第9話 水の王国 後編
「主砲発射してください」
「主砲!発射!」
ドォーン!
「主砲、大型個体へ命中!」
「直ちに反転し後退してください。」
「団長!また黒い機体です!」
「またですか、これは期待してもいいのでしょうか」
ジードは黒い神器の様子を見ることにした。
「少しでも気を引けたならよいですが
できるなら倒していただけると助かるんですがね」
と黒い神器に期待していると
黒い神器はアズマーダに刺さった触手を切り離し魔法で黒い炎をクラーケンに浴びせた。
ジュアァアア!
クラーケンは黒い炎に包まれ海の中へと逃げていった。
その後を追うように黒い神器も黒い炎の中へと消えていった。
「どうやら逃がしたようですね
まあいいでしょう
ランディ君、姫殿下の回収を急いでください。」
「はっ」
「救急班!姫殿下の回収に向かうのでついてきてください!」
ランディは救急班をつれ姫殿下を回収に行った。
ラクシャは光の神器が消えると共に地面に姿を現しその場に倒れた。
「急いでください!
姫殿下!大丈夫ですか!?
これは、意識がない・・・。
急いで船まで運びます!」
飛空挺集中治療室にて
「姫殿下は大丈夫なのでしょうか?」
「意識がなく失神しているようですがそのうち意識を取り戻すと思います。
ですがかなりの電気を浴びたせいか
ショック状態にあるようです
あとはBSKモードの負担もかかっているようです」
「そうですか」
さすがに無理をさせすぎましたかね
彼女はまた乗ってくれるのでしょうか
とジードが物思いにふけっていると
コツコツコツ
誰かが来る音がした。
「これは王子殿下
どうしてこちらへ?」
「その人は大丈夫なのですか?」
「いえ、かなりの負傷で意識がないのです
それでも彼女は戦い続けました。
私のミスです。
まさかあれほど強いとは思いもせず
彼女一人にまかせるのは荷が重すぎましたね」
「僕が・・・僕が出ていれば彼女がここまで負傷することもなかったのですよね」
「ええ、それは間違いありませんね」
「おい、ジードそれは言い過ぎだ」
「いえ、デュランここは言わせていただきたいのですが
王子殿下は平和を好むと
その平和的交渉がもたらしたものが結果これです
彼女を見てください
傷だらけでボロボロです
弱いからとあざけてもいいですが
彼女の心は強いと私は思います
あの状況のなかで一人戦った彼女は
あなたはどうですか?
戦う勇気もない、平和に執着をしている
平和結構ですが
それは今の状況を打開し平和が訪れてから
したいだけすればいい
今は何をするべきなのかよくお考えになって頂きたい」
「僕には、勇気がない
だから逃げたいといつも思っていた。
でも彼女を見ていて思ったんだ。
平和と言う物陰に隠れていただけで
自分でなにもしようとしなかっただけなんだって
だから、今度は僕が戦うよ・・・」
「あなたにそれができますか?
痛いことも辛いことも怖いことも
全て背負ってあれに乗れますか?」
「乗らなければ戦えないよ
だから乗るんだ
国を、民を救うために」
「殿下・・・」
「デュラン、僕は戦うよ」
「よくぞいってくださいました王子」
「ではこちらをお持ちください」
「これは?」
「これは小型の通信機です
これでできる範囲こちらもサポートさせていただきます」
「助かる
では僕は神器のある祭壇に向かうよ」
王子殿下は水の神器がある隠し通路の祭壇へと向かった。
「ここが・・・祭壇か」
オ待チシテオリマシタ。
「僕がここに来るのがわかっていたのか?」
ハイ、ソロソロ来ラレルオ時間ダト
ワタシニハ少シダケ先ヲ見通スコトガデキマス
コレハアナタニモギフトトシテ備ワッテイマス
「僕にも先を見通すことができると?」
ハイ、デキマス
デスガ、マダマダ修練不足ノタメワタシノ中デシカ使用デキナイヨウデス
「そうか、それでも戦うために役に立つのなら使いこなせてみせる」
王子は水色に輝く玉に触れた。
「これが・・神器?」
触れた瞬間青い光が部屋全体を照らし出した。
サア王子、今コソ私ヲ呼ブ時デス
「呼ぶ?」
契約ノ名ノ元ニ、我ガ名ハ〖エギル〗
邪ヲ正シ、全テヲ洗イ流ス力ヨ!
「邪を正し、全てを洗い流す力よ!
僕に力を!エギル!」
ウィィィン!
機械音と共に機体が起動し王子は光に包まれた。
「ここは・・・?」
ココハワタシノ中デス
「神器の中ということか?」
ココデハ思ッタモノガ現実トナリ形ニナリマス
王子ノ強サモ現実に反映サレルデショウ
「僕の・・強さですか」
「デュラン、彼は・・王子殿下の実力は、いかほどですか?」
「そりゃあ俺が指南したからな
一騎当千とまではいかねえが
それなりに戦えるはずだ」
「あなたのお墨付きですか
ならBSKを発動するまでもありませんね」
「しかし、毎回お城を破壊しながらでてくるのはどうにからならないものですかね?」
「お城に厳重に保管してあるんだ
しょうがないだろう
と宰相は思わないだろうけどな
修繕費にいくらかかるとかまた言ってそうだ
お城に戻りたくないんだが
ジード、しばらくここにいていいか?」
「ええ、かまいませんが食べたり飲んだりしたぶんは体で払っていただきますよ?」
「だよなぁ~」
「あ、お城を破壊しちゃった・・・」
ソンナ細カイ事ヨリ強硬主ヲ倒ス事ニ集中シマショウ
「そうだね、やつはどこにいるんだ?」
水中ニ隠レテイルヨウデス
「水中戦ならこちらも有利だ
水の神器なら水中も有利なんだよね?」
ハイ、ソレハモウ水ヲ得タ魚ノ如ク
王子は水中へと潜った。
「視界も良好だね
っとあれかな?」
触手を数本切断されたクラーケンは水の底で回復をしようとしていた。
「あれって回復してるのかな?」
再生能力ハアルハズナノデ御注意クダサイ
「やっかいな相手だね
でも、僕のほうがスピードは上のはず!」
水の神器を加速させ一気にクラーケンの近くまで接近した。
グァアアア!
「再生を邪魔されて怒っているみたいだね
でもそんな隙は与えないよ!」
王子は念じ二本のショートソードを手に持った。
「いきます!
はぁああああ!!」
神器の二刀流から一気に敵に接近し
《ブレード・サイクロン!!》
王子の必殺技が炸裂しクラーケンは細切れになった。
「これで、終わりかな?」
ソノヨウデス
「さっき血を吸われたからなんかひどくフラフラするよ」
コノ機体ヲ動カスタメニハ魔女ノ因子デアルアナタノ血液ガ必要トナルノデス
「それはわかるけど・・貧血になりそうだよ」
沢山御飯ヲオ食ベナサイ
王子が笑いながら談笑していると
ドガーン!
「うわ!
何か衝撃が伝わってきたんだけど」
コレハ・・クラーケンノ子供達デス!
(王子殿下!御注意ください!クラーケンは子供を残していたようです!
それも沢山の!!)
向こう側の通信からデュランの声がした。)
「え!?、再生じゃなくて産卵してたの!?」
ソノヨウデス
ソレモ沢山ノ子供達
子供ト言エド驚異度ハ遥カニ高イト思ワレマス
「これは予想できてなかったの?」
敵ノ動キハ多少予測可能デスガ
今ノ王子デハ先ノ未来ヲ予測スルコトハデキナヨウデス
「きみは、知っていたんだろう?」
ナントナクハデスガ
「教えてよ!?」
聞カレナカッタノデ
「聞かれないと答えられないの!?」
ソノヨウニプログラムサレテオリマス
ドガガガガガッ!
「いたたっ!痛いんだけど」
クラーケンの子供達が一斉に突っ込んできて体当たりをしたようだ。
痛ミハ直ニ脳神経ニ伝ワルヨウデキテイマス
コレハ何ガ起キタカリアルニ感ジテモラウタメダト伝エラレテイマス
「いや、それはなんとなくわかるんだけど
この状況厳しいよね?
この水の神器でも子供達の早さにはついていけていない気がするよ
眼で追うのがやっとだ」
王子、BSKモードヲ施行スルノガヨロシイカト
「BSKモード?」
バーサーカーモード、通称BSKモードト言イイマシテ
「あー、もういいからそれ使おう!
このままじゃ僕も失神しかねない」
デハ命ジテ下サイ
「BSKモードを発動しましょう!」
了解シマシタ
ウィイイイイイン!
機械音と共に王子の居る空間が赤色へと変化した。
「これは・・危険な信号か何かかな?」
アル意味危険デハゴザイマス
急に全身に痛みが走りだした。
「えっ?・・・ぐぅ!」
神器から血液が逆流し額にいくつもの血管が浮かび上がった。
なんだこれ・・ものすごく痛い。
あの人はこれのなかで戦っていたのか
でも今なら子供達も追うことができる
「一気にいきます!!
はああああああああ!!!!!
《瞬足の尖刃!!》」
ものすごい早さで水中を進み子供達を一匹一匹切り裂いていった。
「はあ、はあ、はあ
もう、僕も、無理そうです・・・」
王子が意識を失うと共に神器の姿も少しづつ消えていった。
「デュラン!王子の救出をお願いします」
「わかってらあ!」
デュランは飛空挺の甲板へ移動し一気に水中へと飛び込んだ。
そして王子は無事救出されたのであった。
やれやれこれでは強硬主以上の相手をするにはまだ戦力は不十分ということになりますね
これからの課題は山積みです。
色々とわからないことも多いですが
まあ、一つづつ潰していきましょうか
王子はともかく姫殿下にはもう少しお強くなっていただかないとこの先の戦闘に差し支えがでてしまいますねえ
ジードはメガネをくいっと正しながら呟いた。
そもそもこの先も乗って戦って頂けるのかどうか
まあ水の神器の稼働も確認できましたしあとは風の神器の稼働を進めていく必要がありますね
「団長、姫殿下がお目覚めになられました。」
「そうですか、いくと伝えてください
さあ、これからどうなるのか
くくっ楽しみでなりませんね」
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