第3話・アダムとエヴァ(ナミ)がロボットのコックピットに裸体搭乗?
その時──空の一部から黒雲が湧き上がってくるのを、裸のナミは見た。
雷光を伴った、黒雲は次第に形を整えて、邪悪なモノへと変貌していく。
呟く狐目。
「来てしまったか……『天地創造ワールド・第2ステージ〝ロボット界無双〟』」
ナミが狐目に訊ねる。
「なんなんですか、あの禍々しいモノ?」
「あたしたちナビゲーターに与えられた情報では〝イギギ〟と呼ばれている──ゲームプログラマーが意図的に混入させてあったモノなのか……イレギュラーのバグなのかは、わからないけれど……無産の神イギギ、あなたたちが、この世界で敵視すべき存在」
狐目はさらに、イギギには感情は無いと伝えた。
「ゲームを面白くするために存在しているイギギが、人間みたいな感情を見せても、それは人間の感情を真似てフリをしているだけ……AIに感情が無いように……おそらく、ゲームが進むにつれてイギギも、変化してくると思うから」
狐目が空中に出現させた、仮想パネルを操作して二個の金色の首輪を出現させて、裸のアダムとナミに渡した。
「首に装置して、それがあなたたち二人のステージアイテム」
アバターのアダムとナミが、首に金色の首輪を装着すると狐目が説明する。
「アダムが、クラスメイトの創造世界を全部復活させて融合した創造世界を構築したから、それがイギギを出現させるキーワードになった──新しいステージからは〝巨大ロボット〟に乗ったプレーヤーがイギギと戦うの」
狐目は、ここでポツリと悲しそうな顔で言った。
「この先、このフルダイブVRの永久バーチャル世界が、どうなっていくのかはわからない……聞きたくても、ゲームプログラマーとは連絡取れないし……もしかしたら、すでに現実世界にも彼の存在は」
イギギは、黒い巨大ロボットへと姿を変えた。
エイギの体から発射されたミサイルが、エデンを破壊する。
傷ついた動物たちを見て、裸のナミは拳を握りしめて呟く。
「許さない……エデンで平和に暮らしている、動物たちを傷つけるなんて……許さない」
ナミの首輪が輝きを放ち、ナミとアダム専用のイメージ巨大ロボットが出現する。
青いスリムな機体、頭に二本の角を生やして、手にノコギリを持ったロボットだった。
アダムが、少しふてくされる。
「なんで、ツガイのナミがイメージした巨大ロボットが実体化して、オレがイメージしたロボットは出ないんだよ」
「知らんがな……いつ、あたしが、あんたのツガイになった?」
狐目先生が言った。
「イメージの強い方の、ロボットが実態化するのよ……だけど、なんでノコギリ?」
「もしかしたら、子供の時に見た地獄の絵本で、鬼がノコギリで人間を切り裂いている絵のインパクトが強くて……出てきたのかも知れません」
「ロボットの名前は? 命名で、所有機が確定するから」
裸で腕組みをして、ナミが言った。
「命名……
アダムが、少し嫌そうな顔で言った。
「海外からの観光客が喜びそうだな……いつの日か、ナミをオレのツガイに……」
「勝手にパートナー認定して、旧約聖書の生めよ増やせよイベントするな!」
ナミとアダムの頭上に、アダムスキー型円盤が飛んできて、吸引光線でナミとアダムの体は円盤の中に吸い込まれる。
円盤は、鬼型のロボットに合体して、そのままコックピットになった。
コックピットのシートに前方に裸のナミ、後方に裸のアダムが座る。
ナミが振り向いて言った。
「ちょっと、なんであたしの後ろに座っているの? 近すぎる」
「いいじゃないか……おっ、後ろから抱きついてナミの胸が直接触れる……こりゃいい」
背後から手の平で、包まれるナミの乳房。
「どこ触ってんのよ!」
ナミが、前方にあったロボットの操縦レバーを動かすと。
連動してウ~ラも動き出して、持っていたノコギリでイギギを、豆腐みたいにスパッと切断した。
イギギは……黒い粒子になって消滅して、ナミとアダムの経験値が上昇した。
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