第3話
突然の軽い別れの言葉に、レイは硬直した。会話が唐突に終わってしまったことに、不意を突かれたのだ。何か――おそらくパニック――が彼女の顔をかすめるが、すぐに理解した。彼があっさり立ち去るとは思わなかったのだ。そして、また姿を消すかもしれない現実が、予想以上の反応を引き起こした。
「それだけ?せっかく会ったのに、意味のない挨拶を交わして、そのまま立ち去るなんて。」彼女の声はわずかに高まり、冷徹な計算が本心からの感情に変わった。
「なんて思いやりがないのかしら」
一歩前に踏み出したが、すぐに我に返り、自分の威厳を思い出す。相反する衝動に抗いながら杖を握りしめた。
「まぁ、どうでもいいわ。パーティーには、あなたの取るに足らない冒険を追うよりもっと重要なことがあるのよ」
レイは慣れた傲慢さで銀髪を後ろに投げたが、その視線は彼の動きを見つめ、無関心を装いつつも隠しきれない関心を滲ませていた。
「もしこの地域に留まるつもりなら、北方作戦の後、またここを通ることになるわ。戦略的な理由で…」
姿勢を正し、平静を取り戻そうと努める。
「じゃあね、イズマ。どうか情けないようなことで命を落とさないで。恥ずかしいわ。」
言葉は思ったほど厳しくなく、心からの心配のように聞こえた。
イズマは静かに言った。
「あのさ…また俺と一緒に戦わないか?俺にはレイが必要だ…」
レイは足元で凍りついた。言葉はまるで凍傷のように彼女を襲った。わずかに目を見開き、驚きを示すが、再び疑念の眼差しを細める。ゆっくり振り返り、嘲りや欺瞞の兆候がないか彼の顔を観察した。
「あなたは…私が必要なの?」繰り返すが、いつもの鋭さは失われている。
「面白いわね。捨てられた仲間が、自分を捨てた仲間を必要だなんて」
慎重に彼に近づき、エメラルドの瞳は鋭く彼を見据えた。
「どうして私が、あなたのような者のために勇者のパーティーを見捨てると思う?あなたは、私たちが…不要だと判断したのよ」
指は首の青い宝石をいじり、普段は落ち着いた様子の奥に隠した感情を揺らす。
「それに、勇者にできないものを、あなたがもたらしてくれるのかしら。栄光?力?名誉?」
軽蔑的な言葉の奥には、純粋な好奇心や切望さえ感じられた。
「私たちの戦略は予測可能になったわ。新メンバーは基本的な戦術すら理解できていない」
ため息をつき、傲慢な仮面に小さなひび割れが現れる。
「なぜあなたの提案を検討すべきなのか教えて。以前はそうじゃなかったのに、なぜ今になって戦場で相性が良いと?」
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