（古賀コン9出品作）再婚が破談になったので帰宅できました。

数金都夢(Hugo)Kirara3500

　ママは乳がんを患い、私は白血病を患った。そして私達の病気は治ることもなく、最終的にビンに詰められた。私にとってそれはバーナーの直撃で超高温にさらされてせんべいのような破片にされて砕かれた嫌な思い出だった。それ以来、私達が入れられたビンは家の戸棚に大事にしまわれていたはずだった。

　その後ある日突然、私達は遠く離れたところにある倉庫のようなところに連れて行かれてその中の棚に並べられた。周りは知らない人が入ったビンたちがたくさん並んでいた。

　それからまもなく、ある女性が「倉庫」の入口にやってきて、花を置いていった後こう言った。

「あたし、今度、江美さんの新しいママになるのよ。よろしくね」

私は悟った。パパが彼女と付き合うようになったせいでこんな棚に押し込められたのかと。

「ママにならないで！！」

私は心の中で全力で叫んだ。

　そんな願いが通じたのかその後、パパは再びやってきて私達を引き取りに来た。パパは泣きながらこう言った。

「ぼ、僕が悪かった。君たちを『捨てて』あの人と一緒になろうと思った僕が悪かった」

パパには申し訳ないけど、私達は無事帰宅できて、リビングの戸棚に大切にしまわれました。もちろんその戸棚の上には私達の写真が額に入れて置かれています。

　そしてパパは今日も、私達がしまわれている戸棚の上に置かれた花瓶に花をさして、皿の上には私が好きだったお菓子を並べて置いています。

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