第4話 ジードという男
私の名前は、ジード・マクシミリアンですが、
実は転生者でもあります。
本名は加藤 一機(かとう いつき)
工学部卒のエリートで専門は機械工学
趣味で飛行機や飛行機のエンジンなど多彩なものを開発、研究している。
最近ではロケットエンジンも開発した。
まだまだ満足しない自分がいる
もっともっと知りたいことが、山ほどあるというのに!
この世界は退屈すぎる。もっと私を満足させるものは無いのだろうか、
と色々考えているうちに、うっかりとミスをしてしまい実験が失敗
研究室が吹き飛びどうやら私も死んでしまったようだ。
もっともっともっと!もっと知りたい事があったのにと、思い残すことが山ほどありながら私は未練を残し、この世を去るのであった。
「ん?ここは」
私が目を覚ますと見知らぬ場所に居た。
どうやら生まれ変わったらしいが、ここがどこで私が誰なのかまったくわからないままだった。そこにある女性が声をかけてきた。
「ジード博士」
ジード?私の事か?
「なんだ?」
「もうそろそろお時間でございます」
時間?
「すまないが、何の時間だったか忘れてしまってねえ、教えていただけないだろうか?」
「研究の最中でありましたので、そろそろ研究の方へ戻られた方がよろしいかと思いまして」
研究?
私はとても興味をそそるキーワードを聞き、後ろを振り返った。
そこには研究服に身を包んだ女性が、立っていた。
どうやら私は、ジードという人に転生してしまったようだ。
ジードという男性は、若い男性で長髪で黒色の髪でとてもイケメンだった。
「わかった、研究にもどろう」
そういって私は女性についていった。
そこには研究室があり、色々な研究が行われていた。
「これは・・・、実に興味深い」
どうやらここの研究室では、魔物の研究と、魔法の研究が行われているようだった。
「この動物は、でいるのかね?」
「いえまだ息があるようです。」
ふむ、これがモンスターというやつなのか、このモンスターを解剖をしたい気持ちでいっぱいになった。
「この動物を解剖する、拘束したまえ」
私は部下に命令をし、魔物の解剖を徹底的に行った。
なるほど、興味深い構造だ。これはどうやって動いてるんだ?
私は解剖に夢中になり、魔物の呻き声や血飛沫などに目もくれず、魔物が息絶えても解剖を続けていた。
「ははっ、素晴らしいじゃないか、この構造で生きてるなんて現実では有り得ない、面白すぎて震えが止まらないじゃないか。」
解剖を笑いながら続けている私を見て、周りの研究者は引いていた。
こうして私は狂喜の博士という名を手に入れた。
そして私の専門でもある機械工学を取り入れ、後に飛空挺を完成させた。
その功績によって私は、空挺団の団長を任される事となったのだった。
これはジード博士の誕生の極一部のエピソードで、また時間があるときに別の秘話を語らせてもらおう。
ある日、私は国王陛下へ謁見を許された。
「陛下、私に飛空挺団の団長をお任せ頂き、誠にありがとうございます。
今後もご期待に答えられるよう努めてまいります。」
「よい、それより魔物について何か分かったのか?」
「はい、どうやらこの魔物、人間の邪な気、分かりやすく言えば負の感情、もっと分かりやすく言えば怒り、妬み、嫉妬、殺意などそういった感情が高まることによって産み出されるようです。」
「ふむ、この魔物はまた襲ってくることはあるのか?」
「ここからは私の想像、私見であることを承知で発言させて頂きたく思うのですが、よろしいでしょうか?」
「構わん話せ」
「では、色々な文献を漁り調べた結果、推測されるものがあります。
それは500年より前の文献がないという事です。」
「それは、どういうことだ?」
「これも私の想像ですが、恐らく500年前の情報がないのは、500年に一度この世界は滅びを迎えているのではないか・・・と」
「だが現にこうして我らは、生きているではないか」
「そうです、ですがその方々が皆500年より前の事を何も知らない、知らされていない、伝えられていない、文献もないと。これは一度文明が滅んでいる証拠ではないかと思えるのです。」
「もしその話が本当だとして、その500年はいつくるのだ?」
「恐らくあと1年かと」
「一年!?」
「これも私の推測でありますが、その1年後に大規模な魔物の軍勢の襲撃が起こるのではないかと予測されます。」
「この国にも軍勢が来ると・・・?」
「はい」
「一体どうすれば・・・。」
「これは文献によるものなのですが、この世界には最終兵器というものがあるそうです。」
「最終兵器だと?」
「各国に神器と呼ばれる物があり、この国は火の国と言われ、火の神器があると言われております。」
「確かにそういう言い伝えはあるな、じゃが神器など一体何処に・・・。」
「そこは私が見つけ出しておりますので、ご安心ください。」
「あと1年で使えるようにするのだ」
「畏まりました。只、それには王子殿下のお力が必要になるかと」
「それは、どういう事だ?」
「この最終兵器は、搭乗者を選ぶようで王家の血脈が無いとならぬとあります。」
「そうか、動かせるのなら息子の件は、そちに一任する」
「畏まりました。」
王家にはいざという時の避難通路がある。ここに神器と呼ばれる最終兵器が祀られているらしいのだが。
「ここか・・・」
私は王子殿下2名を連れ、祭壇の前まで来ていた。
「第一王子殿下、この橙色の玉に触れてください。」
「これか?」
第一王子が橙色の玉に触れ時、頭に声が響いた。
(アナタハダアレ?選バレシ者?)
「声が・・した?俺はこの国の第一王子だ。」
(モウソウイウ時期ナノネ、イイワヨ?力ヲ貸シマショウ。
デモ、アナタデ大丈夫カシラ?)
「どういうことだ?」
(フフッ、試シテ見レバ分カルワ)
橙色に強く光り第一王子がその場から消えた。
「こ、ここは?」
(ココハ私ノ中ヨ、動カスニハアナタノ血ヲ少シ貰ウ必要ガアルノ)
「なんか、力が抜けていく感じが・・・、あぁぁぁ・・・・・・。」
血と共に生命力まで吸われていった。
(アラアラ、ヤッパリダメネ)
「どういう事か、説明して頂けませんか?」
(マズハコノ第一王子ッテ彼ダケド、ドウヤラ王家ノ血脈デハ無イミタイヨ)
「ん?どういう事だ?王家の者じゃないって事か??」
(ソレトコノ彼、死ンジャッタミタイナンダケド引キ取ッテクレナイカシラ?)
どさっ!
目の前に生気を吸いとられ、衰弱しきった第一王子が現れた。
「ひいぃ!」
第二王子が、目の前の兄の死体に腰を抜かした。
(王家ノ血脈デナイト、契約ハオロカエネルギーニスラナラナイノヨネ。)
これは第一王子が偽物だだということが証明されたということか?
第二王子を見下ろした。
これは乗ってくれるのだろうか?
「申し訳ありませんが第二王子殿下、次はあなたの番でございます。」
「い、いやだ!ぼくはまだ死にたくない!」
「そう言われましても乗って頂かなければ、神器を動かすこともできません。」
「だ、だったらお前が乗ればいいだろ!?」
「私ですか?私は死にたくありませんのでお断りいたしますが、そもそも王家の血脈ではございませんし。」
「王子の僕が死んでもいいっていうのか!?」
「ええ、まあ私は構いませんが」
「なっ!・・」
「それにまだ第二王子殿下が、偽物と決まった訳ではございませんし。」
「う、うるさい!ぼくは嫌だからな!」
そう言いながら第二王子は、走って逃げていった。
「やれやれ、せっかくの検証が台無しじゃないですか」
(契約ヲ果タシタケレバ、魔女ノ血ヲ持ツ者ヲ連レテ来ナサイ。)
「魔女?」
(王家ノ血脈ノ本当ノ名ハ魔女ヨ)
「それが王家と繋がっていると・・、実に興味深い」
「ランディ君、あの王子を引っ張って来て頂けませんか?」
「王子殿下を無理矢理連れて行くのは、どうかと思いますが?」
「ですよね~、じゃあ眠り薬を飲ませて乗せちゃいましょうかねえ」
「恐らく陛下のお怒りを買うだけかと」
「大丈夫ですよ、偽物だった場合、偽物でしたと言えば言い訳がつきますので。」
「・・・・」
「ランディ君は、真面目ですね。」
私が飲ませて、無理にでも乗せてみるのもありか・・・。
「あ、ランディ君暑いよね?この水筒飲んでいいよ」
ジードは水筒をランディに差し出した。
パシ!
ランディは水筒を叩き落とした。
「あらぁ?ばれちゃった?」
「団長の考える事は、大体わかりますので」
ふむ失敗か・・・、まあいい。他に何かできるか考えるとしますか。
「じゃ、戻るよー」
ジードとランディは避難用の通路から戻ることにした。
戻って早々陛下との謁見をし、経緯を説明した。
「そうか・・・、第一王子が死んだか。まさか偽物であったとは。」
「どうされるおつもりですか?」
「心当たりはある・・・のじゃが、わしがまだ国王になる前の話じゃ
やんちゃをしておっての、一人の娘と出会い恋におちたのじゃ
その時身ごもっていた子が、もしかしたら血脈の子かもしれん」
「その方は今何処におられるか、分かりますか?」
「それがの、分からんのじゃ。この最後の1年でその子をできる限り探してくれ」
「第二王子の方は、如何されますか?」
「これ以上王家の人間を失うわけにもいかぬ、例え偽物であったとしても一応王家から生まれた子じゃ、国民に説明するのが難しくなる。じゃからまだ生かしておく必要がある」
「畏まりました。」
それから一年近くの歳月が経ち
あらゆる情報網から探しては見ましたが、みつかりませんね。
火の神器の魔女は、一体何処に居るのか。
「団長!魔物の軍勢が現れました!」
「もう来ましたか、あちらは第二空挺部隊に任せましょう。
私達は他の国へ様子を見に行きます。何かあれば随時報告をお願いしますね。」
「団長、どの国へ行かれるのでしょう?」
「海の向こうにあるイルミシア王国へ向かいましょう。あそこには光の神器があるという話です。」
「了解しました。」
「第一空挺部隊、イルミシア王国へ向けて発進します!総員衝撃に備えてください」
「団長、我が国は大丈夫でしょうか?」
「時間稼ぎはできるでしょう、ですが討伐までは難しいのではないでしょうかねえ
雑魚ならともかくその中心にいる強硬主と呼ばれる個体は恐らく強さがけた違いのはずです。もうそれは神器に頼るしかない、その神器は我が国では動かせない、
だとしたら他国の神器に頼るしかないのです。」
「イルミシア王国の神器のお力を借りるということでしょうか?」
「そうなりますねえ、あ、そろそろ見えてきますよ」
少し遠くにお城と町が見えてきたが、既に魔物の軍勢の襲撃が始まっており、お城からは煙が出ていた。
「おや、もうはじまってましたか、神器の方は・・・、まだおみえになってないようですねえ」
「団長、どうしますか?」
「そこに止めてステルス状態で様子をみましょう。
私達にも戦う力はありますが、大型個体への戦闘は全滅を意味します。
むやみに動くのは得策ではありませんねえ。」
少し様子を見ているとお城の方から光り輝くロボットが、お城を破壊しながら出てきた。
「あれが神器・・・光の神器ですね、動いているという事は魔女が乗っているということか」
光の神器は目の前の魔物を蹴散らしながら進んでいき、強硬主と呼ばれる個体が目前に迫っていた。
「ほう、あれが強硬主ですか・・・、実に興味深い」
光の神器は強硬主に押し倒されていた。
「団長、神器がおされているようです」
「そうですねえ、ですがこれからが本気なのではないでしょうか?
恐らく戦争を終結させるだけの力があるのだから、あんなものじゃないはずですよ」
その時、神器が赤く輝き出した。
「はははっ素晴らしい、あれが本気の神器ですか、素晴らしいじゃありませんか!
あれは人智を越えた力!神をもひれ伏す力になるのではないでしょうかねえ!」
ジードは笑いが止まらず、終始にやけていた。
「いいですねえ、もっともっと本気を見せてください」
赤く光る神器の右腕から、光輝くソードが出現し強硬主を縦に切り裂いた。
ギャアァアアアア!
強硬主は縦に真っ二つとなり絶命した。
「くくくくっはははは!最高のショーだと思わないかね!
っといかんいかん我を忘れていました。」
その後神器が消え去り一人の少女だけが姿を表した。
「あの娘が光の神器の契約者ですか」
「団長、どうしますか?」
「もう少し様子を見たいところですが、行くのでしょう?」
「はい」
副団長のランディは、光の神器の少女の元へと走り出していた。
「まったくこの世界は・・・、退屈しませんねえ。」
そのあと少女が来るまで、終始不気味に笑い続けていたという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます