第3話

「今日は私はテスト勉強してから帰るから。佑耶は先に帰って。」

「美咲が帰らないなら、俺も勉強する。」

「ちょっと、そこに座らないでよ。」


どうして私の目の前に座るの。


ほっといてくれていいのに。


「俺がどこに座ろうと、俺の勝手だろ。」


佑耶はいつも強引だ。


その上お節介だから困る。


佑耶は誰よりも周りを見ていて。


誰よりも、私のことを理解している。


「美咲、その問題わからないの?」

「……うん、わかんない。」

「これは、x=3を代入して……」


佑耶と一緒にいると、ときどき思うことがある。


佑耶と私は幼なじみだけど、本当は別の世界の住人なんじゃないかって。


頭が良くて運動神経も良くて、何でもできる佑耶と、そんな佑耶に頼ってばかりで何にも出来ない私はあまりにも対照的で。


あまりにも釣り合わなくて。


生まれたときから隣同士の家に住んでいるけれど、本当は私は佑耶の隣に並んではいけないんじゃないかって。


そんなことを、ときどき思う。

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