最終章『一挙両得、正義の行いと言っとけばそれっぽい』

最終章 1.

   1.

 県警本部の女性警察官『村井』は今すぐにでもぶちぎれて目の前のガキども4人組を補導したい気分だった。

つか、少年院にぶち込みたい。そんなことできないけど。

最近の大忙しの原因は目の前のバカ4人組だと確信した『村井』は額に青筋立てて今すぐにでもぶっ飛ばしたいがそれは無理だ。カメラドローンが動き回っている。


「先輩、これ、どうしたらいいんです?」

『寮長』が無力化された。『女子寮』の戦闘員も全員ではないが、まぁ、撃破された。つまりあとは散らばって今現在大陸の傭兵とドンパチしているであろう『女子寮』の

戦闘部隊さえ、どうにかすれば終わりだ。というか、指揮官である『寮長』がこの状態でちゃんと戦えているのだろうか。

総崩れ始めたりしていないだろうか? 相手は単なる傭兵ではない。傭兵部隊だ。それも正真正銘、軍隊としての訓練をちゃんと受けた人間達を使っている。

『女子寮』の戦闘員の中に果たして元自衛隊や元警察などの経歴の持ち主はどの程度いるのだろうか。最悪は素人が戦闘訓練を積んだ程度ということもあり得る。


「刑事さんの顔が怖いです」  「アレ、私たちなんかやった?」

「『部長』なにやったん?」  「ひどい『関西』、ひどい!」

そんな4人組をにやにやとカメラを向けている、謎の男。腕章にプレスの文字がある。ひじょーに厄介である。

そんな風に思われてるプレスの文字のある男――『Tフラッシュ』――は、状況に興奮しすぎて必死に震える指を押さえていた。

そりゃそうだろ。さっきから特ダネの数々だ。夢を抱いて新聞記者になって、夢破れ、週刊誌のカメラマン。安月給に身をゆだねそれでもと

一途の望みをかけて動画投稿を開始するも言うほど大きくなれず、諦めきれず、王手メディアの影響力の薄いダンジョンにかき集めた金子片手に飛び込んだ。

それでもあまり思ったほど大きくなれず、そこからこの状態だ。

興奮しすぎてキレそう。

これは最後のチャンスだ。絶対にモノにすると叫ぶ脳内の自分を必死に押さえ込む。出ないと奇声を上げて踊り出しそうだ。


「ねぇ、あの人の右足、なんでリズムを刻んでいるの?」  「さあ?」

状況は混沌。誰もが混乱し、次に何をすれば良いのか、悩んでいる。

けれど、悩みに使われる1秒の間に誰かが撃たれ、誰かが殴られ、誰かを殴り返すそんな行為が繰り返されている。


「女子寮はなんとかした。いや、これからなんとかする。『マスドロ』!」  『――だから、ドローンマスター……今、壬生警視から連絡がついたと』

『村井』が無線機越しにあちこちと連絡を取り合う。とにかく女子寮の戦闘員を鎮圧する。

そして、被疑者を捕まえる。


「『村井先輩』……気がつきません?」  「……何?」

「 傭 兵 の 数が 多 す ぎ ま す 。被疑者の護衛、そして労基関係の証拠隠滅部隊。この2系統がいるにしても数が多すぎます」


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