〝真面目な正社員〟は怪談である。
本作の始まりは、警備員の怖い話。
定番のお化け話だ。
だから本作を読む者は、ある意味で安心して読み進めることだろう。
だが本作は違う。
読む者のそんな生半な予想に収まる話ではない。
作中の筋立ての始まりにあるのは、会社で起こるパワーハラスメントとそれを取りく状況らしい。
だが、本作が違うのは、ここではない。
異質なのは、エピソードの繋ぎ方だ。
段階的に状況が変化する〝語り〟だ。
物語は怪異の原因も意味も、何も断定しない。
そんな不安の置き方だ。
本作は、現実と地続きの不明瞭な怖さを描く
高品質な都市の怪談である。
では、都市の怪談とは何か。
読み手と語り手により展開され、解釈され、再生産される街談巷説の類である。
語り手は、文中の最後の一言で主人公も、読む者をも共に置きざりにする。
では読み手は、この物語をどう解釈するのか。
あなたなら、この物語をどう読むのか。
読み浸る事が格別の体験となる。
そんな本作を、是非に体験してもらいたい。
切にそう思う。
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