第52話 共同統治

 テーベのアメン神官団は軍と警察によって一掃され、秘密の地下神殿も徹底的に破壊され埋められた。ミンモセをはじめハプウ、ニブラといった主立ったアメン神官はマアトの法によって裁かれ財産を没収され神官の地位を剥奪、奴隷として国外に売られた。死刑を廃止したアクナテンの配慮であった。

 一方、暗黒司祭ハプセンネブだけは行方をくらましエジプトからその姿を消した。

 これによってテーベのアメン神官団は壊滅したかにみえた。


 治世十六年の年が明けてまもなく。

 東の空が朝日でほんのり黄金色に輝き始める頃、アクナテンはスメンスカーラーとメリトアテンを伴って、アテン大神殿にやって来た。

 神殿の巨大な入り口にはアテン大司祭メリラーをはじめ、多くのアテン神官たちがアクナテンたちを出迎えた。

 巨大な入り口をくぐり抜けるとゲムアテンという柱廊玄関が続く。ここは五つの塔門で区切られた前庭があり、その両側には至聖所に入れない民衆のために用意されたペルーハイという供物置き場がある。

 アクナテンたちはこのゲムアテンからさらに三百メートル以上歩いてアテンの至聖所まで行った。

 アテン至聖所の入り口の塔門をくぐる。

「スメンスカーラー、メリトアテン、これからはそなたたち二人が太陽の都の主となるのだ」

 アクナテンは二人を至聖所に続く参道に導く。

 スメンスカーラーとメリトアテン、そして神官たちが後に続いた。

 アクナテンは至聖所につくと昇る太陽にむかって祈りを捧げた。


「あなたは、地平線に美しく照々たり。

 あなたは生けるアテン、原初に生けるもの、

 あなたは、東方の光の場所に昇り、

 あなたは、美をもって全土を満たし給う。

 あなたの光は大地を包容する。

 あなたは、ラーなり、だからこそ全土の窮極を支配す。

 あなたは、愛する息子のため、全土を締結し給う。

 あなたは、とても遠くにいらっしゃるが、あなたの光は大地の上にあり、

 あなたは、人々の面輪にあれど、しかもあなたが進路を目視すべからず……」


 アテン大神殿での儀式を終えると、アクナテンはスメンスカーラーとメリトアテンを結婚させ、ついに政権委譲のためにスメンスカーラーとの共同統治を宣言した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る