脳内変換愚作予報
笠村 葵
本文
日記を書いてみようと思った。
しかしそれは、一瞬の欲に過ぎなかった。今のわたしには、完結しようという欲はないし、これ以上書くつもりもない。
けれどもそこに、或る一ツの義務があるのを見つけてしまった。その義務は、わたしの勝手な思い込みに過ぎないだろうと、信じたくもないのだが・・・そうなってしまっていると理解しているからには、やはり、思い込みに過ぎないのだろう。だからと言って、ここにあの義務の説明を書かないわけにはいかない。いや、これも勝手な固執か・・・。
いいや、言ってしまおう。或る一ツの義務というのは、冒頭に書かれている「日記」の続きを書かなければならない、ということである・・・なぁんだ、コンナことを言おうか言うまいかと悩んでいたのか。アッハッハッハッハ・・・・・・。なんだか、馬鹿らしく思ってしまって、単に笑いたくなったのだ。許してくれ・・・。
ゴホンゴホン・・・。日記という名を用いて、脳髄の信号を文章と化するのは、とても大変なことである。今まさに、ウィンドウズのノート型パーソナルコンピューターを使用して文字化しているのだが、先ほどの笑った影響で腹が痛く感じるため、左手でそこを押さえ乍ら、右手で操作をしている・・・とてもやりづらい。
・・・それにしても寒い、集中できん。冷房の効きすぎだろうか。目の前の温度計は二十九度を指している・・・。そうだとは到底思えん。それから、今わたしは、ピンクのかわいらしい椅子に座り、白いペンキの少し剥げた勉強机の上に置かれている機械とにらめっこをしている。右側には大きな引き違い窓があり、左側にはだいぶ古びた扇風機が私の方をチラチラ見てくる・・・なんだか、そう書いてしまっただけであると思いたいのだが、異様にその扇風機を気味悪く思ってしまうようになった。
わたしは椅子から降りて、扇風機の電源を切った。すると、今まで鳴っていた音が全て止んだ。机の上に置かれていたあの小さなアナログ時計も、耳を傾ければチッチチッチとなるはずなのに、もう、聴こえない。わたしの耳が壊れたのであろうか。いや、壊れてなんかない。その証拠として挙げられるのは・・・自分の鼓動である。
アァ、訂正をしなければならない。「今まで鳴っていた音」というのを「今まで意識の上に鳴っていた音」にするのだ・・・いやまて、訂正したから・・・何なのだ? 訂正なんかしなくたって、別に好いではないか。あくまでも予報なのだから、別に好いではないか。
わたしはふと上を見た。普段は天井があるらしい。
空の色が、みどり色である。青ではない、みどりなのだ。
おや? なんだか変だ。かんじが、あまりにも、かけなくなってきている・・・ソンナきがする。
あしもとが、びっしょびしょだ。しかし、なれないかんかくである。わたしは下をみた。
にごった川のような・・・いや違う、そんなのではない。けれどもあかい、いや、黒。びしょびしょでもなくなった。シャバシャバカレーではない。のうこうなカレーのようだ。でもくさい。ヘンなにおい。ひざ下までつかっているもんだから、うごけない。
「」
おんなの声がした。だれだろう? と思った。白いペンキのかなりはげたべんきょう机の上に、置かれているパソコンの方をみた。そこには何もうつってなんかいなかった。
けれども、たしかに、そこから声が聞こえたのである。何を言ったのかもわからないけれども、それは、女であった。
思いこみ・・・? いいや、そんなはずはない。
わたしは、動こうとした。あるこうとした。しかしはんのうしたのは、あしではなく、はなからでる、あかいえきたい、が、あるきはじめた。・・・あぁ、
だめだ、まともに書けない。
のどがかわく・・・まつごの水は、ほしかった。
考えたり思ったりする、ソンナことでさえもいやになってきた。・・・うふふ。
・・・アッハッハッハッハ・・・。なんなのだ? なにをかきたかったのだ? ソンナことぐらい、分かっていなければならないことを・・・わたしはむちもうまいのぐずでしかなかったんだ。
・・・にっきをかいてみようと思った。しかしそれは、ぐさくにしかならなかった。
コンナぶんしょうしか書けなかった、このわたしを、どうか、許してほしい・・・。
脳内変換愚作予報 笠村 葵 @kasamura3153
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