第3話 ジン・ソーダ
以下、『第7話 ジン・ソーダ完成』から抜粋
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準備が整った湊はタンブラーに入った氷をナイフで器用に回す。ここにないバースプーンの代用だ。美しい身のこなしで氷が融けた水を切った後、流れるような所作でジンを注ぐ。そうしてジンが注がれたタンブラーを先ほど作られた炭酸水でゆっくりと満たした。
再びナイフを取り出した湊は氷を回すことでジンと炭酸水を軽く混ぜる。透明な液体の中に美しい氷が浮かびその中を無数の気泡が上がってゆく。
「すごい……」
シャーロットが湊の所作に感嘆の声を漏らし、カクテルが完成する。
「ライムみたいな柑橘を入れる人もいるけれど今回はシンプルに作ってみた。ジン・ソーダです。どうぞ……」
森の中とは思えない優雅な所作でタンブラーをシャーロットの前へと置く。
「頂くわ……」
両手で恐る恐るタンブラーを口へと運ぶ。その仕草は相変わらず美しい。
「……………」
初めて飲むジン・ソーダ。それは古の時代より生きてきたこのエルフがその感動を言葉にすることを忘れさせるのに十分な衝撃を与えたのであった。
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ジン・ソーダはシンプルであり炭酸を使ったさっぱりした飲み口のカクテルです。
私はジン・トニックを頼むことが多いですが、最初の一杯にジン・ソーダという方は結構多いかと思います。夏の暑い日や重めの食事の後でBarを訪れた際の最初の一杯にジン・ソーダ、とても素晴らしい選択の一つだと言えるのではないでしょうか。本編では柑橘はなしにしましたが、Barによっていろいろとバリエーションがあるので楽しんで頂ければと思います。
バーテンダーによっては「どんなジンがお好みですか?」など使うジンを聞かれるかもしれません。いつもジン・ソーダを飲んでいて好きなジンがあれば問題ないですが、慣れない人は回答に困るかもしれないので、あくまでも個人的にですがおススメの回答をご紹介したいと思います。
「すいません。あまりカクテルを飲んだことがなくて……」:
もし回答に困ったら素直に知らないことをバーテンダーに知ってもらうのが一番です。知らない場合はバーテンダーに味方となってもらって好きな味を探す。これもBarの醍醐味ですし、知らない人にきちんと説明して美味しいカクテルを造ることができる人こそがプロのバーテンダーだったりします。恥ずかしいことなんて何もありません。逆に強がったりすると雰囲気的に浮いてしまったりして……。
「普段は○○で飲むことが多いのですが、このお店の作り方があればそれでお願いしたいです」:
いつもジン・ソーダを飲んでいて好きなジンがあればこれがきっと模範解答です。○○には好きなジンを入れてください。せっかく新しいBarに来たのであればまずはそのお店の味を経験して、そのあとで自分の好みを相談して作ってもらう。そんな流れがいいと思うのです。
でも、
「普段は○○で飲むことが多いのですが、このお店の作り方があればそれでお願いしたいです」
と返したら、
「いえうちには特にそういったものはありません」
と返ってくるBarもあるのでちょっと注意です(実際に経験した)。つまり『完全にお客様の好みの味を造らせて頂きます』ということなのだと思います。そんな時は遠慮せずに普段飲んでいるバリエーションをお願いしましょう。
バーテンダーに味方になってもらってBarを楽しむ、Barに限らず飲食店での基本だと思ったりするのです。
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