第15話8-1
駅前の横道に並ぶ居酒屋とスナックの間から路地裏を覗くが、人のそばに這いつくばる害虫の姿は無かった。
それならばと、つま先の方向を変える。向かったコインパーキングには、頭部が潰れた軽自動車が取り残されているだけ。
「まいったな」
何も手がかりが掴めない烏月は、駅前から離れ陸橋麓のコンビニを目した。目的は、コンビニの店主だ。以前は毎日のように汚らしい売人が座り込んでいたのだ、最近どこで商売が盛んであるのかぐらいは小耳に挟んでいる可能性はある。
駅前を小走りに離れる烏月へ、忌避の目を向けた人々は道を割った。
コンビニ前に着く頃には、烏月の身体は疲れ切り、今にも電池が切れてしまいそうだった。
額にこびりついた擦傷の痛みと汗を手の甲で拭っていると、後からついてくる疲れ知らずの鼻声が聞いてきた。
「ユウくん、さっきからたくさん走りまわってるけど、タバコ買わないの?」
「か、買う。買うよ、タバコ。でも、ちょっとグレシアを探してたくて」
「なんで?」
「なんでってそりゃ。そりゃさ、心配してやってんだよ」
「ふぅん?」
希の相槌を後頭部で聞くと、口の在処を見失った気分に陥ってしまう。
「心配してるの、なんで?」
不思議と希の「なんで」は、烏月を俯かせコンクリートの地面と見つめ合わせた。
「な、なんで? それは、そんなの」
たとえ口にする理由が、この場しのぎであったとしても、耳障りさえ良ければ素直な希は納得してくれるだろう。なのに、烏月自身、間違いのない正しさでなくては、納得ができない。
覗き込んだ浅く狭い意識に映り込んだ姿は、世の中を斜に構えたダサい姿で語る。
――俺にとってこの世界は正しい世界ではない。本来居るべきは、海藍がいる向こう側の世界なんだ。
だから、誰がどうなろうとも関係は無い。
グレシアの行方がわからなくなっても。そのせいで橘が不安に苛まれても。ドラッグを無理やり投与された千樫も、誰が夢幻の犠牲になろうとも。
誰が死んだって、この世界に居場所の無い俺自身には関係無い。
この世界こそが、間違っている。
無意識に握った手のひらの中、皮膚と皮膚が汗を接着剤にくっついた。走り回った靴の中は蒸れているし、殴られた顔も踏まれた腹も痛い。痛み続ける耳がどうなっているのか確認するのも恐ろしい。
それだって、間違っている世界での出来事なのだから、関係は無いはずだ。
ドラッグに生活を侵されても、アルコールにあやしてもらい無様なほど吐いても。タバコを吸いすぎて、走るとすぐに呼吸が辛くなっても。
この世界で起こる何もかも、烏月にとって無関係なはずなのだ。
「そんなの……」
海藍は今、どこを飛んでいるのだろう。もしくは、向こうの世界に居るのだろうか。
考えてみたがどちらでも良かった。
「ユウくん!」
不意に、背中を突き飛ばされた烏月は、前に倒れる。続けざまに、背後で甲高い打撃音が勢いよく空へと昇っていった。
「外しちゃった」
受け身もろくに取れずに、強か打ちつけた鼻を手で覆った烏月へ、享楽混じりの薄笑いが降ってくる。
振り返ろうとした瞬間、烏月の頭は二つ割れた。そんな音と痛みに、意識は途切れた。
世界は切れかけたネオンそっくりに脈動している。
光の中には海藍が居た。いつものように微笑みを浮かべ、いつもとは違い手招きをしている。誰を呼んでいるのか定かではない手の動きを、都合よく烏月のためと受け取り、念願の安堵に手を伸ばし歩き出す。
歩き始めた赤子が、一歩一歩確かめて進む足取りと似ている。だが烏月のそれは世界と自分とが一つではないが、近しいものだと噛み締めている訳ではない。
誘蛾灯に誘われる蛾と同じだ。
彼女の背景がいつものように美しいものではなく、板のように塗り込められた黒が広がっているだけだとしても、烏月は迷いなく誘われ近づいていった。
見つめていた海藍の背中から、青い蝶の羽が生えた。それは彼女から生えていると思いきや、細い肩口から巨大な蝶の頭が顔を出す。大きなドーム状の目の中には、小さな気泡のようなものが隙間なく並んでいるのがわかった。
青い羽が羽ばたく度に、びっしりと表面を覆っていた鱗粉が溢れ舞う。烏月の元まで流れやってきた粉ガラスのような青は、海藍の世界と繋がっているような気がした。身を任せてしまおうと、深く息を吸い込もうとする。けれど、背後から伸びてきた手に口と鼻は塞がれてしまう。
放っておいてくれ、このまま自由にさせてくれ。声なく喚き身を捩ったが、手は離れてはくれない。
一体誰が、正しい世界に帰ろうとしている烏月を引き止めるのか。振り返った彼は抗う事を止め、全身の力を抜いた。
「馬鹿なやつだ。そっちにお前の居場所は無いんだよ」
振り返ったすぐそばに、グレシアの姿があった。
少女の手が眩しく脈動する世界から、烏月を引き離していく。
氷の下に流れる川の中を揺蕩う気持ちの良い感覚に引かれ、烏月は目を閉じた。
後頭部の丸みの頂点に君臨した痛みは、暴虐無人に烏月を叩き起こす。
目を開けて見る痛みは強烈で、呼吸一つですら許してはくれない。声にならなかった呻きで、僅かに肩を揺らす事にすら厳しい罰を下す。
痛みを刺激しないよう、ゆっくりと右手を後頭部に当て、丸みを確かめる。べたつき固まった幾つかの髪束の隙間から触れた後頭部に、凹みは無い。触れるとひりつく痛みが皮膚にしみ込んでいった。
痛みの機嫌が落ち着くのを待ち、目玉の筋を張り詰めさせ辺りを伺う。その頃になって、烏月のへばっていた五感が仕方ないとばかりに働き始めた。
「くっせぇなぁ……」
覚えのある臭いに、えずきながら身体を起こし、周りを見渡した。
陰を刺す淡い陽光の境目の中に、物が散らかったプラスチックの長机と、そっぽを向いたパイプ椅子が捨て置かれている。
元は倉庫として使われていたのか、埃を積もらせた段ボールが無造作にあちこちに置き去りにされていた。手をついた埃の下、灰褐色系統の床は固く冷たい。
物がごっちゃに積まれた細い鉄枠の五段の棚が二つ壁と並行に置かれ、その奥に安っぽい扉を見つけた。
見上げた天井には、電球のついてない照明。手を伸ばしても届かない位置にある窓は、分厚い氷の表面と似てモザイクがかり外は見えない。
吐き戻す苦悩を耳にした烏月は、嫌々窓とは反対へ顔を動かす。
壁際に積まれた段ボールの足元に、しゃっくりのようなひきつけ繰り返す、ジャンパースカートに包まれた細い背中が倒れていた。
「もらいゲロしそう……」
ついた悪態とは裏腹、烏月は素早く近寄っていく。すぐに衣服越しでも分かるほど汗ばんだ熱い背中を摩ってやった。
覗き込んだグレシアの蒼い横顔は鼻水と涙、吐瀉物に汚れ、虚な半眼に意識は無い。脈を測ろうとした時、少女の首筋にアリの巣のような腫れを見つけた。ついで、吐瀉物に塗れた使用済みの注射器が落ちていることに気が付く。
「あちゃあ……」
起こってしまった惨状に半顔を歪めた烏月はふと、自らの首に手を当てた。見つけてしまった凸の感触を指で押すと、肉の奥に寡黙な鈍痛が居座っているのが分かった。彼が倒れていた辺りを目で探す。予想通りグレシアの傍に落ちている注射器と同じものが転がっていた。
中身の液体がなんであったのか、想像を膨らませる必要は無い。
「良かれ悪かれ、今までが出たな」
ドラッグに一度も手を出す事無く、社会の中で正しく真っ当に生きているグレシアと、ドラッグに手を出し続けた烏月の差は、皮肉にも生き死にの分かれ目になろうとしていた。元々、体内に入った物を排出する力の高い烏月との差もあるだろう。
「まぁねぇ、病院送りが普通の代物なんて初心者を殺すにはもってこいかもねぇ」
冷たく固いグレシアの頬を叩いても、反応は無い。
「どうにかしてやるからくたばんなよ、じゃじゃ馬。橘が後追いするぞ」
浅い深呼吸と共に立ち上がった烏月の後頭部は、心臓になりかわろうとする痛みが脈動を激しく鳴らす。
「お前はさ、馬鹿だよな」
痛みに耐え呟きながら棚の奥に見えた扉に向かい、ノブを捻った。回りはするが、前に何かが積まれているのか押してもびくともしない。
「俺はこの世界には未練なんてないの。わかる? 海藍はもういねぇし、あいつは多分俺のこと、まぁそれはいい。悲しくなる」
背後を見渡した烏月は、捨て置かれたパイプ椅子に目を付けた。
取りに向かいながら、なぜこんな善人の真似事をしているのかを考えると、馬鹿馬鹿しさに、頭痛は酷くなる。
「お前はこの世界で生きてるんだ、死んだらどこに帰るんだよ。本当に馬鹿だよな。お前、なんでこんなことに巻き込まれてんだ? 趣味の悪いビルの天辺でデーンと偉そうに座ってりゃ、こんな人生を棒に振るようなことにならなかったのによ」
ドラッグがグレシアを殺しきれなかったと良い方向に仮定したとしても、この先、少女の人生を如何ほど振り回すのかはわからない。ドラッグを知らなかった頃には二度と戻れないことだけが確かだ。
「まぁ、お前がどうにかなる前に、橘がどうにかするだろうけどよ。あいつ、お前のことが可愛いんだってさ。夢幻にもそういう情があんだな。俺さ、海藍が夢幻になってから、教祖と信者の関係だったように思うんだよな。いや、はじめからだったかもしれん。どうだったろうな。もう覚えてねぇや」
止まらぬ口の勢いのまま、手にしたパイプ椅子を振りかぶった。扉に激しい音の名残が凹みとして一つ残る。簡素な見目のわりに扉はしっかりとしていた。
烏月は、再びパイプ椅子を握る手に力を入れる。
「愛してるだとか、愛されてたとか、口で言うのは簡単だよな」
ぶつけた椅子が見当違いへと向かって跳ね返る。逃がさないようしっかりと手綱を握り、扉に増えた凹みに焦点を当てた。
「簡単なんだよ、俺が口にするだけなら。お前は、そういう事を安易に口にはしないんだろうな、人をクソほど馬鹿にはしても。あーあ、なんで俺、こんなことしてるんだろうな。なんでお前俺の事放り出さなかったんだよ。昔はいざ知らず、今はただのくそったれな、ごく潰しだろ? いつだってお前は見放す事だってできたのに、なんでだろうな」
グレシアの心情を理解しようとしても、烏月にわかるはずもない。身体が分かれているのであれば、どうしたって他人だ。どんなに思いあったとしても、一つになったと思い込むのがせいぜいでしかない。
「そのおかげって言えばいいのか、そのせいって言えばいいのか。多分、俺が今もこの世界に居る理由ってお前の、理由のわからんお節介のせいなんだよ。お前が居なきゃ、誰も俺の事なんて気にしちゃくれないだろうし」
パイプ椅子を握っていた手が熱い。見ると指の付け根の肉が赤く熟れてしまっていた。
「年を取ると自分語りが多くて、ダメだな。まぁ、なんだ。お前を助けてから、向こうの世界に帰っても遅くは無いだろう」
無性にタバコが吸いたくなった。烏月は薄っすらとした希望を頼りにポケットに手を入れたが、スマホすらない。
疲れている身体から、力が抜けていく。凹んだ扉をぼんやりと眺めていることに気が付き吸い込んだ空気を噛んで身体に力を入れた。
「鶴だって恩返しをするんだ、俺がしたっていいだろ。グレシアを助ける理由はこれだ、良かったじゃないか理由が見つかって、なぁ」
自分自身に言い聞かせ、力任せにパイプ椅子を振り下ろし続ける。わずかに縁が歪み外の色が見えた。
小さな歪みの窓を覗いてわかった事は、この部屋よりも広いが、ほぼ同じような倉庫が外に続いていることだけ。虚しさに座り込んでしまいそうな気持ちを鼓舞し、膝に力を入れ続ける。
視線をさらにねじ込んで、何が扉を塞いでいるのか覗くと、手跡のついた段ボールが積まれている。
「用心深いこって」
ドアノブを握り、パイプ椅子でつけた凹みに肩を当て、力の限り押す。力を入れれば入れるほど、後頭部の痛みは増していった。
意識を飲み込みたがる暗転の黒い闇を追い払い、歯を食いしばる。先ほど、グレシアを助ける理由を自分自身に言い聞かせたばかりなのだ、すぐに諦めるわけにはいかない。
「誰か」
願った所で、今更烏月に応えてくれるものは居るのだろうか。
他人との間に築いた信頼を切らせてしまう程に、周りを蔑ろにしてきたのは烏月自身だ。一人ここで朽ち、誰にも探されずに腐乱となった頃にやっと気づいてもらえたとしても、それは自業自得だ。だが、ここには一人で朽ちてはならないグレシアが居る。
「あいつだけは、頼む」
こんな時だけ必死になったとしても、世界は烏月から顔を背けてしまっているだろう。
動かない扉が、踏ん張っている足を滑らせ力は抜けていく。だが、諦められずにもう一度、扉に身体を叩きつけ向こう側へと非望を荒く鳴らした。
「頼む」
たとえば、それが烏月の幻聴でも、幻覚だったとしてもよかった。グレシアを助けられるのであれば、身の丈に合わない可能性に縋り狂ってしまっても構わない。
「希さん、頼む!」
「なにを?」
扉のすぐそこから帰って来たのは、必死な烏月とは別次元にいる神の如き呑気さだ。
「希さん?」
「僕、ユウくんのこと、いっぱい探したんだからね!」
「え、なんかごめんね。段ボールが邪魔で外に出れないんだって。なぁ、どかしちゃくれないか」
「えーとね……はい、どーぞ」
一つ、思わせぶりな間を開け、希は言う。
間髪入れずに、寄りかかっていた体重に負けた扉が軽々と開き、烏月の身体を激しく嘔吐した。
天地を無くした視界は激しく踊る。
「うそだぁ……」
背中を段ボールに打ち付けて、ようやく世界は止まった。
「ねぇ、はやく帰ってあそぼ」
二の腕の辺りを遠慮がちに引っ張られ、目を向けるが隣には誰もいない。
「ねぇてば。ユウくん、あそぼうよぉ……」
「希さん、そこに居るの?」
烏月の目に写っているのは、雑多な雰囲気の倉庫の内部だ。高い位置にある閉じた窓から差し込む独裁的な陽光は、ここにある物に詳らかな色彩を与え、隠すことはしない。
倉庫の奥の方に置かれた長机は、最近誰かが使用したのか埃の白さとは無縁な事が気にかかった。
「うん、いるよ」
見つけた色彩の調子違いに気を取られていた烏月の視覚は、突如、現前した存在に合わせられずにぼやける。遅れて眼球がピントを合わせ、色彩に与えられた輪郭線が水になじむように、希の姿を描いた。
聞こえていた声の調子とは裏腹、白目を赤く色づかせた不安気な眼差しで希は小さくなって隣にしゃがんでいた。そろえた膝の上に両手を乗せ、さらにその上に傾げた顔を置いて、烏月の顔色を覗き込んで居る。
「いるよ、ぼく」
「なん、えぇ?」
「びっくりしたでしょ。なんかさ存在が中途半端なんだよね、僕って。その、誰かに居るって認めてもらえないと、姿がはっきりとしないというか、少し? 目を離されると周りから見えなくなっちゃうというか」
抱えた膝がしらに目を押し当てた希のはにかんだ朗笑には、諦念が聞き取れた。
「まぁ、そんななの。気持ち悪いでしょ。でもね、でもお父さんとお母さんがこうして、怖い人たちから僕を隠してくれたんだよ」
興味本位に伸ばした烏月の手は、希の肩に触れた。
温度があって、形がある。手に伝わる大きな緊張の心音は、縮こまった肩と、触れている烏月を共に揺らす。なのに、瞬きをしてしまうと存在は消えてしまいそうだ。
「なんか、あんた森の中の生き物みたいだね」
色を持つ蝶が森を舞うとき、見た目の派手さとは不釣り合いに、緑と混ざって一つになるような。
鹿の子が、興味と警戒のらんらんとした目で森の中に紛れるような。
希には、そういった自然と一つに混ざることのできる存在の意志が宿っているようだった。
「ここにいるのか、あんた」
「うん」
怯えた目玉が、上目に覗く。
「ねぇ、ユウくん。僕とあそんで」
希の小さな願いは、自ら命の綱を託すにも等しい響きが籠っているようだった。
「いいよ、遊ぼう。だけど、ここから出てから。どうしても助けたいやつが居るんだ」
手綱を強く握るイメージを持って立ち上がり転がった烏月は、出てきた扉の中へ指を向ける。
指先を追う希の横顔は、一人森の中を彷徨ってきたかのように、幼かった。
烏月が背中に背負った重みは軽く、すぐに背中からずれて逃げ出そうとする。そのたびに、身体を揺すりグレシアの身体を背負いなおした。
埃一つない倉庫内の一角で烏月達が見つけたのは、パケ袋に入れられる前の錠剤と液体の詰まった注射器の山だ。さらに長机の上には、白い粉の入った大瓶と手の中に納まる空の瓶が一つづつ置かれていた。
「こっちは空か?」
空瓶を覗いた烏月の横、低い位置から生えた希の頭が瓶を覗く。
「ユウくん、この瓶、白いけど青い粉が入ってるよ」
「なにそれ」
「んーと。こんぐらい入っててね、こうやって顔動かすと青く見える。綺麗ね」
瓶の真ん中より下を指さした希は、顔を左右に動かして見せた。
まるで希のような粉こそが、人に幸せを見せ、姿を消してしまうドラッグの原料だろう。見えない物を信じる気にはなれないが、烏月は希を信じて証拠品をポケットにねじ込んだ。
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