第7話 一難去ってまた一難

「全砲門開いてください」

「全砲門ひらけー!」

「雑魚を一掃してください」

「全弾発射ー!」

全ての砲門から砲撃が開始され残りの魔物へ向けての攻撃が開始された。

私はその光景を横目で見ながら飛空挺へと乗った。

「殿下、見事な戦いでした。

ご帰還を嬉しく思います。」

「ただいま戻りました。」

「あとは雑魚だけですのでこちらで対処は可能かと思います。

お休みになられても大丈夫ですよ。」

私は聞きたいことがあったので少しだけ時間をもらった。

「あのう、少し気になったことがあるのですが」

「火の神器のことでしょう?」

ああ、わかるんだ。

「ええ、それはもう

聞かれるのを承知の上で出てもらいましたからね

なぜ魔女の因子が無いのに動くことができたのか

そうでしょう?」

「はい、なぜなんです?」

「それはエネルギーを確保できたからですよ

魔女のエネルギーをね」

「それって魔女の血ですよね?」

「ええ、そうですよ」

「でも、まだ火の因子は見つかっていないんじゃ?」

「ええ、見つけられておりませんよ

そこで少し前にこう聞いてみたんですよ。」



少し前のこと

隠し通路祭壇前にて

「ヴェスティアに少し聞きたいことがあるのですが」

ナアニ?

「エネルギーとは必ずしも火の因子である必要があるのでしょうか?」

ウーン、魔女デアレバ大丈夫ダト思ウワヨ?

「では光の因子を持つ彼女の血でも動かすことができると?」

理論的ニハソウネ

ソンナコト考エタ事モ無イシ

ヤロウトシタ人モ居ナイノヨネ

「理論的に可能だとすれば試す価値はありますね

もしそれで動かせたとしたらどこまで稼働可能でしょうか?」

因子不在デアレバソコマデ動カセナイワヨ?

「私としましては、少しでも動きさえすればよいのです、BSKモードが未だ不明な点が多い以上使えるものは使いたい、不確定要素には不確定要素をなんて考えておりましてね」

面白イ人ネ

「強硬主に対抗するには必ずBSKモードが必要になる、しかし暴走をする可能性もある

だとすればそれを止めるものが必要になる

そこであなたの出番です。」

私ニBSKモードノ〖アズマーダ〗ヲ止メロトイウノ?

「ええ、できればですが」

ウーン、抑エルダケシカデキナイケドイイカシラ?

「ええ、十分です

それで暴走したときの保険にはなりますので

あと、核心的な質問をしてもよろしいでしょうか?」

ナアニ?

「私の想像の域でしかないのですが

実は『火の因子は存在していない』のではないですか?」

鋭イワネ

「この一年できうる限りの情報網を使って探してきたのですがそのどれも何一つ情報を得ることができなかった。

本人の国王ですらその行方を知らない、忘れていると

むしろ行方の記憶を消去されているような感覚でさえ感じるのです。

おかしいとは思いませんか?

私は考えました。

実は存在していないのではないかと

もしくは消された、何らかの事故で亡くなった。

生まれてすらいないのかもしれないと」

ソノ通リヨ

火ノ因子ハ存在シナイ

産マレテイナイノ

ダカラ魔女ヲ連レテキナサイト

言ッタデショウ?

「そういうことですか

ですがなぜあのときそう言っていただけなかったのですか?」

聞カレナカッタカラヨ

「それは聞かれないと答えられない

もしくは言えない何か制約があったのか」

ドチラモ正解ヨ

存在シナイモノニツイテ答エル事ナンテデキナイワ

「それはあなたの存在意義にも関わることではないでしょうか?」

今存在シナイダケデイズレ産マレルワ

「産まれたとしてもすぐに乗れるような年齢にはならないのではないですか?

そもそも赤子では乗ることすら叶わない」

ソレハ正解デアリ不正解ネ

「・・・・!、まさか因子を作る

作り替えることが可能だということでしょうか?

別の体に魔女の因子を作りその触媒に魔女の血を使えば可能だったりするのでしょうか」

正解ヨ

「やはりそうですか

その体・・触媒には何をお使いになるおつもりですか?」





「ということがありましてね」

めちゃくちゃいいところで終わったんですけど

「この話の続きはいずれまた

それであなたの血を少々いただきましてね

(寝ている間に)」

寝てるときになんて事を!?

この人の近くにいたら何されるかわからない

とても安心できないわね

「大丈夫ですよ

少しだけ血液を拝借させていただいただけですから」

拝借なら返してよね

「ええ、食料という物でお返ししますよ」

と言いながらジード団長はニヤケながらメガネを正した。

「血液があれば少しなら稼働が可能ということでしたので

ですが暴走せず見事に制御できてましたので保険は役に立ちませんでしたが

結果よければ全てよしですね」

なんというかこの人怖い

「団長!」

「どうしました?」

「新たな敵影がこちらに近づいております」

「敵・・・ですか?

ここにきて新たな敵とは

強硬主よりも強い敵が現れたのでしょうか?」

すごく大きな敵がこちらに近づいてきた。

あれ・・?ゴーレム?

石と石がくっついて人形を形成している

どうやって動いているのかわからない

おそらく魔法だろうと私は思った。

「ええ、あれは魔法で動くマジックゴーレムの一種ですがそれにしても大きいてですね

強硬主でしょうか?

殿下、申し訳ありませんが

まだ休むには早いようです」

ええ~、私身体がボロボロなんだけど

「しかし、今の殿下でも勝てるかどうか

奴には魔法しか効かないので

物理での攻撃は得策ではありません」

私がどうしようかアワアワしていると

「ん?あれは・・・影でしょうか?」

団長さんが見ている方を私も凝視した。

すると影のようなところから

黒い炎のようなものを纏った機体が現れた。

「神器!?」

「ええ、あれは・・闇の神器ではないでしょうか?」

「闇の神器って・・・それって魔女の因子が乗っているってことですよね?」

「ええ、おそらく

闇の神器は魔界にあるとされています

魔界については私にもわからないのです

どうやっていくのか、どこにあるのかすらも知られていない」

闇の神器が現れたと思ったら一瞬でゴーレムを横一閃に切り裂きなぎ倒した。

「す、すごい・・BSKモードなしで倒しちゃった。」

「神器とは中身の実力に大きく影響をします

なので中身の人もそれなりの達人だということになりますね」

私はいまだにへっぽこ

あんなに強くなれたらいいのにな

なんて見てたら闇の神器がこちらに振り向いた。

一瞬私と眼があったかと思ったらすぐに消えていった。

「あの人はいったい何しに来たんだろう?」

「そうですね、私にも理由はわかりませんが

みるかぎりですと目的は、あのゴーレムを倒すためだといえるのではないでしょうか?

こう考えるのがひとつ結論として言えるのですが

闇の神器は既に稼働している

因子がみつかっていると

そして魔界の現状は打開していると考えるべきでしょう

なので魔界にいく必要はなくなりましたがね

そもそもどうやっていくのかもわかりませんが

あとわかったことは強硬主よりもやっかいな物が今後も現れるということですね

あのゴーレムも斥候の一種でしょう

もし本命が現れたらこの国は、世界は滅んでしまうかもしれませんね」

とジード団長は冷静に分析していた。

「団長、他国からの無線が届いてます」

「つないでください

ジジッー、(おう、ジード!そろそろこっちの応援にも来てくれないか?

雑魚はっ!バシ、なんとかなるんだが

よっと!強硬主がっ!バコ!ちょとしぶとくてな)

デュラン、あなたのところへ行くには少々お時間がかかりますが構いませんか?

(ああ、問題ない・・・ジジッープツッ)」

そこで無線が切れた。

「あのー今のは?なんか戦いながら無線してたみたいですけど」

「ああ、彼ですか?彼は水の王国の近衛騎士団の隊長です

名をデュランといいましてね

筋肉だけがとりえの筋肉バカなんですが」

今筋肉バカって言ったよね?

「ええ、言いましたけどなにか?」

「いえ!なんでも・・・」

毒舌狂喜団長と呼ぶことにしよう

ジード団長がニコニコしながら私を見た。

怖いから・・・

「どうやら水の王国に魔物の軍勢が進軍しているようです

こちらから応援に向かおうと思うのですがよろしいですか?」

「私は構いませんが・・ここは大丈夫なんですか?」

「この国ですか?

大丈夫ですよ、少しの間ならヴェスティアが食い止めていただけるとのことでしたので。

なので少々血液を頂いておきたいのですが」

やっぱりそうなるのね

私はあとで献血をされるのだった。

「水の王国とは国交を通じて団長さんとは親交をもっていただかせてもらってましてね

何かあればこちらも応援にかけつけるお約束をしておりました。」

「水の王国には神器があるんじゃないですか?」

「ええ、水の神器、エギルがあります

ですがこちらもまた乗るのを拒否されましてね

国の危機にでもなれば乗るんじゃないかと打診はさせていただきましたが

こちらもこちらで事情が違いましてね」

「事情ですか?」

「ええ、王子が平和主義でして

死ぬのが怖いというよりも戦うことに対して拒否感があると

戦争ダメ、絶対の主義のお方ということで

そもそもの理由が我が国とは違うのです

因子にも種類があるのでしょう

因子と言えど中身は人間

それも現実の世界から来た転生者

戦争なんておとぎ話なんでしょう」

私もそうなんだけど?

「それでもあなたは戦うことを決めた

そうでしょう?」

「ええ、まあ・・・」

私の場合はそもそも滅亡の危機だったしやむえなく乗ったって感じだったから・・・。

戦争を嫌うのもわかるきはする

戦うのも怖い

でも戦わないと誰かを守ることもできない

それができるのは私達魔女の因子を持つものだけだから

だから私は戦うの

誰にも悲しい思いをさせたくないし

戦争だって大嫌い

「ええ、それでこそ殿下です」

「あなたの殿下ではないのだけど・・・・」

「私の殿下はあなたでもいいんですがね」

そういいながら不気味に笑いだした。

うぅ、怖い

「まあ水の王国までしばらくかかりますのでお部屋でお休みになってください。」

「ええ、そうするわ」

私は団長にお辞儀をし自室へ戻った。

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