Die already それが悪い子

「おまえたちはみんな、うめどくの?どろ…の、ひとごろし?」

「それはね、梅毒ばいどく泥棒どろぼう人殺ひとごろしと読むのよ。最後まで読んでごらん?」


「えっと、『おまえたちはみんな、梅毒の、泥棒の、人殺しの、貧乏人だ。そういっていたおばあちゃんは神社の縁の下で、ほかのおじいちゃんとかさなりあってしんでいました。みんな法律だの薬物の問題やせいびょうを抱えていました』」


殴る蹴るの代わりに本を読んでくれるこの人は当然祖母ではない

緑田浅葱えにしだあさぎ。母の仕事先で知り合い、祖母よりもマシという理由でまんまと転がり込むことができたのだ。


「ちょっとお母さん!「西のぼくんち」なんか音読させちゃだめ!にいろにはこっちの『実録アタックブラック家族―空から落ちてくる難民食なんみんしょくと四〇年―』とかにしなよ!?」


そういうトレーナーの子は緑田萌葱えにしだもえぎ、この家の本当の子供。私は少し心配になる学校には妹や弟が愛情を奪ったとか言って夜中に座布団を顔に乗せて憂さ晴らしみたいな話もよく聞くし、自分は他人の子供だ。肩の力を抜いて母親の分まで暴行のやりたい放題になるかもしれない


「なんでうじうじしてるの?丹ちゃんはいい子なんでしょ」


本当の家の言葉はまぶしく感じる。


「この前「平塚のアパートで五遺体発見される」って事件があったでしょ、本当に悪い子だったら、生まれてすぐ段ボールでミイラになるのよ」


「もしくはとっくにセイビョーになって、変な汁を出しながら物を盗んで人を殺して、野垂れ死に」


「だから丹ちゃんはいい子なんだよ、外は明るいし、公園にでも行こ?」


なかなか立ち上がれなかったのは、あまり食べていなかっただけではないと、なぜかはっきりわかった。

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いい子はダイ・ハード 花森遊梨(はなもりゆうり) @STRENGH081224

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