第25話 合流

「ここが風の国の空中都市になります」

「へ~、ここが空中都市

すごいね!飛んでる街なんてはじめてみた。」

リリーは初めて見る都市に興奮が収まらずくるくるその場を回りはじめた。

「リリーさん、あまり飛び回るとジード様のお邪魔になりますよ」

「はーい」

そういうとリリーは仕方なくイザミの肩にすわった。

「いーだ!」

リリーは悔しさからジードに威嚇した。

「やれやれ、嫌われたものですね

まずは報告がてらナディーナの所へ参りますのでついてきてください。」

「はい、わかりました。」

その時隣のドックに別の飛空艇が着艦した。

「おや、あれは・・・」

そこから急いででてきたのはこの国の王女ネフィリムだった。

「ネフィリム王女殿下、これはご無事でなによりです」

「あ!ジード様でしたわね。雷の国につかまりはしたけどドロシーとあなたの所のランドルフ様のおかげで助かりましたわ。」

「そうですか、してランドルフ君は今どちらへ?」

「それが飛空艇までは合流したのですがまだやることがあると水の国へ行かれました。

「なるほど、彼の独断ではありますがきっと何かあるのでしょう」

「ほっといていいの?」

「ええ、彼にはある程度の自由は与えてありますので

部下を信用しているとも言えますがね

ああ、こちらこの国の王女ネフィリム様です。

こちら大地の国より来ていただいた火の因子をもつイザミさんです。」

「イザミと申します。ネフィリム様どうぞよろしくお願いします」

イザミは丁寧にお辞儀をした。

「あら、こちらこそよろしくね

ってこんなことしている場合ではなかったわ

早くナディーナの所へ向かいましょう!」

「ええ、そうですね情報のすり合わせもありますし」

4人は急いで会議室へと向かった。

「あ!待ってよ~!」

リリーは飛空艇を見ていただめ置いて行かれるのであった。





「ナディーナ!これはどういうことなの!?」

ナディーナのいる医務室につくとその光景はあった。

「えっと、その止めたんだよ?

でもこれしか方法がないっつうことだったしよ」

そこにはラクシャ王女が貧血のためベッドに横になっていた。

「この子はまた自分を犠牲にしてっ!・・・

なんでこんなこと!」

「さっき説明したじゃないか」

「それは聞いたわよ!聞いたけどなんでそんな躊躇いもなくできるの?

私には理解できないわ!」

「でもよ、それで王子が一命をとりとめたんだ。

過程はまずかったかもしれないけど結果はまだよかったんだ。

あねきには理解できないかもしれないけど

この子にはそれができるしやってしまうんだよきっと」

「あなたが怒るのも無理はありませんけどね

私でも怒ると思いますよ

命の重さをご自身には置き換えられないお方ですから」

ジードは呆れてお手上げの仕草をした。

「命なんてそんな軽いものではないわ

人の命も自分の命もどっちも大切だけど

自分が死んでしまっては意味がないじゃない・・・。」

「命の重さを知るには幼すぎるのかもしれませんね

ああ、そういえば報告しておかなければいけないことがありますね」

「ええ、私にもあります」

「ではまず私から報告させていただきましょう

先日火の神器については説明させていただいたと思いますが

彼女、イザミさんが次の火の因子を受け継いだかたです

火の神器は消滅したわけではなくコアとなってあの国に残っているそうなので

このあと落ち着きましたら取りに行こうと思っています。」

「それは戦力としては心強いわね」

「ええ、かなり期待できるかと思います

あとこれは深刻な問題なんですが土の神器は大地の国にはありませんでした。」

「え!?じゃ、じゃあどこにあるの?」

「この世界の遥か西に鬼の住む島というのがあるそうです

そこに土の神器と因子があると聞きました。」

「遥か西の大陸・・・?

聞いたことないんだけど本当にあるの?」

「あるそうです、眉唾かもしれませんが

ただ、鬼と呼ばれるオーガ族がその島にはいるそうで

一筋縄ではいかない気もしますね」

「その話も初耳だし興味深いことばかりじゃない」

「ええ、あと魔界についても少しだけ情報を得ました。

今の所、場所などは不明で行ける状態ではありませんが

いずれ行く必要があるかもしれませんね」

「いずれ行くってそれ以外情報はないの?」

「魔界には神器と因子はあるそうですが具体的なもので言えば

魔族の王がいるとか魔人の住処だとかいうことくらいしかわかってませんね

あとはこちらと魔界の秩序をまもっているだとか」

「秩序ねぇ・・・まあそれは一旦後回しになりそうね」

(地球についてのお話はしなくてもよろしいのでしょうか?)

イザミがジードにだけ聞こえるように言った。

(あちらのことは衝撃が強すぎて逆に混乱を招きかねないので

あとイザミさんも今はあちらの世界のことは伏せておいてください)

(わかりました。)

「なになに?内緒話??」

「いえ、こちらの話です」

「そう?じゃあ今度はこっちから話すわね

こっちは火の国についたんだけどすぐに雷の国の神器と交戦になってね

といっても一方的に捕まってしまったんだけど

その後雷の国の牢である男にあったわ」

「ある男・・・ですか」

「ええ、名前はしらないけどあなたによく似た髪型に

科学者だとか言っていた人よ」

そういってネフィリムは、あの出来事を語った。

「神器の進化ですか・・・。

その科学者はもしかしたら心当たりがあるかもしれませんねえ

うちの火の国の研究機関によくにた男がいましてね

人体実験を主とした研究をしていたため

やりすぎて国を追い出されました。

まさか彼が雷の国にいってしまうとはね」

「あとそこで風の因子を奪われたわ」

「因子を・・奪う?

そんなことが可能なのだとしたら

あの研究を成功させてしまったのかもしれませんね」

「あの研究?」

「ええ、火の因子がいなかったのはご存じですよね?」

「ええ、探してるのもしってたわ」

「探してもいたんですが別の角度から考えて因子を他者から奪い

それを火の国で利用できないかという研究もなされていたんですよ

その彼の独自の研究でね

それがついに完成したということでしょう」

「私の因子は戻らないの?」

「いえ、おそらくやつを殺してから奪えば可能かもしれません」

「そう、じゃあ遠慮なく殺せるわ」

「ですが彼も神器に乗れる可能性があるので生身では無理をなさらないよう

お願いしますね。」

「わかってるわよ

これで大体の情報は出そろったわね

こっからどう攻めていくの?」

「そうですね、まず火の神器を回収したいと思います

今現状神器を稼働できる人員は少ないですし

雷の国に奪われた因子を取り戻すためにも戦力はあったほうがいい」

「そうね、じゃあまずはそこから進めていきましょうか

私はここで彼女が起きるのを待ってるわ」

「じゃあ私たちは火の国へ参りましょう」

「はい」

ジードたちは飛空艇のあるドックへと向かっていった。

「この子はいつになったら自己犠牲をしなくなるのかしらね」

「あねき、あんまり怒んないでやってくれよ?」

「別に怒らないわよ・・・ちょっと話をするだけ」

少し不安になりながらもラクサーシャの顔を触れた。

冷たいわね・・・

「輸血は済んでるの?」

「そこまでの貧血じゃないんだけどさ

まあしようにも血液型が一致する奴がその場にいなくて」

「彼女は何型なの?」

「それが・・・AB型なんだよ」

「そう、確かにあまりいなさそうな血液型ね」

「あっ!あねきAB型だったよな!?」

「ええ、そうよだから

私の血液をこの子に分けてあげてほしいの」

「じゃあ今から頼んでくるからここで待っててくれ」

「ええ、わかったわ」

これで眼のお返しになるわけじゃないけどあなたばっかりに

こんなことさせるなんて私がゆるせないもの

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亡国の魔女 レイスフィー @caffeine0315

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