普通が欲しい
自由 山明
普通が欲しい理由編
普通が欲しい。
幼い僕はそう願った。
普通が欲しい。
まだ若い僕はそう願った。
普通が欲しい。
成人した私もそう願った。
全てが普通、それはどんなに欲しいと願っても手に入れられない麻薬のような言葉。
普通が欲しくて欲しくてたまらない。
一度普通の快感を味わったらもう戻れない。
他人から普通と認めてもらうために色々なことをする。
あれも試して、これも試して、いろいろ試しては成功し、失敗する。
そしてようやく普通に近づいても全てが普通にはならない。
幼い僕は泣いた。
なぜ普通になれない。
若い僕は嘆いた。
なぜ普通になれない。
成人した私はほとんどあきらめた。
なぜ普通になれない。
みんなと普通に仲良くしたい。
みんなと普通に遊びたい。
みんなと普通にお喋りしたい。
それだけなのに、なんでできない?
何でいじめられる……?
人間……怖い……
でも……それでも……みんなと……普通に……
いくら願っても叶わない。
何をやっても、どれを試しても、叶わない。
トライアンドエラーを繰り返し、叶わない。
僕は普通を手に入れるために模索し続ける。
私は普通をあきらめかけても模索し続ける。
自分が普通だったら……
幼い僕は愚かにも自分を責めた。
自分におかしなところが無ければ……
若い僕は愚かにも自分の特性を責めた。
普通なんて無理なんだ……
成人した私は愚かにも普通を責めた。
普通を責めたところで状況が好転するわけでもないのに。
普通に……なれない……
私は今も悩み続けている。
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