第6話 強硬主と呼ばれる者
「団長、もうすぐ我が国に着きます」
「第二空挺部隊からの報告はありますか?」
「今のところ軍勢は鎮圧をできているとのことですが、強硬主と呼ばれる存在がいないとのことです」
「はて?不思議ですね
奴は軍勢の中心にいるはずなんですが
「こちら第一空挺部隊、第二空挺部隊応答せよ
(こちら第二空挺部隊!大型の個体はいないんですが軍勢にまじっている個体がやたら強くて・・・ドーーン!!ギャアア・・!)
第二空挺部隊応答せよ!
団長、第二からの通信が途切れました」
「大型個体ではない強硬主・・・ですか
やっかいですね
急いで向かう必要があります
全速力で飛ばしてください」
「はっ」
くくっ、面白い
異業種とも言えますね
魔物の軍勢の種類も多種に渡りありますし
こちらの種類はコボルトでしたか
恐らくコボルトキングといったところでしょうか
だから個体が小さかったのでしょう
確かイルミシアではゴブリンの軍勢でしたね
国によって種族が違うのもなにか意味があるのでしょうか?
実に興味深い
「ランディ君、姫殿下をここにお連れしていただけませんか?」
「はっ」
神器の出番ですがどこまで戦えるか見物ですね
コンコンッ
「はい」
「ランディです、今よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「団長がお呼びですので作戦室までご同行願えますでしょうか?」
「わかりました」
なんだろう?もうついたのかな?
私は外に出てランディ副団長についていった。
「急にお呼びいたして申し訳ありませんがそろそろ我が国に着きますので戦いの準備をしていただきたく思いますが」
やっぱりもうつくのね・・戦場に
「簡単に説明させて頂くと我が国の戦況はかなり思わしくない状況でして
軍勢の雑魚は蹴散らせるのですがどうやらその軍勢の中に強硬主が混ざっているようでして
大型の個体ではなく同種の個体みたいなのです
恐らく色や強さから違いがわかるのではないかと思うのですが正直現場に行かないことにははっきりしたことは不明です。
「国民の方々は大丈夫なのでしょうか?」
「そちらは早急に避難させておりますので大丈夫ですがそれなにり町が破壊されておりますので復興には少し時間がかかるかと
まあここで勝利しないことには復興などありはしませんがね」
とジード団長がお手上げポーズをしてみせた。
「私はその強硬主と戦えばいいのですね?」
「ええ、ですが厄介なことにその個体はとても素早く油断すると痛い目をみるかもしれませんよ?」
素早いのか・・私どんくさいから大丈夫かしら
「こちらをお持ちください」
ジード団長は私に何かを渡してきた
「これは?」
「それは小型の通信機です
戦闘中などにこちらからサポートもさせていただきますので是非活用してください。」
すごい、小型のイヤホン形の通信機だ
ワイファイとかあるのかな?
「ありませんよ?そんな便利なもの
これは通信系の魔法を練り込んであります」
ですよね~
私は通信機を着用し飛空挺から外にでた。
よし!いきましょうか
気合いをいれて神器を呼び出すのだった。
アズマーダ!いくわよ!
了解シタ
ウオオオン!
一瞬光ったと思ったらまた光の空間にいた。
アズマーダ!あの強硬主を叩くわよ!
私は念じ強硬主へと向かっていった。
「いた!あれじゃない?」
魔物の中に一際色が特殊な銀色の個体がいた。
イクゾ!
私がパンチを繰り出そうと構えると強硬主が一瞬でこちらに気づき振り返った。
え?
そして一瞬で視界から消えた。
いない・・・?
(殿下、後ろです)
通信機から声がした。
え?後ろ?
気づく前に後ろから衝撃が走った。
ガアアン!
後ろから体当たりをされたらしく
私はバランスを崩した。
「いったーい
たたた、なんなのよ
あれ早すぎない??」
BSKモードヲ使ウカ?
うーんあれ意識がなくなるから嫌なんだよね
それに団長さんからはなるべく使わないように言われてるし・・・
少し前のこと
「そうそう、BSKモードなんですが
なるべく使わないようにしていただけませんか?」
「え?なぜ?」
「あれは暴走といってもいいもので
強硬主を倒したはいいがそのまま暴れられるのも私としては困るのですよ
止めるものがない以上無闇にあれを行使するのは避けるべきだと」
「でも、あれがないと強硬主は倒せないんですよね?」
「ええ、恐らくですがね
ですがこちらも応援を呼んでおりますのでそれまで持ちこたえてくれさえすれば結構です
その後は、発動して頂いて構いません」
「先に時間稼ぎをしろと、いうことですか?」
「まあ、簡単に言えばそうですね」
「ということだからアズマーダ
時間稼ぎでいいからなんとかしのいで!」
ヒトツ言ッテオクガ
コノ機体ノ実力ハ操縦者ニ影響サレル
ん?それって・・・
オマエノ強サニ直結スルトイウコトダ
それって・・不味いんじゃ?
ドカドカドッカーーン!
「キャアアア!」
物凄いスピードで翻弄し攻撃を浴びせてきた。
時間稼ぎもできないじゃない~
私どんくさいしへなちょこなんだよ?
「団長・・・」
「ええ、これはよくないですね
ですがそろそろです」
倒れている私にトドメをさそうと詰め寄ってきた
このままじゃ・・・!
そのとき横から炎の輝きを纏った機体が飛び蹴りをしながら現れた。
飛び蹴りが強硬主に命中し吹っ飛んでいった。
た、助かった・・?
でも火の神器は操縦者がいないんじゃ?
ダイジョウブウ?
「あ、あなたは?」
ワタシハ火ノ神器ヴェスティアヨ
「でもその神器には魔女がいないって・・?」
エエ、イナイワヨ
デモネ、エネルギーガアレバ私デモ動カセルノヨ
エネルギー?魔女の血?
ソレヨリモマダ勝負ハツイテイナイカラ油断シナイデネ
私が横をみるともう姿が消えていた。
私に気を取られていたから蹴りがあたったのだろうか?
(殿下、今ならBSKを発動しても構いませんよ)
(え?でも・・いいのかな)
(ええ、構いません)
アズマーダ!BSKモード発動します!
了解ダ
シュイーン!
また空間か赤く光だし血液が逆流してきた。
「今度は気絶しないように頑張りたいっ!」
でも・・・すごい痛みが全身を駆け巡る
「これぐらいでええええっ!」
私は全身に力をこめて強硬主に向き直った
なぜか奴の動きを追えるようになっていた。
「見える!私にも見える!
はぁああああ!」
私は強硬主に向かって光る拳を繰り出し命中させた。
ドーーン!
強硬主が吹き飛んだ。
「これじゃ致命傷にならないわ!何か武器はないの!?」
念ジロ、ココデ思ッタモノハ現実ノ武器トナル
思ったものが武器になるのね?
私は瞬時に想像し念じてみた。
弓が現れ光の矢が手に収まっていた。
「これは弓矢?」
私は光の弓矢を持ち強硬主に向かって狙いをつけた。
グググググ
私は思いっきり弓を引き絞った。
「あたってええええええ!!」
パン!
弓が発射され強硬主へと向かっていった。
しかし強硬主は素早く横に回避した。
え!?
これじゃあ当たらないじゃない・・
と思ったその時、強硬主の後ろから矢が反転して帰ってきて強硬主の後頭部に命中した。
グギャアア!
え?
強硬主は絶命しぐちゃぐちゃに溶けていった。
勝った・・・の?
(ええ、大勝利です)
団長さんの声がした。
(光の弓矢なんてセンスがありますね
とても素晴らしいです)
「ははっ・・」
団長さんの声とコメントに少し引きながらなんとか終わったのだった。
面白イ戦イダッタワ
そういうと隣にいたヴェスティアは消えていった。
私は戦いが終わり安堵したのだった。
少しの間がありアズマーダの機体が少しずつ消え私はまた地面に立ち尽くすのだった。
(殿下、こちらへお戻りください。
まだ雑魚は残っておりますので安全とは言えません
ランディ君迎えに行ってさしあげてください。)
(はっ)
どうやら迎えに来てくれるみたいだ。
私は少しの間、眼を閉じたまま気持ちの整理をはじめた。
みんな見ててね
私はここで平和が訪れるまで戦い続けるから
仇なんてたいそうなことはできないけど
これ以上人が死ぬのは見たくないし
死なせたくない
だから私は前を向いて歩き続ける
そう思い念じながらいると後ろから人が近づいてきた。
「殿下、お迎えにあがりました。」
「はい」
そういうと私は振り返りランディ副団長を見た。
ランディ副団長はちょっと驚いた様子で私を見たがすぐもとの表情に戻った。
どうやら私は眼を閉じたまま涙を流していたようだ。
私は涙を拭うとランディ副団長と共に飛空挺へと帰還した。
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