天界戦争

佐瑠未亜綺

堕天使 ルシファー

天界––神の間––


天界一と呼べる真っ白な美しき部屋神の間に私ことルシファーは呼ばれ謁見する。

私たちを生み出せし体の無き我が父に


「我が息子よ、よくぞ悪魔に取り憑かれし人を退治した。だが天使の中で最も強きお前が何故手こずる、次は迅速に退治せよ」


「はっ、この熾天使ルシフェル我が父の命令を心に刻みました。」


「ならばよい、ではまた」


言葉を聞き終えて神の間を出る。


「何故、我が父は私を褒めてくださらないのだろうか」


そう呟き数年前の事を思い出す。


「よくやった愛しき我が息子ミカエルよ、よくぞ悪魔を人間から払ってくれた」


「いえ、我が弟の力もあってこそです。私だけの功績ではありません、弟も褒めてやって下さい」


「いや、ルシフェルは当たり前の事をやってみせただけだ。ミカエルより優秀なのだから褒めてやる程では無い、引き続き頑張るのだぞミカエル。ルシフェルは兄のように励む様努めるのだぞ」


「「はっ」」


返事をし部屋を出る。

すると兄は私を見て物凄く微笑む、まるで子供のように。だが今でも思い出すあの兄の顔とあの感情を


(またあの感情を思い出してはいけない、まるで悪魔や人間のようではないか)


そう考えてあの感情を無くそうと必死に忘れようと、だが何度も考える。そんな私が嫌いだと。


強く、美しく、誰もが憧れる存在それが

熾天使ルシフェル。


戦いを求めて強くなり四騎士となった支配の天使、それが熾天使ルシフェル。


父にまた褒めて貰おうと強くなり続けた最強の天使、それが熾天使ルシフェル。


(本当に私が憎い)


顔を歪めながらもいつもの木の上で寝転がる。その時下から気配がしたので目をやると二人の下級天使がいた。


「誰だ、貴様ら」


すぐに帰らそうと睨むが二人は目を輝かせながら告げる。


「私はインキュエル、こちらは妹のサキュエルです。私たちはルシフェル様を崇拝する者であります」


そんな健気にいう彼に言い、その妹は頷く。だが怒りを覚える。


「馬鹿な事を言うな、崇拝してもよいのは人間だけだぞ、堕とされたいのか!!」


「貴方だから良いのです。我が父は人と大半の天使だけを見るが悪魔や一部の我々天使には目をやるだけです。同じ父から生まれたのに優遇をされません」


さっきまでの私の様に怒りに身を任せた顔から微笑み言葉を続けた。

「ですが、ルシフェル様はそこらの天使程度でしか見ていなかったでしょうが貴方は私たちを目を掛けて助けて下さいました。貴方様は違います、他の天使たちは命令や友人、兄弟以外では助けようともしません。そんな貴方に惚れたのです」


「そうか、だが我g」


その時、数十マイル離れた所から悪魔の気配がした。

感知してからすぐに飛んで原因の元に行く。五秒も経たずにその場に着くと元天使マナモルと元天使ゼルエルが居た。


「何故ここに来たマナモル、ゼルエル」


「相変わらず変わってねぇなぁ、支配の天使さんよぉ」


「お前は変わったなゼルエル」


「俺はもうアザゼルって名前だ、暴力の悪魔アザゼルだ!!」


と悪魔は叫ぶと隣の悪魔は嫌そうな顔をして


「五月蝿いぞ、男に変わったからか?」


と文句を垂れるがこちら向いて自己紹介をする

「私は賎盗の悪魔マモン、久しいな支配さん」


懐かしいく二人と出会うが今は昔の姿とは違う特に翼が変わっている。

天使の翼は純白であるが堕ちると漆黒に変化する。

「なぜお前たちは堕ちたのだ。ゼルエルはともかくマナモルは堕ちる必要が無かったではないか」


問うとニヤリと笑い叫ぶ

「自由だからだ!!欲しいものを手に入れるには天使だと神に罰せられるし許可がいる。それは私の性格には合わない。だが悪魔に成れば気にする事が無い、どうだルシフェルこちら側にこい」


「そんな事か、そちらに行く事は今はない。だから今からお前たちを殺す」


二人に告げて神器を手にするが二人は「残念だ」と言い姿を消した。


「自由か、悪くは無いが私には我が父がいる」


[一部の天使には目を掛けこない]


いや大丈夫だ。


[優遇されません]


そんな訳がない。


[貴方様は違います]


[自由だからだ!!]


先程から言われたことを頭の中で反芻させる。

そして先程の木の下に戻る。


「ルシフェル様は速いですね」


「なあインキュエル、サキュエル」


「はい、なんでしょうか」


不敵に笑い、私は二人に告げる。


「私が神と成り今の神を堕とそうではないか」


もう、私は悩むことはない、好きに生きようとではないか。


そこからの行動は早かった。

私と同じ様な事を考えるもの達を事前に集めていたようで数十万の天使たちが集まった。さらにベルフェルや四騎士死の天使アズメルといった大天使も居た。


烏合の集であるものたちに告げた。


「お前たち!!この熾天使ルシフェルが今の神を堕とそうではないか。ここに集まる我が同士よ、今日がその記念日だ!!」


と叫ぶと大きな歓声を上げた。負ける気がしないとはまさにこの事だった。


だが舐めていたのだ神の権能を。


数十万の天使を率いて神の間を目指す。だが立ち向かうもの達がいた。

我が兄ミカエル率いる大天使ガブリエル、ラファエル、ウリエル、ラミエル、サリエルに他の天使がおよそ百万にも届く数での戦いであった。


まさに阿鼻叫喚の中始まった戦いで私はウリエルとラミエル、サリエルの三柱戦った。

避けても避けても次々にくる攻撃はまるで心地よかった。だが三人の神器を叩き落として切りつけて倒した。


だがベルフェルたちと戦っていたガブリエルとラファエルが倒してからすぐにやってきたが一閃で薙ぎ払い大将であるの我が兄ミカエルの前に立つ。


「何故裏切った!!ルシフェル!!」


「“何故”か、それは私が神と成り神より優れていることを証明するためだ!!」


「そんな事はする必要はない、お前は強く、美しくて、誰もが憧れる最強の四騎士の天使ではないか。これ以上は望む必要はないんだ」


そんな言葉に怒りを通り過ごすような何かに駆られて叫ぶように怒鳴った。


「お前に私の気持ちがわかるか!!愚兄が!!私は必死に頑張ってきたがいつもお前が優遇され私は必要とされず、お前はのうのうと生きてきた。もし刃向かえばお前を殺す、兄だろうと神だろうと」


それを聞いたミカエルは神器を地面に落とし我に告げた。


「私は戦わない、お前の好きにしろ」


そう告げたあとその場に座り込み俯いた。その頃にはほとんどの天使、いや私以外は倒れていた。


単身で神の間に立ち扉を触ろうとした瞬間に我は地面を通り抜けた。

翼に力を入れようとしたが入らずにただ堕ちていくだけだった。

「貴様は我を臆して堕とすか、だが延命にしかならんぞ」

と虚空に叫ぶ

数時間後に空間のある場所に出た。

それは何度も見てきた魔界だった。そして翼を見ると羽が漆黒に染まりつつあるつまりいやわかっていた事だったが我は堕天したのだった。


幸か不幸か我の仲間はみな堕ちていた。

そして我らは名を改めた。


インキュエルはインキュバスと


サキュエルはサキュバスと


アズメルはアズモデウスと


ベルフェルはベルフェゴールと


そして我はルシファーと名乗ることにした。


「なあ、お前たち。次はこの魔界を征服し、次こそはゴミ共を堕とそうではないか」


と宣言した。

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