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見てはいけないものはないと言うけれど

それは見ていいものしか見ていないだけの話しであって

本当に見てはいけないものは

上手く隠しているのではないかと

常々思うと君は言う


その言葉の意味がさっぱり分からず

固まるその人を見て

君は嬉しげに悲しげに微笑むから

つられてその人も同じような顔をする


それを見た別の人は

見てはいけないものを見る必要はないと

その人に言うから

その人は今度は困ったような顔をする


「むやみに見てもなんにもならないからね」


誰かの声が静かに響いた


見るならちゃんと見ないといけないよ

興味本位は墓荒らしと同じだからね

更に奥に隠れてしまうからね


その人に言い聞かせるように誰かの声が響き渡る


気づけば誰もいなくなって

その人は一人でそこに立っていた


目の前には光の空間があるけれど

その人はその場に座り、静かに目を瞑った

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