第7話 猫パンチ

てぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃてぃ…………


 僕は、数十分後。猛烈な猫パンチによって目を覚ますと……猫のヤマトに、めちゃくちゃ怒られた。


「お前、ふざけるにゃよ! 危うく家がまるコゲに、にゃる所だったんだぞ。

 こんな体じゃ大した事は出来ないし」


 彼は、苦肉の策に火炎石を投げ入れて全ての薪を吹き飛ばして鎮火したと説明してくれた。

 なので、僕は——殴り続ける猫に平謝りをした。

 その後、少しすると僕の魔力量は【1】回復した。

 すると、ヤマトは新しい飲み物を作製すると持って来た。

 その飲み物の見た目は、真っ黒でブクブクと泡が立っていて——本当に飲んで良い物か少し悩む様な液体であった。

 しかし、ヤマトに無理矢理押し付けられた僕は、それを一気に飲み干した。

 味は何とも言い表せない味で、甘味と苦味そして、口の中でパチパチッと爆ける爽快感のある味わいとなっていた。

 そして、その液体を飲み干した僕の魔力量は【2】となっており。使える魔法も増えた。

 しかし、喜んでいる僕とは反対でヤマトはガックリと尻尾を落としていた。


「なんで……1ずつしか魔力があがらにゃいんだ……」


 すると、ヤマトはまた新しい飲み物を作ってくると——それを僕に飲ませた。

 しかし、そんなに飲み物ばかりを胃に流し込んだ僕は、お腹がチャッポンチャッポンになるとそれ以上飲み物を受け付けなくなった。

 すると、そんな僕を見て怒り狂ったヤマトに——めちゃくちゃ罵倒された。


「バカ、ザコ、ボケ、才能ナシ、ヘッポコ、ポンコツ、魔力ナシ、無能、クソッ、バカ、ボケ、才能無し、ヘッポコ、ヘッポコ、ヘッポコ、ヘッポコ……」


 ヤマトは、ずっと叫び続けたせいか息切れを起こすと少し落ち着いた。

 そして、僕は——ヤマトが言っている事は合っていると思ったので、特に腹を立てることなく。

 それよりも魔力量が【2】に上がった事を素直に喜んだ。


「まぁまぁ……ヤマトも落ち着いて——僕に魔法の才能がない事は、生まれた時から決まってた事なんだから」


 そう言うと、ヤマトは「くそッ……」と言う。その言葉を残して——僕に、この家で暮らす事を強制して来た。

 なので、僕は行く宛も無いので——ヤマトのその行為に甘える事にした。

 しかし、心の中では少し……


(ここは、おじいさんの家なのにペットのお前が勝手に決めて良いのだろうか!?)


 と疑問に思った。が……

 今の時代、ペットも家族と言う言葉が浮かんで来て納得する事にした。


 それから僕は、数日の間——ヤマトに変な飲み物を飲まされて罵倒される日々が続いた。

 その甲斐あって、僕の魔力量は一気に【5】まで到達した。

 しかし、ヤマトはその結果に納得していなかった。



 これは、確証が無いのでヤマトには内緒にしている事なのだが——普通の人は、使う魔法に応じて消費魔力量が異なるのだが、僕の場合は魔力量が低いお陰か、どの魔法を使っても消費魔力量が1であった。

 なので、只今の僕は威力は弱いが——どの魔法でも5回使う事が出来た。


 そして、5回と言う回数は——僕が使う最大奥義の最低限の魔力量でもあった為に、もう少し余力が欲しい僕は更なる厳しい修行を行う事になった。



🟥🟥🟥【ヤマト】🟥🟥🟥



 吾輩は、クロウと言う少年に【魔力覚醒激薬】を飲ませ続けて数日が経った。

 そして、数日経って気づいた事は——コイツに魔法の才能がまったく無いと言う事であった。


 初めは自信に満ち溢れていた。

 何せ! 吾輩は、あの七星賢者の1人【ザガワ】なのだから。不可能なんて無いと思っていた。

 こんな実験いくらでも行なって来た。

 そして、その者たちは爆発的な魔力量を保有に成功した。

 確かに、数年で死んでしまうが……それでも爆発的な魔力は手に入る。

 そうすれば、吾輩が——この体を乗っ取り他の体を見つける事が出来れば吾輩の悲願は果たされる。

 しかし、何度も言うが……この者には才能が無かった。

 なので、吾輩は焦っていた。

 実は、念の為に呪印施した為に——この者の体を経由してからでないと他の体に転移する事が出来ない……

 それに必要な魔力量は、ざっと【1万】……いや、最低でも【5000】あれば……

 しかし、只今の魔力量【5】のクロウには【5000〜10000】など……この天才である金の賢者【ザガワ】であっても……無理に等しい。

 しかし、諦めてはならない……諦めてはなるものか! なんと言っても、吾輩は天才なのだから。

 その決意のもと、吾輩はクロウに新たな魔力増強のトレーニングを施す。

 それは、魔法を使いまくる。と、言う単純かつ合理的な練習法であった。


「…………」


 しかし、それをやるには圧倒的に魔力が低すぎる。

 吾輩は、絶望した。

 しかし、クロウは何度も魔力切れを体験する事でマインドアウトによる気絶をしなくなった。

(それだけかよ……)

 しかし、その後もトレーニングを続けると……クロウの魔力量は【6】になった。

 少しずつでも確実に上がっている。ならば、吾輩が取るべき行動は——あと3年以内に、こやつの魔力量を【5000】以上に上げる事。

 そう決意した吾輩は、よりいっそうクロウに厳しいトレーニングを行った。



🟥🟥🟥【クロウ・14歳】🟥🟥🟥



 只今、僕はヤマトの指示でダンジョンにて戦闘訓練を行っていた。

 合間に謎の液体を飲まされては戦い続ける日々……僕は、何度も死を覚悟した。

 そして、その隣では——いつもヤマトが側に居てくれていた。

 一応、魔物であるヤマトはダンジョンの魔物に襲われる事なく。いつも、僕が死闘を繰り広げる隣で昼寝をしていた。

 そして、戦闘が終わると「終わったかにゃ〜」と言って、謎の液体を差し出してくる。

 しかし、その甲斐あって——僕の今の魔力量は【7】となっていた。

 これも、なんだかんだ言ってヤマトのお陰なので僕はヤマトに感謝していた。

 何せ才能の無い僕がダンジョンで生き残っているのもヤマトの謎の液体によって、全ての属性魔法を覚えているお陰でもあった。

 その中でも、1番大きいのは回復魔法を使える事である。

 とりあえずは、才能が無い僕でも回復魔法が有れば死ぬ事は無かった。

 そう僕は、才能は無いが希少な光属性を保有していた。

 しかし、それだけで生き抜けるほどダンジョンはけして甘くはない。

 なのに何故!? 魔力量の少ないザコの僕が生き残って居られるのか……それを可能にしたのが僕のメインである属性の闇魔法である。

 闇属性は、光属性よりもっと希少な属性である事をヤマトに伝えられた。

 ヤマトによれば、僕は星の導きによりつきの日の生まれであり。

 その為に魔法で闇属性であるが、月の日の生まれと言っても絶対に闇属性になる訳では無く。

 闇属性の使い手は、世界的に見ても希少であると教えてもらった。


 なお、生まれ月星の導きと属性については——後で詳しく説明してくれた事は、最後に話すとして……


 今は、僕の闇属性についての事を説明する。



 闇属性は、魔力量の少ない僕の為の魔法であると思えるくらいに僕にあっていた。

 闇魔法の能力は、影を使い【触手】を生み出す能力。

 初めは【触手】を1本生み出すのがやっとであったが練習を重ねると数本の触手を操れは様になった。

 そして、そのあとは——触手の形を変える事にも成功した。

 物を掴める様に手の形にしたり。

 影を凝縮固めて【剣】を作り出したり。

 影魔法の使い方は、多種多様であった。

 しかも、魔力量の少ない僕にとって嬉しい誤算は【触手】の発動は一回で【1】魔力であった。

 しかも、魔法を解かない限りは魔力量は【1】しか減らない為に、僕は練習かつトレーニングで1日中。触手や剣の持続に成功した。

 そして、そこからは——それを応用して炎魔法や回復魔法なんかも試してみると、持続に成功した。

 なので僕は、威力は弱いが炎魔法や水魔法、回復魔法などを放出しない限りは長時間扱う事ができる様になった。

 そして、生み出された最強スタイルが……剣に炎を纏わせた魔法剣——。

 背中には4本の触手による補助攻撃&絶対防御。

 そして、全身に微弱な雷魔法纏わせた。敏捷性底上げからの回復魔法による無限回復。

 魔力消費【4】で、1日中戦い続ける事が出来る。

 しかし、この事はヤマトには隠していた。

 何故かと言うと、ヤマトにこの事がバレると——きっと、限界を確かめる為に三日三晩……もしかしたら七日……いや、十日くらい。戦わせ続けさせらる事をもある為に、絶対に秘密にする事にした。

 そして、そんな事を数ヶ月も続けると僕の魔力量は【8】になっていた。

 その現実に、ヤマトは泣きながら僕を罵倒した。が……

 その後で、ヤマトは何か閃いたのか——僕に、塔に行くと伝えて来た。

ドクン——ッ……

 僕は、その言葉を聞いて——自分の心臓の脈が大きくなるのを感じた。


「な……な……お前、塔の場所を知っているのか——ッ!?」


 僕の反応にヤマトは初めて驚いた様に見えたが、僕はヤマトに妹の事情を話すと——僕達は、すぐに塔に向かう事になった。

 そして、数週間移動した後にヤマトの案内で広野へと到着した。

 

「ここは、数年前まで戦争で使われていた広野……こんな所に塔があるのか?」


 すると、そこから少し離れた山沿いを歩くと山のくぼみ。

 戦場からは見えない場所に到着した。

 そして、ヤマトが……


「ここが塔の場所だ……」


 

【属性と星の導き】


 ヤマトによると、属性と星の導きには密接な関係性がある事を教えられた。

 簡単に言えば、生まれた日で——その者の属性が決まると言う事である。


 魔法には、炎、水、木、土、と言った四大元素の他に——。

 光、闇、風、雷、氷、などと言った。

 その他の属性も存在する。

 そして、その属性達は——七つの生まれた日によって定められる。


 太陽たいようつきほのおみずきんつちと言った。

 大幅には、七つの属性に分類される。が……そこから、派生で枝分かれする属性も存在する。


太陽たいようの日】


 この日に生まれた者は、光属性、聖属性(回復)、雷など……の属性魔法に分類される。


つきの日】


 この日に生まれた者は、基本的には無属性となり闘気などを操る者が多い。 

 しかし、稀に闇属性を習得して生まれて来る者も現れる。


ほのおの日】


みずの日】


の日】


つちの日】


 この四つの四大元素と呼ばれる属性は、文字通りとの属性となるが……

 水属性だけは、氷属性に派生する事もある。

 

きんの日】


 そして、この日に生まれた者は——錬金術師(アルケミスト)や鍛治師&付与し。

 などに分類される。



 なお、自分がどの属性に分類されているかは【生年月日】で調べればわかる為に知りたい方は、調べればすぐに分かるとヤマトが言っていた。


 例を挙げるなら。


 2000年 1月 1日 生まれ。検索……


 2000年 1月 1日 生まれは——土曜日生まれとなるので【土属性】となります。


 ここからは、本編とは関係ないのですが……この属性は、性格判断などにも用いられる事もある為に参考までに載せておきます。

 なお、興味がない方は——読まなくても問題ありません。

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