小5男子の「好き」に僕が混乱した話し

東雲レイ

第1話

僕には8才上の姉がいる。

姉には2人の子供がいて

お兄ちゃんの梗太(こうた) 10才 小5 と

妹の捺世(なち) 7才 小1 である。


そして今日は、梗太のお話です。


梗太は機械が大好きで、スマホデビューも小3と早かった。

小5になった今では、周りの友達もスマホを持ち始めて、LINEでのやりとりも普通になってきている。


ある日。

姉と一緒に遊びに来た梗太。

リビングのテーブルにスマホを置き

僕が昔、使っていたWiiUで夢中になって遊び始めた。


──まさか、こんなところでWiiUが活躍する日が来るなんて。

そんなことを思いながら部屋に戻ろうとした そのとき。


梗太がテーブルに置いてたスマホがピコン、と鳴った。

画面には、LINEの内容が浮かび上がっていた。


「To:湊真 『コウくん 大好き♡』」


……え?


足が止まった。


え、これって──

えぇ……これ、見ちゃダメなやつだったか?


だって「湊真 (そうま)」って、男の名前だよな?

梗太も男の子で……ってことは……


頭の中で一瞬にしていろんな思考が飛び交う。

「今どきは普通なのか?」

「自分が時代遅れなだけ?」

「でもこれは……告白?友情?どっちだ???」


ひとりで混乱している間にも、当の本人はWiiUに夢中でプレイ中。


「...梗太、LINE来てたよ?」

なるべく自然なトーンで声をかけてみた。


「あ、湊真くんか!あとで返す〜!」


反応、薄っっっ


僕は、思い切って聞いてみた。


「……そういうLINEって、いつも来るの?」


「うん、いつもだよ!

だから僕も『♡』とか『知ってる☆』って返したり する!スタンプだけで返すこともあるよー!」


…!?

え、えええええ!?

『大好き♡』って、そんな軽率に送り合う!?

男同士でも普通なの!?それが今どきなのか!?


混乱しながら、さらに聞いてみた。


「……湊真くん以外からも、そういうLINE来るの?」


「ううん、湊真くんだけ!でも面白いよね!」


──面白い。

そう、笑って言える梗太を見て

なんだかホッとした。


梗太は“好き”っていう言葉の意味を、まだ深く考える前の「好き」なんだ。

ただ一緒にいて楽しい、面白い、嬉しいことを素直に伝え合う。

それだけの、まっすぐで眩しい気持ち。


湊真くんが恋愛感情なのか、親しみなのか、僕には分からない。

でも、梗太が笑ってるなら

今は、それでいいか。


甥っ子ながら、本当にマイペースで、

今どきの小学生は想像より、遥かに自由で

僕は、ジェネレーションギャップを感じるのでした。


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