第10話
国が滅びるっちゅうんは、国と自分との間の一番きつい別れだがでも。と、クロムがコップを手に、フェアリーに捧げる詩を、暗誦し始めた。ブクはちょっと長めになりそうなクロムの言い分を、大切に、出来たら最後まで、遮らずにおろう、と思って。何だいや?何だいや?と、ゆわずに呆気〜としただ。クロムは続けただ。でも、別れたって感じがせんだ。
ちょっと雑草が繁っちまったケド、それでも素敵な城を運営しとるって、胸を張ってゆえるだ。植物を見ると、嬉し涙落ちるだ。手の届かん空へ向けて思いっきり葉を張り、確かに受け取ったと断言しとるし、
と、ここまでゆって、クロムがちらりと、ブクの方へ目を遣る。クロムは続ける。
どれ程下へ下がっても平気だでと溌剌とゆう水らーを、根っこでそっと、上へ汲み上げるだ。そんな植物らーは、眺めると嬉しくなるし、それは、涙が出る程。
でもいつもポジティブでおりとうても、失敗する事も。別れを恨んだだ、すると。鳥らーが一緒にあんたーはおるともとゆうように、囀り、気付かせてくれてはっとするだ。
クロムは明るくブクを見ながら、続きをゆうだ。あんまり畏まってはと、ブクはミネラルウォーターをちびっと飲むと、クロムに喋らせる為、頷く。そしてクロムを見る。クロムはここにはない虹に目を走らせるみたいに、斜め上を見つつ続ける。揺れるように。
戦火のようなつらい事、三ヵ月にまで及ぶ事があんけど、そんな時、とっても助けになんのは、家からなんかの市場価値がねー手紙。お金を払ってでも欲しいぜ。白くなった頭は、ただでさえ薄いのに、掻いちまっただ。頭の飾りを付けるのに、どんどん困難がやって来るだ。
そしてしーんとしただ。妖精が一匹、開いた窓から入ってきた。魔法の粉を散らしつつ部屋の中をゆっくりと飛ぶ。そして植木鉢にとまっただ。何の報せだいや?と、グリーンスライムのブクは、或いは天使のブクは、考えただ。そして。クロムが少年から青年に変わりましただ、と、聞いた。妖精のゆう事を何でも鵜呑みにする訳ではねーけど。ふと、クロムは今も馬鹿で構わんとゆうかいな?と、ブクは疑った。
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