第10話 魔法学校
🟥🟥🟥【15歳】🟥🟥🟥
タイムリミットまで、あと2年と8ヶ月……
*
カラスを助けた後、僕はヤマトを追って魔法学園に向かうと——門の所で出迎えの人が待っていてくれた。
そして、僕は【ザガワ】と言う人の推薦状で訪問した事と闇属性と言う事で何故か物凄く歓迎された。
と、言うわけで難なく入学手続きを終えた。
僕は、クラスでも一躍人気者になっていた。
顔も名前も知らない【ザガワ】と言う人のお陰で……
そして、ヤマトには注意事項を二つほど言われた。
まずは、闇属性の魔法以外は使わない事。
これは、普通は1人1属性の為に——その事がバレて実験や研究を手伝ってくれと言われると時間をロスする為に目的を最短で行う為に大事な事だと伝えられた。
そして、星の子や4代貴族者と仲良くなれと言われた。
この人達は、塔の場所を知っている七星賢者の子息や弟子達である為に——この者達と知り合いになる事は必須事項となるのだ。
その為に、僕は学校で4代貴族を探していると相手の方から僕に近づいて来た。
現れたのは七星賢者の子息の2人で、炎属性の【バーナー・フレイム】と言う男性と水属性の【アクア・アトランティス】と言う女性の魔法使い。
そして、2人は学園で最も優れている七人のうちの2人で他の生徒達からは星の子と呼ばれる存在であった。
「よお、お前が金の賢者ザガワ様が推薦人のクロウだな。
俺達は、七星賢者の子供の【バーナー・フレイム】と……『アクア・アトランティスと申します。以後、お見知り置きを……』
と、言う訳で——お前は、これから俺達の仲間に加われ!」
そう言われると、僕は——予定通りに貴族、しかも七星賢者に最も近い。その子供達と知り合いになった。
そして、その後はバーナーとアクアと——その取り巻き達に校内を案内してもらうと……
その案内の最中は、色んな話を聞かせてもらえた。
まず、星の子は——あと数人の居ると言う事……
炎のバーナー、水のアクアの他に——金の【シズク】。
僕は、シズクと言う女の子は知り合い。なのかと聞かれたが、全く持って聞き覚えが無い名前なので「知らない」とだけ答えた。
そして、他にも学園で最も魔力量の多い。
光の【アリス】この者は、女性で光属性の使い手と言う事を教えてもらえた。
きっと、闇属性の僕とは相性が悪いとも思った。
「まあ、星の子については——こんな所だな」
「後は、学園で普通に生活をしていれば耳に入ると思います」
そして、校内の案内が終わると——全校集会が行われて、そこで大々的に僕の紹介が行われた後に教室に戻ると——授業の前に僕の実力を見せる事になった。
僕は、クラスの皆んなに闇魔法を見せると——世界でも数人しか居ない闇魔法を興味津々であった。
そして、先生が水晶を持って来ると——。
「皆んなにクロウ君の魔力量を見せてやってはくれないか!」と言われたので……
僕は「魔力量は少ないですよ!」と言い水晶に触れると……
皆んなに見えるように魔力量が【8】と表示された。
皆んなは驚きで声を失うと、先生が……
「今日は、調子が悪いのかな……それとも魔力を使いすぎたのかな?」
そう聞かれたので、僕は——。
「そうですね。今日は、2回ほど魔法を使いましたから。少し減ってはいますが、基本的に僕の魔力量はMAXで【10】ってとろこですよ」
僕が、そう言うと教室がよりいっそう静かになったのを感じた。
すると、バーナーが……
「お前、ザガワ様のモルモットかよ!」
その言葉が静まり返った教室に響き渡ると、その噂は——学校中を瞬く間に駆け回った。
*
《モルモットとは、実験動物の事である。》
*
そして、次の日から僕は「落ちこぼれ!」と言うレッテルを貼られると、誰からも相手にさらなくなった。
もちろん、昨日友達になったバーナーとアクアからは——ゴミの様な扱いを受けていた。
「おい。クソゴミ、俺達と同じ空気吸ってんじゃねーよ!」
「お辞めなさい。バーナー……
こんな者とかける言葉も勿体無いですわ!」
そうして、僕は初日の人気者からジョブチェンジを得て——魔法学校1の嫌われ者となった。
🟥🟥🟥【土帝との戦闘】🟥🟥🟥
しかし、ある日の事——僕に転機が訪れた。
その日は、学校に7芒星(ヘプタグラム)が1人が訪問する事になっていた。
誰が来るかは公開されて居なかったが、僕はバーナーの父親である。火の賢者だけは来ないでくれと密かに願っていた。
そして、生徒が集う全校集会にて学園長と共に訪れたのは土の賢者こと【寺田ゲンゾウ】であった。
彼の外見は、スキンヘッドの筋肉モリモリの大男で服装も独特であった。
ゲンゾウは、東の島国の出身で着物と言う布を身につけており、首や手首には
ヤマトの説明では、東の島国では——坊主とか坊さんとか呼ばれて神父なんかに近い仕事をしているのだと説明された。
そして、彼は七星賢者の中でも最も高い魔力を保有しており。
それに目をつけた、今の国王がスカウトして七芒星の一角を担っているとの事であった。
それから全校集会にて、校長先生と共にゲンゾウは学園の生徒に話を行うと、話の内容はゲンゾウが少しの間——。
この学校の教鞭を取るといった内容であった。
これを聞いた、僕はチャンスだと思もった。
学園では、落ちこぼれ認定をされて4代貴族達からは相手にされない。
ならば、土の賢者から塔の情報を聞き出す為に、彼に近づく為の計画を立てた。
ヤマトによると土の賢者ことゲンゾウは、魔力量の低い者を馬鹿にする事は無いとの事であった。
実は、ゲンゾウ自身も元々は——そこまで魔力量の多い人間では無かったらしく。
独自の修行により、その高い魔力まで辿り着いたとの事であった。
そう言う事ならと思い。僕は、ゲンゾウに気に入れる為に彼の好きな物や趣味何かを徹底的に調べ上げるだが……
そんな僕の計画とは裏腹に、ある日の事。
僕が廊下を歩いていると、たまたますれ違った土の賢者ゲンゾウに話しかけられる事になった。
「やあ、そこの君。少し話しをいいかね」
僕が「はい!?」と、答えると……
「確か君は、闇属性魔法を扱う。確か……クロウくんと言ったかね。
私は、七芒星の一角をになう。ゲンゾウという者なのだが……どうだい! 一度、私と手合わせをしてはくれないか?」
そう声をかけてゲンゾウを近くで見た僕は、物凄い筋肉とそれ以上に凄いオーラを目の当たりにしてゲンゾウが巨人に見えるほど大きく見えた。
そんな雲の上の存在の賢者が僕に手合わせの申し出をして来た。
これは、明らかにチャンスであるが……
僕が土の賢者に圧倒されているとそれを見ていた周りの生徒や教師達から非難の声があがった。
「その様な事は、おやめください。賢者様——ッ!
こやつは、この学校で1番の落ちこぼれであります。
そんな奴と賢者様が手合わせなど、貴方の品格が下がってしまいます。
どうか、おやめください!
もし、生徒と手合わせをしたいなら。こちらで優秀な生徒を見繕います!」
しかし、土の賢者は再度——僕と戦いたい事を宣言する。
「私は、そんなに大した品格など持ち合わせてはいないよ。
それに私は、彼と手合わせをしてみたいのだよ!
君達が、落ちこぼれと言う彼とね」
土の賢者に、どんな意図があるのかは僕には分からないが……
賢者ならば、間違いなく
知り合いになれば、その情報を聞き出せるやも……
そして、俺は手合わせの申し出を引き受けると賢者の真意を探る事にした。
それから数日後——。
僕と土の賢者が手合わせをする会場は、生徒達で埋め尽くされて満員となっていた。
ほとんどの生徒は、僕の無様な負け姿を見に来ているのであろう。
しかし、そんな事とはつい知れず土の賢者が飄々と話す。
「こんな大事になるとは、思ってもいなかったよ」
(この人は……)
「あなたは、皆んなの憧れである。
七星賢者様ですから。誰が相手でも、このぐらい集まりますよ。
そんな事より一つ聞いていいですか?」
「何だね?」
「どうして、僕を対戦相手に選んだのですか?
僕なんて、この学校では1番の落ちこぼれですよ」
「そうだね。
闇属性と土属性は、似ている所があるから闇属性の使い手と手合わせしたかった。と、言うのもあるけど……初めて君とすれ違った。
あの時に君から発せられるオーラが他の賢者達の近しいモノを感じ取ったからかな……」
その時は、確か僕の肩にヤマトが乗っていた。
「それは、ヤマトが……いや、何でも無いです。
土の賢者——。ゲンゾウ様、胸をお借りいたします」
「宜しいですよ。いつでも良いかかって来なさい」
そして、僕達は向かい合うと真剣な表情になった。
僕は、闇魔法で影で刀を作るとゲンゾウに切りかかった。
ゲンゾウは、それを魔法では無く体術で受け流すと僕を遠くへと投げ飛ばした。
僕は、空中で体制を整えると綺麗に地面へと着地をした。
しかし、その瞬間にゲンゾウは土魔法で作った壁が両側から僕を押し潰す!
僕は、何とか影の手を伸ばすと——伸縮により間一髪で脱出に成功する。
「危なかった……」
すると、息つく暇を与えないスピードで次々と土の柱が襲いかかって来る。
僕は、それを影の触手で砕いて行く……
1…2…3…4…5…6…7…8……14…………24………………36……………
どれだけの柱を砕いただろう。
僕は、土の柱の猛攻が止まると闇魔法で影の槍を複数作り出す。
そして、それをゲンゾウに向けて放とうとするが……砂煙でゲンゾウの姿が見つからない。
すると、砕けた土の塊が宙に浮かび出すと次の瞬間に流星の如く僕に降り注いだ。
僕は、ゲンゾウへの攻撃をキャンセルすると瞬時に絶対防御へと変更する。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド——ッッッ!!!
ゲンゾウの流星の如き攻撃が止むと、そこには絶対防御の真っ黒の球体が現れる。
僕は、
すると、ゲンゾウは何故か満足した様子だった。
そして、ゲンゾウは僕に……
「もっと、修行をして強くなりなさい。体力、魔力共に少なすぎる!
もし、もっと私を楽しませる事が出来る様になれば——私の後継者に君を推薦する事も考えますよ」
これは、千代一隅のチャンスだ!
僕は、大きな声でゲンゾウに返事を返す。
「ありがとうございます!」
そうなれば、塔の情報も聞き出せると思った僕は——ゲンゾウの信頼を勝ち取り弟子になれる様に努力をする事を決めた。
そして、ヤマトの言葉を思い出した僕は——。
「土星の賢者は、七芒星の中でも最も魔力量が多いから、お前みたいな魔力量の少ないザコは相手にもされないぞ。
だから、アイツと仲良くなるには最低でも今の10倍から100倍くらいの魔力量にする必要がある。
そして、あいつは正直で努力する者が大好きだ! だから、素直に頑張る気持ちを伝えるのもいいと思うぞ!」
その時の言葉を思い出した僕は——。
「必ず強くなって見せます!」
そう答えると、ゲンゾウは……
「期待して待っておるぞ!」
その言葉を残して、その場を後にした。
🟥🟥🟥【アリス】🟥🟥🟥
その後、ゲンゾウとの模擬戦を終えた僕は良くも悪くも沢山の人達に注目される事になった。
大半の者は、落ちこぼれの分際で賢者と戦った事への文句と——その戦いでゲンゾウに瞬殺された事を嘲笑っていた。
しかし、極少数の者達は僕を認める者も現れ始めた。
そして、その中の1人に——この学校最強と名高い星の子の1人アリスも含まれていた。
*
【アリス・スターシー】
彼女は、容姿端麗の金髪美少女で側には——いつもエルフの付き人を連れていた。
そして、彼女は——この学園の生徒の中で最も多い魔力量を保有しているうえに希少な光属性の魔法の使い手であり。
攻撃は、もちろん回復にも特化した攻守混同の天才であった。
僕も闇属性と希少な属性を扱う者であったが……魔力量が低い僕なんかが逆立ちしても近づける様な存在ではなかった。が……
そんな彼女から僕にコンタクトがあったのだ。
そして、僕は彼女に呼び出された為に学校が彼女の為に用意した彼女の部屋へと向かうと魔力量と光属性に興味を持ったヤマトもついてくる事になった。
しかし、ヤマトはアリスの部屋に着く前に僕に——調べたい事があるから「自分の事は放っておいてくれ!」と、言うと猫モード……ペットモードに移行する。
そして、アリスの部屋に着いた僕は——ドアをノックすると「失礼します」と、言い中に入る。
すると、中ではアリスは立派な椅子に座りエルフの付き人のバニラとティータイムの途中であった。
「突然、呼び出して申し訳ございませんね。
貴方も
アリスがそう言うとバニラは、僕の分の飲み物も用意してくれた。
「猫ちゃんにはミルクですね」
「たまに見かける。この子は、君の使い魔だったのですね」
「ええ、魔物ですが特に危険は無いので安心して下さい」
そして、僕とアリスは紅茶を飲みながら話を始めると——。
何でもアリスは、初めから僕の闇魔法と魔力量が異常に低い事に興味があるみたいだった。
何故かと言うと、アリス・スターシーの使う魔法は、僕の闇魔法の対局に位置する【光属性】しかも、アリスは学園で1番の魔力量をほこる人物——。
それに対して、僕は学園で1番……いや、国で1番最低の魔力量である。
しかし、アリスはそこに興味を持ったみたいだった。
そして、僕達は他愛も無い話をした後で——僕はアリスといずれ手合わせをする事を約束させられた。
(この人は、何を考えているのやら……)
片や学校1の落ちこぼれ。片や学校1の秀才。
やる前から結果は分かっている様なもので——。
それから僕達は、少し話をすると僕はアリスの部屋を後にした。
そして、部屋から出るとヤマトが不思議な事を言い出した。
「…………あのアリスとか言う女……何かあるな!」
「何かあるって……当たり前だろ! 学園1の実力者だ。
普通の人とは、持っている物が違うに決まっているだろう」
「確かに、そうなんだが……魔力量を鑑定してみたんだが……アイツの魔力量は【EP45000】と、あり得るのだが……あり得にゃいのだよ!」
「……ヤマト、お前、何言ってんるだ!?」
「悪い……アイツの事は、吾輩も調べてみるけど——お前もにゃにか気づいた事があったら教えてくれにゃー!」
「分かったよ。アリスの攻略方法も探すしかないし……何か気づいた事があれば報告するよ」
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