第11話 幼き王子

私は水の王国へと到着した。

到着したといっても飛空挺からでて少し歩いただけなんだけどね

「王女殿下、こちらへ」

デュラン隊長が城へ案内してくれた。

町も町ですごかったけどお城のなかもすごいのね

なんか至るところから水がわき出ていて

水の町!って感じのいやお城だから水のお城なのかな?よくわからなくなってきた。

ほとんどが魔法で動いているらしく私は珍しさのあまり周りをギョロギョロ見ていた。

「珍しいですか?

他の国へいったことがないので自分はわからないが

他にも国があるとお聞きしていつかはいってみたいと思っておりますよ」

とデュラン隊長が笑いながら話してくれた。

「あー、これは失言でしたね申し訳ない」

となんか困った顔をしていた。

「あ、いえ・・大丈夫です」

たぶん私の国の事を思ってのことなんだろう

私は申し訳なさそうにしているデュラン隊長に笑顔えで答えた。

デュラン隊長が案内してくれたのは宰相さんがいるお部屋だった。

コンコン

「デュランです」

「入れ」

宰相の一言だけ聞くと私は中へ通された。

「あなたがイルミシアの王女殿下ですね?

わたしはこの国の宰相を勤めている

ベルメール・ロシュワーズと言います

以後お見知りおきを」

と言いながらこちらにお辞儀をした。

といっても忙しいのか座ったまま机の書類を見ながらこちらをチラ見し頭を下げただけだった。

「申し訳ありませんね

今は猫の手でも借りたいほど忙しく

どこぞのバカが城壁を破壊し

今度はお城の一部分を神器が破壊するという事態になりましてね

予算と修繕費と色々とやることがございまして」

デュランは顔を横に背けたまま知らないふりをしていた。

「お前の事だよデュラン」

ギク!

「い、いやぁあれはだな・・・

魔物が来ると思うと我慢できなくてつい準備運動をしていたら壁がな、崩れたんだよ」

「お前は子供か・・・まったく

修繕費はお前の給料から少し差し引いとくからな」

「それだけは勘弁してくだせえお代官さまぁ~」

とデュランが泣きながら宰相に悲願していた。

「なにがお代官様だ

それより王女殿下にはお聞きしたいことがある」

「え?なんでしょう?」

「あなたはどの国に所属するのです?」

え!?・・それって

「どうせあのジードに言いくるめられたのだろう?

まあどの国に亡命しようともあなたの立場は危ういままだ

たとえ火の国に亡命しようともね

しないよりはましだというだけで

問題のすり替えでしかない」

「それはいったいどういう・・?」

「たとえ亡命ができたとしても

他国や魔物に狙われることには変わりないということだ

ひとつだけ核心的なことを話しておくと

因子とは死んでもまた作り出せる

つまりあなたが亡くなれば新しく因子を作り他国がそれを掌握することも可能だということです

それはあなたを殺すという選択肢を含むということと変わりない。

因子というのは必ず7つ存在しそれ以上もそれ以下もないということだ。

つまり7つ以上の因子は産まれることはないが7つまでなら因子は作ることができるということなんですよ

この情報は極秘事項とされていますが

あなたはご存じでしたか?」

「たしかジード団長がそんなことを言っていたような?・・・気がします。」

「ジードのやつはどこまで知っているんだ?

つくづく抜け目のないやつだからな

やつは頭がいいが何を考えているかわからない

せいぜい気を付けることだね

ああ、問題はあなたの命は常に狙われ続けるということで魔物からも他国の人間からもというのが言いたかっただけです」

そういうとまた書類に目を通し始めた。

頭がいい人ってほんとわからない・・・。

コンコン

突然ドアのノックが鳴った。

「宰相、僕です」

「殿下ですか、どうぞお入り下さい。」

ドアから入ってきたのはこの国の王子だった。

わたしは王子の方を凝視した。

えっと・・・小学生?

それくらい幼く感じる男の子がそこには居た。

「申し遅れました。

僕はこの国の王子セルジュ・アクアームです。

あなたはイルミシアの王女殿下ですね?」

「はい、ラクサーシャ・イルミシアです」

とわたしは令嬢らしくスカートを上げてお辞儀をした。

「まずは王女殿下に謝罪をさせてください」

「お、王子・・?」

「デュラン、彼女は我が国のために戦ってくださいました。

なら当然のことではありませんか?」

「ですが、一国の王子が謝罪など・・」

「いいじゃないか、王子もご立派になられたんだやりたいようにやらせてみたらどうだ?」

「ありがとうベル」

「俺はそういう王子殿下嫌いじゃないよ

むしろいい方向に向かってるんじゃないか?」

「王子・・・私は確かにこの国のために戦いました

それは王子のためでも国のためでもなく

ただ苦しんでいる人々のために戦いました。

でもそれは、王子も同じ気持ちではありませんか?」

「最初は国のためにと思って考えておりました。

ですが今はここに住む人々のために戦い続けようとあなたのおっしゃる通り同じ気持ちであることはかわりありません

だから、僕も一緒に戦わせてくれませんか?」

「はい!」

と私は王子に手を差し出した。

二人は握手しここに改めて協力体制が出来上がるのであった。

私が握手をしているとまた扉からノックが聞こえた。

コンコン

「ジードです」

「ああ、入れ

なにしに来た?ジード」

「お招きいただけてはないですが

入って早々冷たくはありませんか?ベル」

「お前がくることはわかっていたが

あまりいいよう件だとは思えなくてな」

「ええ、まあ我らの殿下に要らぬことを吹き込んでいないか気になりましてね」

「おまえこそいってないこととかあるんじゃないのか?」

「おかしなことを言いますね

私は常に最善と思われる事しかお話しませんし

効率的なものであればよし

非効率的なものであれば時間の無駄にもなるのではありませんか?お互いに」

「非効率的なものは俺も嫌いだ

けど言わないことで起きることも考えた方がいいんじゃないのか?」

「想定はしております

ですが必要のないことは知る必要もないと

私は思っておりますので

聞かれればお答えしますがね」

それを自己中っていうんだろ

「なにかおっしゃりましたか?」

「いや、なんも

ところで用事はなんだ?」

「姫殿下をお迎えにあがりました。

そろそろ次の国へ向かう時間になりますので」

「ああ、風の国にいくんだったか」

「ええ、あそこはまだ襲撃もありませんし

神器を起動するには丁度いいタイミングかと思いましてね」

「あそこの因子にも手こずっているのか?」

「ええ、こことは違った問題でなかなか因子が搭乗者が決まらないようです

ですが一刻をあらそうのでこちらから向かい問題を解決しようと思います

ではみなさん、王子殿下これにて失礼を」

ジードは貴族風にお辞儀をして退出した。

私もお辞儀をしてジードについて出た。

「ベル・・・彼女は大丈夫かな?」

「平気でしょう、心の方は中々強いものをもってそうだし、もし折れたら今度は王子殿下が支えてあげればいいじゃないですか」

「えっ?・・うんそうだね」

「彼女の心配もわかりますが 

まだこの国にも魔物の襲撃がいつくるかもわからない状況ですので油断はできません」

「うん、そうだね」

こうして水の国の神器問題を解決し次の国へと向かうのだった。

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