1.2 批評と批判の違い

 言葉の意味が分かれば、それが他の言葉と何が違うのかを考えましょう。

 愛が分かっても、それが憎と何が違うのかを知らないと、

 憎を愛と勘違いするかもしれないからね。


 下に、精選版 日本国語大辞典の意味をを引用します。


 批評:

 事物の善悪・是非・美醜などを評価し論じること。長所・短所などを指摘して価値を決めること。批判。


 ここにも「対象」「基準」「決定」の要素が共通して見出せるよね。

 そして批評のいいかえには、批判があることに注目したい。

 批評と批判が似た意味、とする考えもあるのです。


 次に、批判・評論・解釈の意味を連続して見てみよう。


 批判:

 批評して判断すること。物事を判定・評価すること。


 批評と批判の意味に違いは見られないよね。

 でも辞書の意味には書かれていないけど、

 批判することに悪い印象を感じている人も一定数いるはずです。


 ここで、我々が感じている意味と、辞書の意味が違うことに注目して欲しい。

 批評と批判は何か違うのです。

 では何か違うのか。例文で見てみましょう。


 例1:痛烈な批評を浴びせる。

 例2:痛烈な批判を浴びせる。


 例1に違和感を抱く方が多数と思います。

 抱かない方は、言葉に偏見を抱かなピュアな持ち主です。

 ぜひ純文学の道にすすんでださい!!!


 対して、例2の用法にしっくりくる方がほとんどでしょう。

「痛烈な」と「を浴びせる」が加わるだけで違和感が生じる。

 それはなぜだろうか。


 平たく言えば、「痛烈な」は攻撃的なイメージを言葉にあたえて、

「を浴びせる」は激しいイメージを言葉にあたえる、

 のではないだろうか。


 そこから「痛烈な」と「を浴びせる」に合わない批評には、

 攻撃的・激しいイメージがない。

 対して、批評にはそれらのイメージがあると言えるだろう。

 この点で、批評と批判の意味の内容に違いがあると思います。


 つまり、批評は批判よりも広い意味を含んでいる。

 そして、批評は批判よりも柔らかい言葉や考えの場合にも使える。

 こういうことが言えるのではないか。


 そんなところに、批評と批判の違いがあります。

 次に批評と評論の違いを考えてみましょう。

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