7月5日、地球最後の告白を

伏見京太郎

7月5日、地球最後の告白を

7月5日、地球最後の告白を


「今日さ、終わるらしいよ」

「何が?」


「地球」

「地球が?」


「なんか世界滅亡するんだって」

「はぁ...アホらし」


「ね、でもさ、こんなに地震起きてたら、ひょっとして本当に滅んだらどうする?」

「ひょっとしなくてもノストラダムスの大予言とかあったでしょ、ひょっとしなくても滅ばねぇよ」


「ならさ、仮に滅ぶとしたら?仮に、この世界が滅ぶとしたら、最後の1日、アンタは何をすんの?」


「んー」

「...」


「...」

「...」


「わっかんね、なにしてんだろ、いつも通り?」

「はー、そっか、アンタはそうだね、いつも通り過ごしてそう」


「はは...言うねぇ」

「最後なんだよ、想像してよ。この世界、全部終わるんだよ、学校もライブハウスも部室も全部なくなって、友達も家族もみんなもいなくなって、終わるんだよ!?全部、全部、なくなっちゃうんだよ!?」


「それなら...」

「......」


「うーん、やっぱいい!」

「え、なんで!なんなの!」


「なんか、こう、やっぱりやめ!この話やめ!」

「なに!なんなの!言ってよ!」


「その、さ、やっぱり、小さな頃から幼馴染としてずっと俺たち一緒にいただろ、しょっしゅうくだらない話して、アイス食べて、映画見て、ライブ行って、部活もお互いに応援して。」

「うん」


「だから」

「...だから?」


「最後の日も、お前とこうして話していたいって思っちゃった」

「え、そ、その...それはなんというか...」


「うん、俺、お前と過ごしてる時間が好きだ。よくわかんないけどさ」

「なかなかの事言うじゃんよぉ...」


「...?」


このアホはこの瞬間に地球最後の告白レベルの事を言ったと気付かないのだろうか。でも、アタシもそのアホに好かれたいと思ってしまったアホで。


幼馴染のアホ2人がお互いにした7月5日の「地球最後の告白」。


この日が地球最後なんてことは言わないけど、いつの日か、思い出すと、7月5日のこの日は------


自分の人生が終わるほどの恥ずかしい告白の日になったのかもしれない。言わないけどね。


「7月5日、地球最後の告白を」

<了>

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7月5日、地球最後の告白を 伏見京太郎 @kyotaro_fushimi

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