後は何倍にもなった公演券がとある店で転売される事態になった。
あるときは、有名絵師が書いた浮世絵がすぐ売り切れになり、
またあるときは、吉原の芸者が戯れで書いた署名が本人の身請け金と同じ金額で取引されていた。
これら全て、桃九郎の会社が起こした社会への「いのべーしょん」であった。
桃九郎「いいぞお!誰かが欲しい物を売ってあげるのだ。これは慈善事業だよ!
そのときにちょっとだけ手数料をいただくだけだ!
私はおじいさん達のようにはならない!
私のこの行動は地獄にいるであろう閻魔大王ですら、天国に行かせざるをえ
ないだろう!」
そういって過去一番桃九郎は調子に乗っていた!
しかしながら世の中というのは調子に乗れば乗るほど、
手痛いしっぺ返しがあることを、
浪人生でおじいさんの脛をかじってしゃぶって舌鼓をうっていただけの
桃九郎には想像がつかなかったのだった。
「うごくな!これより国税局の青鬼と赤鬼が、貴様らの脱税容疑を確認する!」
桃九郎は冷静に務めようとしたが、
顔や脇から汗が滝のように流れ、川となり、海を作った。
桃九郎「こ、こくsy、失礼かみました。国税局の有望株が何かご用ですか?私の
事業は品行方正、なくなった私のおじいさんに誓って悪いことは何一つあり
ませんよ?」
青鬼・赤鬼「それを今から調べるのだ!大人しく座っていろ!」
桃九郎は近場にあった、いぬの足下から変な匂いのする椅子に素直に座った。
いき倒れて死後数日たっている、いぬの足を蹴り飛ばしすっぽりと机の下に隠した。
この天才的な技術に桃九郎は満足感を覚えたのもつかの間、
すぐにこの緊急事態をどうにかする算段をつけねばと思った。
桃九郎「(くそ、いぬめ!国税局にはばれないように脱税できる天才的な方法見つけたっすよー!とかいってくるから許可したのに、このざまだと!許さん!)」
そう言いながら、さるの机を見る。
桃九郎「(くそ、さるは最初に声かけたときから一度も出社してこねーし!イケメンだからといってゆるせん!来ないと言えばキジも最近みねーな!おかげで転売業務が滞っているのに、どこいったんだ!ちくしょうめー)」
ちなみにキジはクリック力上昇の秘訣は機械の速さというスピード狂的な考えで狭い部屋で所狭しと機械を増やし、部屋の温度が上昇、さながらオーブンのようになった部屋でチンされた。
それを見つけた餓死一歩手前のいぬが、1ヶ月前に職場で夜勤中こっそり食べたのだった。
このときいぬは、桃九郎の机の中にあった最高級のぶどう酒を拝借することに成功した。
しかし、餓死一歩手前だったいぬの体に大量の酒を入れたため、急性アルコール中毒によってひっそりと職場で倒れたのであった。
それはさておき、
桃九郎はこの重大なトラブルに解決策を見いだせぬまま、
時間が過ぎ、審判の時がやってきた。
自称アイキュウ120の脳みは、緊張すると本領発揮できないのであった。
赤鬼・青鬼「黒だ!カビ○ラーでも落とせないぐらい真っ黒だ!」
桃九郎「誰がカビだ!この糞尿まみれのピー(放送禁止)野郎ども!」
そうして桃九郎は脱税・死体遺棄・公務執行妨害など、
様々な罪で豚箱行きになりましたとさ。
めでたし、めでたし(終)
桃○郎 模造紙 @AK-TOPASS022
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