美雪のその後
あれからずいぶん時間が過ぎた
美雪と満はじっと待っていたがなかなか結論は出ない
明美も事情があって実家には帰り辛いのだ
子供を連れて実家に帰ってくれたらひとまず我が家は平和になるのに・・・
美雪は想っていた
母の病状は落ち着いてくれて美雪も毎日ではないけれど不定休で店を開けている
娘も大学に入学してとりあえずは落ち着いた
まもなく、大地は就職のため、アパートを借りてそこで明美を待つことにした
「出来ることなら、俺とほのかと3人で頑張ってくれ」
そう伝えた
妹のまり子にはとんでもないことをしでかした兄と父の後妻との不義に口も聞いてもらえないだろうけれど
それも自分のしたことだ
責任を取らないとならない
「過去も未来もどうすることも出来ないならば今、一生懸命に生きるしかないだろう」
明美は黙っていた
精神的な苦痛を覚悟でこれから針のむしろで生きて行く決心がつかない
明美にしてみればただの火遊びだったのに・・・・
「何でこんなことになったの・・避妊してたのに・・」
晴天の霹靂だった
世の中ってそういうものよね・・・・・
いつまでも甘えて(人を傷つけて)いるといつのまにか事がどんどん大きくなって越えるのが困難になる
そうなのよ・・・・
いつまでも大丈夫だって安心して甘えているとね・・・・
今まで遇った大人たちだってそうだった
多分、誰一人漏れることなく自分のしたことは前世でしたことも含めて責任を取らされることになる・・・
やがて・・・・
明美はほのかを連れて実家に戻った
離婚届をテーブルの上に置いて・・・・
満はそれから数ヶ月後、美雪に今まで自分がしてきたことを謝り、
「勝手なことばかりして申し訳なかった・・・できたら俺とやり直してはくれないか・」と告げた
「母のこともありますし、店もあります」
ここから通うのも困難です
美雪は元気がない
待ってましたというように戻れば
また、近所の笑いものになるのだろう
そんな人の目を気にしながら生きていけない
まり子だって複雑でしょうし
私だって割り切れるか?明美さんだって何かあれば顔を出すかもしれない
その時に私がここに居たら・・・
満は更に続けた
「少し離れた誰もしらない街にマンションでも買おう・・・俺はそこから会社に通うよ」
「だからみんなで暮らそう」
ここは嫌な思い出の家になってしまった
(明美だって何かあれば来る可能性はある)
満は必死に頼み込んだが美雪は首を縦には振らない
美雪は決心がつかず
自然と風薫の元に向かっていた・・・
風薫は美雪の話を聞いて
「それは良かったわ」と笑顔で美雪を迎えその後、話し始めた
苦しんだのはその出来事があなたに必要なことだったからよ
ありがたくそれに前向きに立ち向かって行って
(誰かに守ってもらいたい、幸せにしてもらいたい)と願っているうちは幸せになれないの
何かに向かって挑んで初めて壁が立ちはだかりそれを乗り越えようとする努力、行動をしてその行程や結果で感じるものが幸せって言う達成感なの
ご近所の方の目が気になるならばご主人の言うとおりマンションに引っ越せばいいわ
あなたがご主人を赦して一緒に暮らしていけるならば今度は強い絆ができたことでしょう
他人がどう想おうと関係ないのよ
あなたのシナリオをあなたは懸命に演じればいいの
数ヶ月後
少し離れた街の高層マンションで
美雪と満はワインで乾杯していた
気持ちを新たにし、これから何があっても頑張ってみんなで乗り越えて行こうね・・・
はい、ようやく私も幸せを手にいれました
ありがとう
あなたの優しさが今はすごく解ります
風薫さんにもたくさんアドバイスをもらって自分が小さくて情けなくて
人のせいにして逃げていたことがよく解りました
あなた、ありがとう
私たち幸せですね・・・・
一歩進んで笑顔で寄り添う二人を神様が祝福しているだろう
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