エッセイ 真夏のランウェイ
阿賀沢 周子
第1話
わが家の庭の花壇や野菜畑の間には、細い道が通っている。根やふかふかの土を踏まないように、自分でレンガや平板敷石を使って作った。小道を歩いて草取り、整枝や追肥などの手入れをしている。
野菜の収穫が始まる夏、真夏日・猛暑日の作業は大変になる。工事現場などのように暑さ対策をルーティンにしている。
熱中症予防のために、パラソルの下に水筒や塩あめを置く。住宅地には半日陰の場所は多いが、家の壁や窓の反射光は強くてまぶしい。紫外線による白内障予防のサングラスも欠かせない。
真昼の太陽は容赦なく照りつける。麻や麦わらの帽子をかぶっても頭のてっぺんの蒸れは防げずくらくらする。
市民農園を借りていた時、菅笠(すげがさ)をつけて作業する人が何人かいた。暑さをしのげると聞いて、ホームセンターを探したが売っていなかった。
後日、ベトナムへ行ったとき、土産屋に山ほど並んでいるのを見つけ、うれしくて夫の分と2個購入し持ち帰った。
実際暑い日に使って驚いた。頭頂部は涼やか、肩回りまで暗い影を作ってくれる。形は帽子でも機能はまさしく傘なのだ。持ち手がない分手仕事がはかどるのは確かだ。
当然、服装にもこだわりたい。以前インドで、値段に誘われてインド更紗(さらさ)のブラウスとパンツを何枚か買った。更紗は薄く風通しが良い上に軽い。汗をかいても肌にまとわりつかず着ている感じがしない、熱帯仕様の優れもの。
ブラウスは七分袖の白で、胸・袖・背中に細やかな刺繡が入っている。ウエストがゴムでゆったりしたパンツは、日本ではタイパンツと呼ばれることが多い。赤と黒があり、どちらも象を描いた柄だ。
民族色豊かな衣装で、菜園のランウェイをさっそうと歩いて、キュウリ・トマト・ズッキーニやラズベリーを収穫する。
エッセイ 真夏のランウェイ 阿賀沢 周子 @asoh
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