第20話 囚われの王女

「ここは・・・?」

私はいつの間にか気絶をしてどこかの牢屋に入れられたらしい

周りはジメジメしていてレンガ造りの建物で隙間は小さな窓一つしかない

私はその中で両手を鎖でつながれていた。

あいつにやられて捕まったみたい

鎖を外そうとしたが頑丈でとても外せそうになかった。

なぜか神器も呼べなかった。

神器に応答しても返事がない

これは何か妨害のようなものがでているのかしら?

私がどうにか出れないか考えていると誰かがやってきた。

「これはこれは、ネフィリム王女殿下ではございませんか」

「あなたは?私はあなたにお会いした覚えはないのだけど」

「私はこの国の科学者を務めさせて頂いています」

その男は科学者の白衣を着て髪を長くストレートに伸ばし色は白髪だった。

「これでもこの国の王よりも権限があるのですよ」

「なんであなたが王より権限を持っているのよ」

「それはこの国の王は傀儡の王だからですね

そして実権を握る第二王子を利用して好きに実験ができている

おかげでいろいろわかることができましたよ

この世界は何もかもが素晴らしいです。

500年毎に世界を滅亡させる理由は私にもわからなかったのですが

そのたびに神器を使用し世界の各国を結び付け

神器を揃わせ同時に暴走を実行しメルトダウンを行う

まるで世界を白紙に戻すかのようにね。」

「それはあなたも死ぬってことなのよ?」

「ええ、みんな死にますね死ねばいいんじゃないですか?

私はまた研究をやりなおすだけです

魂の転生を得てまたどこかの地でね。」

「狂ってるわ・・・・」

「この世界はもともと狂っているのです

私だけが狂っているとお思いですか?

神器の秘密も世界の秘密も何もしらない小娘になにが分かるというんです

神器がなぜヴァンパイアなんて呼ばれているか知っていますか?」

「それは原動力に搭乗者の血液が必要だからでしょ?」

「ええ、ですがそれは建前ですよ

本当の意味は神器が完全に暴走したときに現れます

長時間暴走をするとどうなるか実験をしてみましたよ。

完全なる暴走を引き起こし血の渇望が起こったのですよ

そして神器は人を喰らい血液を貪り喰う

それは何を引き起こすのかわかりますか?

【神器の進化】ですよ

人や魔物の血を喰らい進化するそれが本来の神器の姿なのです。」

「本当・・・なの?」

「あなたは本当に何も知らないのですね?

魔女の因子をもつあなたにも神器を進化させることができたのに

残念です、非常に残念ですよ

まあ、あなたの因子は頂きましたので

進化させることはできないでしょうけど

代わりに私が進化を体現してあげますよ。」

「神器が呼べないのはそのせいなの?

因子を誰かに移譲させるとができるなんて聞いたことがないわ」

「それができるんですよ、わたしにはね

因子を回収し移し替えることができるとしたらあなたはどうしますか?

私はね私の軍隊を作りますよ。ぬっふっふっふ」

「そんなことをして何になるの!?」

「最強の軍事国家いえ、ここは神器国家ですね

それを作ろうと思うんですよ

メルトダウンより面白いと思いませんか?」

「全然面白くないわ」

「まあ、あなたならそう思うでしょうね。あなたの使いみちは他にもありますし

今の所は、生かしておいてあげます。いらなくなれば死んでもらいますが

それまでは様々な実験台には、なっていただきますので。

できれば、すぐに死なないようお願いしますよ。ぬっふっふ」

こいつも外道でゲスだったわ

科学者の男は不気味に笑いながら去っていった。

どうしよう・・・私はここで死ぬのかしら

魔女因子もないし役立たずの王女なんて・・・。

「姫様」

どこからか音もなく声がした。

「誰?」

「私です、ドロシーです」

「来てくれたの?」

「私は姫様お付きのメイドです。

来るのは当然のこと」

シュッ

ドロシーは、牢屋の扉の前に現れ鍵を外した。

「姫様、お怪我はありませんか?」

「ええ、私は大丈夫なのだけど魔女の因子が奪われたわ」

「そうですか・・・とりあえずここを脱出しましょう」

「ええ、そうね・・・。」

ドロシーはネフィリムの腕の鎖を外した。

「この近くに隠し通路があります

そこから地下通路を通って町に出られます」

「わかったわ、いきましょう」

私たちは地下通路を通り町の裏路地に出た。

その時、一つの爆発音が城の中から聞こえてきた。

ドーンッ!

「え?いったいなにが?」

「ランドルフ様が囮になってくれています

今の隙に町の外へでて風の国へ戻りましょう。」

「ランドルフ様が!?大丈夫なの!?」

「ええ、あの方のおかげで姫様の救出も可能となりましたので

あとは時間を稼ぐので脱出をとのことでした。

あのお方はきっと大丈夫です

私が来るまであの方はここで身分や姿を偽装し潜伏しておられました。

強さも別次元だと思われます。」

「そう・・私たちはかえって足手まといになるわね」

「悔しいかもしれませんが今は逃げましょう」

私たちは、なんとか町の外まで逃げることができた。

「あとは馬に乗りしばらく走れば風の国と通信ができるかと思います

それまでしばらく頑張りましょう!」

私たちは外につないでいた馬に乗り全力で駆けた。

「姫様!追手です!」

私は馬を走らせながら後ろを振り向いた。

すると後ろから雷の国であろう吸血機が3体こちらに向かって飛んできていた。

「このままじゃ追いつかれるわ!」

「姫様には指一本触れさせません!」

ドロシーがそういうと馬の背中に立ち吸血機に向かって飛びあがった。

吸血機の背中に飛び移りナイフで頭部を突き刺した。

そうして、残りの2体にも同じように飛び移り撃破した。

「姫様!今のうちに逃げましょう!」

そう言いながらドロシーが馬に戻り走り出した。




一方そのころ雷の国城内ではランドルフが囮となって走り回っていた。

そろそろ脱出するには頃合いか・・・。

「む!」

どこからかナイフが数本こちらに飛んできた。

ランドルフは瞬時にかわし飛んできた方を睨みつけた。

「ランドルフゥ・・会いたかったぜぇ?」

「お前は・・・生きていたのか」

「お前に復讐するまでは死ぬに死ねないからなぁ

もっともお前が俺に復讐をしたんだったけどなぁ

忘れられないだろう?この顔をよお!」

その顔は火傷で爛れていたが知った顔だった。

「生きてりゃそのうちお前にも会えるだろうと思っていたが

まさかこんなに早く会えるなんてなぁ

お前も会いたかっただろう?この俺に」

「俺の復讐はあの時終わったんだ。

お前が生きていようと死んでいようと俺にはもうお前に用はない」

「お前に用がなくても俺にはあるんだよなぁ

この顔のお礼をたっぷりしないと俺の気が収まらねえし

俺はあの時地獄を見たんだ。お前にも是非見てほしくてな

あぁ、そっかそっかもう大事なもん失ったんだったなぁ

もうあの苦痛と絶望に歪んだ顔が見れねえなんて悲しいよなぁ

今でもあんときの苦痛に歪んだ絶望の顔は忘れられねえんだよ

気持ち良すぎてよぉ興奮して失禁しそうなんだよ俺は

またあの興奮を俺にみせてくんねえかなぁ・・・

つっても大事なものがねえんじゃ無理か

せめて俺の復讐の糧にでもなってつまらねえまま死ねや

それから、また新しい興奮を探しにいかせてもらうからよお

あの風の王女はなかなかいい顔してたじゃねえか

あの顔が苦痛に歪む顔がみてえ

あぁぁぁぁぁぁぁっ!はやくみてええっ!!」

「相変わらずゲスだな、だがあのお方には近づけさせるわけにはいかない」

「はっ!ナイト気取りか?気色わりぃこったなぁ

反吐がでるぜ・・・。

そんな偽善めいたことしたら俺らぁゲロ吐いちまうぞ

どうせなら失禁させてくれやぁ

つまんねえもんみせくれるな」

シュッ

一瞬の隙にランドルフの間合いにまで接近しゼロ距離でナイフを首に向かって攻撃してきた。

ガキン!

ギリギリでナイフを受け流し相手のお腹に蹴りをいれた。

男は壁を2,3枚ぶち抜きながら吹き飛んだ。

「お前の相手をしている暇はない」

瓦礫に埋もれた男は瓦礫を吹き飛ばし立ち上がった。

「ひぃぃぃいぃひゃああっ!楽しいなぁっ!ランドルフ!

もっと俺を気持ちよくさせてくれよ

はぁぁあああ気持ち良すぎて失禁しそうだ。

やっぱお前との戦いはこうでないとな」

シュッ

また男が一瞬で消え後ろや横、前と攻撃を防ぐたびに方向を変えて攻撃してきた。

キンキン!ガン!キン!

「ぎもぢがいぃぃなぁあああ!あぁああああ!いい!」

次にゼロ距離で来たときは男の顔をわし掴み地面へ叩き尽きた。

「ふがっ!」

そのあと敵を蹴り上げて体を浮かせ回し蹴りで遠くへ吹き飛ばした。

男は遠くの壁に強く叩きつけられ地面へ崩れるように倒れた。

「二度と俺の前に現れるな」

ランドルフは男に背中を向け立ち去った。

脱出に手間取ったが今なら追いつくだろう

ランドルフはネフィリム王女に合流すべく急いで合流地点へと向かった。

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