第2話

第一組:出席番号5番と14番 ― 闇のささやき


5番のユウタは、手のひらに汗をにじませながら話し始めた。


「……林間学校の夜、森の中で、誰かが僕の名前を呼んだんだ。でも、怖くて……無視した」


14番のミカが息をのむ。


「その夜って……4人の子が、いなくなった時の……?」


ユウタの口元が、不気味に歪んだ。


「怖かったんだ。本当に。でも今は——もう一度行ってみたい。あの森へ。今度は君も一緒に、“僕の弱さ”を味わってくれるよね?」


ミカは言葉を失ったまま、微動だにできなかった。



第二組:出席番号8番と16番 ― 罪の囁き


8番のサトシは、ずっと伏せていた顔をゆっくりと上げた。


「……助けてって叫ばれてたのに、逃げた。振り返らなかった。次の日、その子はいなかった」


16番のアヤは唇を震わせながら問いかける。


「……その子って、誰?」


サトシはアヤに近づき、耳元で囁いた。


「僕の友達。ケンタ……だったかも。でも、もう顔も思い出せない。ただ、僕のせいで死んだ」


その瞳には涙はなく、ただどこか虚ろな光が浮かんでいた。


「だからね、アヤ……君にも“僕の罪”を分けてあげたいんだ。二人で、もう一度あの夜に戻ろう?」



第三組:出席番号11番と3番 ― 記憶の空白


11番のカナは、机の上で震える手を握りしめていた。


「……友達を、言葉で……殺した気がする。でも……その子の顔も名前も思い出せないの」


3番のケンタが息を呑んだ。


「記憶喪失……?」


カナは首を横に振った。


「違うの。覚えてるのは……手を掴んだこと、そして……放した感触。川の音、叫び声、それだけ」


彼女の瞳は、今にも崩れそうだった。


「ねえ、私……本当に誰かを殺したのかな? ケンタくん……あの夜、何か思い出せる?」


ケンタは何も答えられなかった。ただ、カナの手をそっと握ることしかできなかった。

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