SF ねこうさ ゆりボイン 8

八乃前 陣

☆プロローグ 二人の朝(プチ憂鬱)☆


 世界統一国家となった地球の自転に伴って、太平洋の真ん中に建造をされた人工大陸「ネクスト・アトランティス」に、いつも通りな朝が来た。

 地球連邦捜査室の本部や捜査官たちの住居も朝陽に照らされ、白銀色の超高層ビルが硬質な輝きを見せる。

 捜査官専用の寮の一室で、ベッドで眠る二人のケモ耳美少女たちも、窓から差し込む朝陽の輝きで、穏やかな眠りから覚醒を始めた。

「うぅん…」

 ピクんっと跳ねるような反応を見せる黒いネコ耳や、サラサラで艶めく黒髪がサッパリと整えられたショートカットがこの上なくベスト・マッチをしている少女「ハマコトギク・サカザキ」は、美しく中性的な王子様みたいな美顔へ陽光を浴びて、瞼がヒクつく。

 シミ一つも無いスベスベな肌と、繊細で凛々しい眉や切れ長な眼、細くて高い鼻筋や薄くても柔らかそうな脣が、睡眠フェイスを高貴に引き立ててもいた。

 白い首からなめらかな肩へのラインは、タオルケットから覗けていて、チラと見える鎖骨も儚げ。

 左側を下にして眠る肢体は、薄くて軽いタオルケットに隠されているものの、恵まれた起伏は隠し切れてなどいなかった。

「んふ…」

 マコトの隣で静かな寝息を立てているのは、純白なウサ耳をピクピクとうごめかし、緩いカールの愛らしい艶々サラサラなロングヘアーを背中で拡げる「ユキヤナギ・ミドリカワ・ランゼイ」である。

 優しい形の眉や大きなタレ目、細くて可愛らしい鼻筋と、ぷるぷるで小さな脣が、愛らしいお姫様そのままな媚顔だ。

 隣で眠るパートナーへ身体を向けて、安眠の媚顔もやや細い肩も肌が白くて艶々で、少女らしい華奢さを確信させていた。

 二人が転がるベッドはそれぞれがシングル・サイズで、元々は離れて並べられていたけれど、現在は密着してキング・サイズ幅のマットを敷いてシーツを掛けて、二人サイズとして使用をしている。

 ネコ耳のマコトとウサ耳のユキは、同郷のニッポン地域のトーホク地帯の出身で、同じ日の同じ時間に同じ病院で生まれ、お隣さん同士で双子の姉妹のように育った。

 共に、凄腕だった連邦捜査官を祖父に持ち、同じように憧れ、猛勉強の末に飛び級で大学まで卒業をして捜査官試験も突破し、晴れて祖父たちと同じく「地球連邦政府 対外捜査室 第二捜査部 特種捜査官」となり、やはり祖父たちと同じくチームとして活躍。

 地球連邦領域内の様々な宙域をパトロールし、善良な一般人たちの平和を脅かす悪党どもを、逮捕あるいは確保拘束あるいは宇宙の塵にと始末をしていた。

 今、ベッドで眠る十七歳の二人の肢体は、タオルケットのみを纏われている。

 極薄フィルムほどの薄さにタオルなサラサラ手触りのタオルケットは、シルク程に柔らかくて軽くて、二人のボディー・シルエットを浮かせ見せていた。

 マコトが寝返って仰向けになると、上向きでも形を崩さない丸い爆乳が稜線を見せて、先端の媚突もツンと天井を向いている。

 隣のユキも、寝返りをうって俯せになると、細い背中や大きくて丸いヒップが、極薄タオルケットで綺麗に形を表してしまう。

 マコトの黒いネコ尻尾やユキの純白なウサ尻尾も、フルっと揺れただけで軽いタオルケットを動かしてずらし、パツパツの腿がギリギリまで剥き出しになった。

「んん…ふわわ…」

 朝陽のまぶさしに反応をして、マコトが目を覚ましながら上体を起こすと、スベスベの肌からタオルケットが滑り落ちる。

「ぁふ…ふわ…」

 隣のユキも、目を覚ましながら四つん這いになると、タオルケットは滑らかな肌を滑り落ちて、二人は一糸纏わぬ裸身を陽光へ晒していた。

 マコトはベッドへ腰掛けたまま、ユキは四つん這いでお尻を突き出すように、共に身体を伸ばす。

「「ぅ~ん…」」

 姿勢良く突き出される爆乳と、斜め後ろへと高く突き出される大きな裸尻が、太陽の光を受けて艶めき輝いた。

 二人は元々、当たり前にパジャマなどで眠っていたけれど、色々な事件で色々な露出体験などをしてしまっているうちに、自然と寝姿が変化をしている。

 甘えたがりのユキが、寝たままマコトの隣へと転がろうとしてベッドの間に落っこちたりして、ベッドを密着。

 着衣のまま眠っていても、目が覚めると全てを脱いでしまっていて、今では無意識に、ベッドでは全裸で眠るようにもなっている。

 そして、お隣同士であり幼馴染みであり一緒に育った二人は、精神的に、もはや夫婦同然だったり。

 色々な事に頓着をせずユキのワガママをそのまま受け入れるマコトと、マコトへの世話好きでファッション好きなユキは、お互いに相手の全てを無自覚にも知り尽くしている関係性もあり、裸で抱き合ったまま朝を迎える事も、当たり前の日常となっていた。

 そんな二人だけど、マコトは地球連邦随一の射撃戦闘能力を誇り、ユキは同じく他の追随を許さない程のビークル操縦センスと機械ヲタクを誇っている。

 特種捜査室という特別な部署に籍を置き、主に地球外知的生命体による犯罪を捜査する二人のユニット・ネームは「ホワイトフロール」だ。

 専用の航宙船である白銀の白鳥「ホワイト・フロール号」で銀河狭しと飛び回り、宇宙の悪党どもを蹴散らし続けている。

 ただ、活躍の殆どは荒事となり、出来るだけ捕らえるべき悪党どもは毎度ほぼ全滅という、捜査室としても優秀で勇ましくて悩ましい二人ではあった。

「ユキ、お早う」

「んん…マコト、お早う御座います…ふわわ…」

 裸身のままベッドから降りると、二人は一緒に、シャワーで寝汗を流す。

 大きな双乳が湯に濡れて艶めき、細い背中や括れたウェストを流れ、左右と後ろへなだらかに広がるヒップをサラサラと滑る。

 ムッチリと脂の乗った大腿部から細い膝、なめらかなカーブを見せる脹ら脛を流れて、成人男性の片手で掴める程な細い足首と、小さな足平までもが、湯で温められていた。

 年頃の艶肌は適度な皮下脂肪と恵まれた起伏と、日頃の鍛錬によって綺麗に引き締まり、どんな惑星人の男性でも見惚れる程の美貌を輝き魅せている。

 煌めく全身は、ある惑星での特異な野生植物による天然エステで磨かれた事によって、頭髪と眉とまつ毛いがいの体毛は産毛どころか毛穴すらない、完全艶々ボディーであった。

 そんな二人の活躍は、祖父たちの伝説とも相まって、宇宙の悪党たちには、ユニット・ネームではなく徒名で知れ渡っている。

 不名誉にも「ダブル・ビッチーズ」や「ブラッド・ツインズ」や「ヘル・デビル・レディース」等々。

 言い換えれば、伝説の捜査官たる祖父チームにも負けない程にまで、二人は悪党どもを恐れさせているのであった。

「ふぅ…さっぱりしたね」

「はい♪」

 物心ついた頃には当たり前でもあったお互いの裸は、もうすっかり慣れていて、二人とも相手に見られても隠そうとは思わない。

 エア・タオルで裸体を拭ったマコトは、ショーツにエプロンだけを身に着けてキッチンへと向かい、同じくユキは、オシャレとしてバスタオルだけを巻いた姿で姿見の前へ。

 食事は料理大好きなマコトが作り、二人のファッションは全てユキの担当だ。

「ユキ、出来たよ」

「はい、マコト♪」

 ロングゆるふわヘアに櫛を通したユキが、キッチンへやって来ると、二人で一緒に朝食を戴く。

「「戴きます」ですわ♪」

 二人の朝ご飯は、お米や味噌汁や焼き魚やお漬け物など、完全に和食派だ。

 実は今朝は、マコトにとって何よりもワクワクで、しかしユキにとっては半分ほど憂鬱な朝だった。


                        ~プロローグ 終わり~

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