リビングでいちばん君が欲しい!

「ひなちゃん、そのまま動かないで」


朝、風の部屋で制服に着替えようとしたとき、

後ろからぴとっと腕をまわされた。


「風……なにして……」


「背中のホック、見せて?」


「見せる意味ある?」


「あるよ? だって、ひなちゃんの下着、昨日選んだやつでしょ? 見たい♡」


そのまま、風の指が私のブラホックにふれる。


「ね、取ってもいい?」


「ダメ。ていうか、なにその質問」


「だって、着替え手伝ってあげるっていう名目ならセーフかなって」


「セーフじゃない。あと名目って言っちゃってるし」


それでも、風の手は止まらなかった。

ホックの上をなぞる指先に、ぞわっと背中がふるえた。


「……風」

「ん〜?」

「もう、限界」


「えっ、えっちな意味で?」


「ちが……う、いや、そういう意味もあるけど」


「やっぱり〜♡」



---


その夜。

風の家、リビング。


はやて兄ぃは外出中。家には私と風だけ。


ソファに並んで座っていたはずなのに、

いつの間にか、風が私の膝に頭をのせていた。


「ひなちゃんの匂い、すき……お布団と似てる」

「……それ褒めてる?」


「褒めてるよ♡」


風の指が、私の太ももをなぞる。制服のすそがめくれかける。


「……風、リビングだよ」


「誰もいないし。いいでしょ? ちょっとだけ、ね?」


ささやくように言いながら、風の手がそっと私の太ももに入り込む。


「や、やめ……風……っ」

「えっちぃことじゃなくて、好きなことしてるだけだもん♡」


「どこが……っ」


スカートの中。

風の指が、下着のうえから撫でてきて、

私の呼吸が、かすかに乱れる。


「ひなちゃん、反応してる……♡」


「してない……っ」


「してるよ。だって、すっごく熱い」


「風、ほんとに……」


「ほんとに、ひなちゃんが好き。だから、したい。もっと、近くで、全部感じたい……」


その声が、耳の奥にふるえて響く。


私の指も、自然と風の腰にまわっていた。

頬に、唇を重ねようとした、その瞬間――


「ガチャッ」


玄関の鍵の音。沈黙。


ふたりで、ぴたっと止まった。


「……やば」


「……やばい」


そっとソファの背に身を沈め、毛布で隠れる。

リビングの入り口にはまだ誰も来ていない。

足音がこちらに向かってくる。


「……ひなちゃん、どうしよう……」

「……黙って」


私の声は、風の耳元でふるえた。


そのまま、私は風の耳たぶにそっと噛みついた。


「……ひゃっ、んっ……!」


「お返し。風が変なことするから」


「ひなちゃん、そんなの……もっとしちゃっていいってこと?」


「ちがう。おしおき」


でも、風の顔は、嬉しそうに赤くなっていた。


「……じゃあ、おしおき、もっとください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る